労働新聞 2008年7月5日号・4面 労働運動

グッドウィルついに廃業へ
労働者の使い捨てやめよ

厚労省の責任は重大/
救済策直ちに実施せよ

 派遣最大手のグッドウィル・グループ(GWG)は六月二十五日、子会社で日雇い派遣事業を行っているグッドウィルを七月末に廃業することを決めた。同社は派遣法で禁止されている港湾事業への派遣などを繰り返し、今年一月には東京都労働局から事業停止命令を受け、職業安定法違反ほう助や派遣法違反で摘発を受け、厚生労働省は同社に対し、派遣事業許可の取り消す方針であった。事業取り消しは当然としても、同社には日雇い派遣労働者などの登録型派遣労働者は二百四十九万人おり、一日当たり多い日では約三万人、少ない日でも約七千人の労働者が派遣され働いている。廃業を決定した同社はこうした結果を招いたことについて謝罪し、労働者の生活を守り、生活・賃金保障を行うべきである。また、こうした違法派遣への監視を怠ってきた厚労省の責任も重大だ。二十六日には同社で働く労働者でつくるグッドウィルユニオン(全国ユニオン・派遣ユニオン加盟)が国会内で厚労省に対し、要請行動を行うと共に、同社本社への申し入れ・抗議行動を行った。


ユニオンが要請行動
 厚生労働省に対する要請行動にはグッドウィルで働く労働者が多数参加した。
 冒頭、関根秀一郎・派遣ユニオン書記長が(1)同社のような悪質な派遣会社への監視を怠り、その結果、多くの労働者が多大な被害(低賃金、不安定雇用、労災、不当なピンハネ、許可取り消しによる失業など)を受ける事態を招いた責任を認めること(2)同社の突然の事業廃止について厚労省としての見解を明らかにすること(3)廃業によって失業する労働者に対する緊急対策として、雇用保険、日雇い雇用保険のそ及加入による給付を行うこと?廃業という事態に対して厚労省としてどのような対策を準備しているのか明らかにすることーを求めた。
 こうした要請に対し、厚労省側は自らの責任を回避する回答に終始した。また求められている緊急対策については、各都道府県の労働局や職安に相談窓口を設置したと答えた。
 この回答に対し、関根書記長は今年一月に同社が業務停止命令を受けた際にも同様の窓口が設置されたが、「急に仕事がないと言われ、今日生活できるお金がない。仕事もない、どうしたらいいのか」というケースに対して「職安に行ってください」というような「アドバイス」しかなかったことを指摘、「失業していく労働者の救済策にはぜんぜんならない」と厳しく批判した。こうした批判についても厚労省側は抽象的な回答に終始、ユニオン側がさらに回答を迫ると答えに窮する始末だった。
 また日雇い保険のそ及加入についても法制度をタテに「できない」と回答し、これまで派遣各社に保険加入を「周知を徹底してきた」などと強弁した。
 しかし、この回答について出席した同社労働者から「(保険加入について)事務所の片隅にちっちゃなコピーが張られていただけ。それで周知なのか」とそのお粗末な「周知」の実態について指摘されると「結果としては(周知が)至らなかった」と認め、さらに手帳の交付が全国でわずか五件で、同社で交付を受けたという報告がない事実を明らかにし、実際には日雇い保険加入についての周知がおざなりであったことが浮き彫りとなり、労働者からは「(現行制度では)生きていけない人がいる」「失業対策は何もない。見捨てるのか」と怒りの声が上がった。
 また、厚労省として同社のような違法行為繰り返す派遣会社への監視を怠ってきた事実については「適切に指導してきた」と居直ったが、ユニオン側から「港湾事業への違法派遣は私たちが指摘したから明るみになったではないか」との反論を受け、「適切な指導」がまったくなされていない事実が再度明らかになった。
 そしてユニオン側が求める派遣法の抜本的な見直しについても明確な回答を行わないなど、全体通じて、厚労省の責任回避・労働者切り捨ての姿勢を改めて示す機会となった。
 この要請行動の後、ユニオン組合員や同社労働者は東京・六本木にある同社前に移動、団体交渉の申し入れを行った。
 ところが同社側は申し入れを拒否、最後の最後まで、労働者の声と要求を踏みにじる態度に出た。
 ユニオン組合員や同社労働者は支援にかけつけた他労組組合員と共に「労働者の使い捨てをやめろ」「未払い賃金を支払え」「データ装備費を返せ」と怒りの声を同社本社にぶつけた。

