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労働新聞 2007年9月5日号・4面 労働運動
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自治労第79回大会を傍聴して
小沢民主党への幻想を捨て
「改革」に怒るすべての
人びとと連携して反転攻勢を
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自治労の第七十九回定期大会が、八月二十八日から四日間、岩手県滝沢村で開かれた。この大会は、参議院選挙で自民党が歴史的大敗を喫し、民主党が参院第一党となって二大政党化が進み、議会政治ではいわゆる「衆参ねじれ国会」といわれる新たな状況があらわれた下で開かれた。それだけに、この変化した政治情勢をどのように認識するか、公務員バッシングによる受身から脱して闘う運動方針を確立できるかどうか、民主党への幻想がどの程度広がるか、あるいはわずかであれ民主党への根本的批判が展開されるか、注目された。
大会は、本部提案に対して代議員からかつてなくきびしい批判がぶつけられ、闘う方針の確立に向けて白熱した討論が闘わされ、本部提案がある程度補強される結果となった。
だが、総括的に言うなら、政治情勢を正しく把握し、自治体労働者と国民各層の高まる怒り、エネルギーを総結集して闘う方針を確立したとは言えず、反転攻勢に打って出る大会とはならなかった。とりわけ、社民党支持を含むどの代議員からも小沢民主党に対する本質的批判が展開されないまま、民主党を中心とする勢力への「政権交代」方針が「無風」承認されたことは、深刻な弱点、立ち遅れと言わねばならない。
連合の最大単産である自治労、その先進的活動家の皆さんが負っている責任は大きい。急速に変化する政治情勢を正しく見極め、複雑な党派闘争、政党問題にも正しく対処して先進的役割を果たされんことを期待して、若干の感想と意見を述べたい。
闘ってこそ道は開ける
「自治労21世紀宣言」を清算し、闘う路線の再確立を
大会には、(1)「二〇〇八年〜〇九年度運動方針」と「当面の方針」、(2)全水道・都市交・自治労の二〇一〇年完全統一に向けた「地公三単産の組織統合の取り組み」、(3)単組強化、臨時・非常勤職員などすべての公共サービスを担う労働者の組織化をめざす「第二次組織強化・拡大のための推進計画」などが主な議案として提案された。
討論の中心は当然ながら「二〇〇八年〜〇九年度運動方針」と「当面の方針」であった。
各評議会と女性部、青年部などの代議員、各地の代議員は、小泉政権とそれを継承した安倍政権による「小さな政府」攻撃、指定管理者制度、独立行政法人化、市場化テスト導入下での当局による民営化、人員削減、賃金カットなど自治体労働者への矢継ぎ早の攻撃の実態を怒りを込めて告発、それぞれの闘いの経験を踏まえて本部提案が現場の実感から乖離していると批判し、闘う方針の確立を求めた。
香川の代議員は、市当局による人材派遣会社の設立と非正規職員の転籍方針に対し、臨時職員の組合を結成して阻止した闘い、兵庫の代議員は、臨時嘱託職員の民間転籍攻撃に対し、十五カ月の闘争によって勝利した経験を報告し、各地で苦闘している仲間たちを激励した。
富山からは氷見市民病院の公設民営化に反対する住民と連帯した闘い、栃木からは佐野市当局による市民病院・介護施設の指定管理者への移行、宮崎からは都城市当局による非現業職員削減、現業職場の全廃する提案の闘いなどが報告された。
こうした各地の闘いを背景に運動方針案に対する批判は、現業職場における「直営堅持」の削除、「職の確立」なる新方針提起に反対する修正案の提出という形で集中的に展開された。修正案を提出した宮崎など四県本部だけでなく、多く代議員から、「民間委託への流れに歯止めがかからないから直営堅持の方針は見直して、住民の判断に任せる」と言うのは本末転倒で、「職の確立」に置き換えることは民間委託を容認するもの、それでは単組役員・活動家が自信をもって闘えない、との批判が相次いだ。
