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労働新聞 2010年4月15日号・4面 労働運動

安全の規制強化を
公共交通の維持・強化へ

国際キャンペーンと連帯を

ITF・東京事務所
飯島 雄二代表 に聞く

 英国やドイツなどで航空労組のストライキが相次いでいる。わが国では、一〇春闘において全国港湾、港運同盟などがストライキで果敢に闘っている。これらの労組は、国際運輸労連(ITF)に参加しており、こうした状況について、ITF日本事務所の飯島雄二代表に聞いた。


 ITFは一八九六年、スト破りに対抗するための国際組織の必要性を認識した欧州の船員組合と港湾労働者組合の指導者によって、英国のロンドンで結成された。
 現在ITFは、海運・港湾・鉄道・路面運輸(バス・タクシー・トラック)・水産・民間航空・観光・内陸水運などで働く労働者を組織している。世界百五十四カ国の七百五十九組合が加盟しており、組合員は四百七十万人以上に達している。
 特に航空や海運などは複数の国や地域を職域としており、欧州では鉄道も複数の国にまたがっており、どうしても国際的な労働条件や安全基準を統一する必要がある。そのために世界的なキャンペーンも必要だし、交通運輸労働組合の争議も他国の組合からの直接的支援を必要とする場合には国際支援を行っている。

ストの背景は労働者犠牲
 最近、ドイツのルフトハンザや英国のブリティッシュ・エアーウェイズなどの航空労組はストライキで闘った。その前にはケニアやインドでもストで闘っている。これらは、規制緩和が前提にあるが、リーマン・ショック以降の経済危機の中、企業は生き残りのために労働者と利用者へ犠牲を押しつけており、それに反対する闘いである。また、日本航空(JAL)の再建問題でも二万人削減など労働者に犠牲を押しつけ、さらに退職者への年金削減などの攻撃がある。
 ITFとしては、五月十八日、十九日に航空会議を開催し、航空労働者の労働条件などの維持・向上のために議論を行い、方針を出す。
 次に海運だが、かつて日本には五万人の外国航路の船員がいたが、今は二千五百人しかいない。これは企業が賃金の安い外国人船員を雇用するようになったことが背景である。また、外国航路の船員は賃金がドルで比較されるため、円高によって日本人船員は高コストとされ、多くの職場を失ってしまった。だから今では船員のなり手がいない。こうした問題もわれわれの課題になっている。
 陸上では鉄道や交通運輸がある。かつてニュージーランドや欧州では国鉄を民営化し、日本もそれに続いた。だが、ニュージーランドでは再国有化した。欧州ではすべてではないが、再国有化が起きている。例えば、英国ではロンドンとスコットランドを結ぶ鉄道路線が再国有化された。これらの事実は、規制緩和による民営化が失敗したことの証明でもある。
 日本の国鉄も分割・民営化による不当解雇問題が起き、最近やっと解決の兆しが見え始めた。ITFでは国労問題についても支援してきたが、引き続き努力していく。

港湾では連帯が進む
 港湾関係だが、日本では海員組合と全国港湾、港運同盟が海港労協をつくり連帯がいっそう進んだ。これは大きな力になっている。最近の港湾のストライキでは、この海港労協の支援体制ができている。
 港湾関係では当面、国際コンテナ安全運送法(仮称)の成立をめざしていく。現在、コンテナについては中を開けることができない状態になっている。そのために中がどうなっているか分からない。コンテナ内部できちんと荷物が固定されていればまだしも、単に品物がバラバラに入っていれば、トラックで運ぶ時バランスが取れない。事実、昨年、バランスが崩れてコンテナ・トレーラーが横転し、乗用車を押しつぶす死亡事故が起きている。
 規制緩和によって雇用、賃金だけでなく安全まで緩和された。これを正すためにわれわれは安全の規制強化を求める運動を進める。国際労働機関(ILO)に国際コンテナの安全条約をつくるよう求めていく。

民主党は公共交通体系を示せ
 高速道路の千円や民主党の無料化問題があり、公共交通は疲弊(ひへい)している。JR四国は売り上げが落ち込んでいるが、企業努力の範囲では収まらない。本四架橋も一本でよかっただろう、と言われているし、フェリー会社も何社も廃業している。
 本来なら、鳩山政権は公共交通体系について全体を示すべきだが、そうなっていない。多くの労働組合が新政権を支える側だから、鳩山政権に政策を反映させていくべきだ。
 企業は生き残りのために犠牲を労働者と国民に押し付けてくるが、鳩山政権は国民がどうやって生きていくのかを見せていない。だから国のあるべき姿を示すべきである。
 こうしたことから十月にはスイスのジュネーブで公共交通と公務について合同で会議を開催し、闘う方向を打ち出していく。
 いずれにしても企業が生き残るために労働者と利用者の安全を省みないのであれば、われわれは安全の規制強化を強く求めていく。今年の世界大会は、八月にメキシコで開かれるが、中心議題は「労組は危機にどう対処して組織化を進めるのか」である。そこでも世界中の労組が闘う方向を出していく。


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