グッドウィルユニオン・梶屋大輔委員長の話
(廃業の一報を聞いて)ビックリした。事業停止命令を受け、事業を縮小していたのでいずれ廃業するとは思っていたが、これほど早いとは思わなかった。
(折口前会長が)もう退場したとはいえ、彼が生み出してきたさまざまな問題やつくってきた風土というはものすごくあると思う。その当たりの責任が追及されないのはおかしい。今日も団交を拒否するなど、会社側は相変わらずの姿勢だ。
 ユニオンとしては以前の団交申し入れに対し、拒否した会社側の姿勢について、労働委員会に申し立てもしている。また、「データ装備費」の返還を求めて裁判もやっていてこうした場での責任追及というのは引き続き行っていく。
 今後、解雇されていく派遣の人や内勤の社員の人たちからの相談にも乗って対応していきたい。



 今回の事態の多くの責任がグッドウィルにあることは当然だ。だが、こうした違法派遣を繰り返す派遣業者はまだ数多く存在しており、こうした悪徳業者への監督責任を怠ってきた厚労省、そして政治の責任は重大だ。加えて違法派遣を受け入れてきたトヨタ、キヤノンなどの自動車、電機メーカーの責任も問われなければならない。
 八六年に制定された現行派遣法は九九年に対象業務を拡大、〇四年には禁止されていた製造業への派遣も可能にと法改悪されてきた。
 このようにして、正社員の雇用が減少する一方で派遣労働がどんどん拡大してきた。しかし、派遣労働者の雇用期間は細切れであり(日雇い派遣は典型)、いつ解雇されるか分からず、しかも著しい低賃金だ。
 日本経団連の前身である日経連は九五年に「新時代の日本的経営」なる指針を発表、労働者の大多数を不安定雇用労働者に置き換えることを宣言、以降、リストラ、合理化で労働者は路頭に放り出され、仮に職を得た者もパートや派遣、アルバイトなど「安あがり」で不安定な雇用形態に追い落とされた。グローバル化の下、わが国多国籍大企業は国際競争に打ち勝つため、このような労働者の非正規化を進め、わが国歴代政権はそれに忠実に応えてきた。これこそが根本的な問題である。
 「秋葉原事件」など派遣労働者をめぐる問題が噴出する中、舛添厚労相が派遣法の「見直し」を明言、自公与党も「日雇い派遣の原則禁止」を言い出すなど、あたかもこの問題に善処するかのようなポーズを見せている。また、民主党など野党四党による派遣法改正に向けた動きも出てきている。
 しかし、民主党内には派遣法改正に慎重な勢力もおり、党内がまとまる保障もなく、まとまっても「骨抜き」にされる可能性もある。民主党に過大な期待を寄せるのは禁物である。事実、九九年までの派遣法制定・改悪の過程で、民主党(社民党も)はこれに賛成、労働者の大規模な非正規化に手を貸してきたからである。
 また、たとえ「良い」野党案がまとまり、成立したとしてもそれを文字通り実現するには、労働運動が圧倒的な存在感を示すことが不可欠である。現行労働基準法でさえ、守らない企業は後を絶たないからだ。
 近々、派遣法改正・見直しに向けた与野党の案がまとまる見込みだ。今後とも、事態を注視してくことが必要である。(G)


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