本部提案は、先に紹介した闘って勝利した各地の経験にも反するもので、その考え方の基本には、具体的闘いを回避した「質の高い公共サービスの確立を軸とした自治体改革運動の推進」など「自治労二十一世紀宣言」路線が貫かれている。とりわけ今回の運動方針案では、「職業能力を高め、仕事への責任を自覚しつつ、公共サービスに向き合うこと」「社会的責任」などがことさら強調されている。衛生医療評の代議員が批判したように、「『闘う』という文字をほとんど見つけられなくなり、現場実態に即した表現が少なくなっている」。
闘ってこそ道は開ける。闘ってこそ組織の強化、拡大も進む。これこそが、この数カ年の闘いの経験が教えているところではないか。
「自治労二十一世紀宣言」は、政府の「改革」攻撃、当局の攻撃の中で無力さをさらした。自治労運動の前進のためには、「宣言」の協議・参加路線をきっぱり清算し、各所で噴き出している怒りとエネルギーに依拠して闘う路線を再確立すべきときではないか。
視野を広げ、自民党を大敗に追い込んだ国民各層の
怒りと結びつけば、「改革」政治を打ち破ることは可能
大会の議論を聞いていて、もう少し視野を広げ、戦略的に考えれば、公務員バッシングの攻撃を打ち破って主導的に闘い、国民各層の怒りとエネルギーを総結集して「改革」政治を打ち破る組織者になれるのに、と感じさせられた。
今回の参院選挙の結果は、自民党の歴史的大敗となったが、それを導いたものは「改革」によって見捨てられた国民の怒りであった。注目すべきは、「改革」によって見捨てられた人びとの中には、労働者だけでなく、かつて自民党の支持基盤であった農民、建設業者など中小商工業者が含まれていることである。
「改革とグローバル化における勝者」の最たるものは、まさにトヨタや松下、キヤノンなど一握りの多国籍企業であり、かれらが世界的競争に勝ち残るために、「国内コスト」を安上がりにする「改革」を進め、広範な国民各層に犠牲を押し付けてきた。今回選挙で、犠牲を押し付けられた人びとが我慢の限界に達して声をあげたのである。
そのように状況を見るなら、「改革」政治に憤り、ともに恨みを抱く「友」はいたるところにおり、それらをしっかりと結びつけ総結集できれば、「改革」政治を打ち破る展望が描けるのである。公務員バッシングによって分断、孤立させられている状況から脱し主導的に闘うことができる。
地域とのつながりがある自治労の特性を生かして、視野を広げ、大胆に地域に入り、「改革」によって見捨てられた人々と話し合い、政府への要求をつきつける運動をおこすべきであろう。北海道では、日豪経済連携協定(EPA)問題で農民が立ち上がっているが、連合北海道は共同して闘っている。自治労がこうした闘いの積極的な組織者になることは可能である。
民主党は財界の二大政党制の一方の装置
政策的対抗軸を鮮明にした「議会の新党」を
大会の討論で、失望を禁じえなかったことがある。参院選挙の結果つくりだされた政治情勢をどうみるかほとんど議論がなかった。民主党への根本的批判もどこからも聞こえなかった。
端的に言って、自民党の歴史的大敗で「衆参ねじれ国会」となって議会政治は不安定化、解散・総選挙をにらんで党派闘争が激しくなり、波乱含みの政局となっている。
小沢民主党は、与野党逆転した参院を主戦場に、安部政権を揺さぶり、早期に解散、総選挙に追い込み、「政権交代」を実現しようとしている。他方で、小選挙区三百議席の過半数を制することを戦略に、参院選挙に続いて連合、自治労を選挙戦力の中心にしようとしている。
大会二日目、鳩山幹事長が挨拶し、あいはらくみこ五十万票超の得票、自治労の底力を天まで持ち上げ、社民党の又市幹事長当選のお礼までリップサービスしたのは、社民党支持の県本部を含む自治労の力を民主党の選挙に動員したい一心からではなかったか。さらに、鳩山は「反対のための反対でなく、自公政権と大人のがっぷり四つに組んだ闘いをやれる政党に脱皮する」と幻想をあおった。
こうした小沢民主党の自治労への積極的アプローチにもかかわらず、大会では民主党への本質的な批判がなんらなされないまま、総選挙で「政権交代」をめざす方針が承認された。
社民支持のグループにとっては、党派的事情があって、民主党批判をしない態度をとったやに聞き及んでいるが、そうだとすれば、目前の利益のために原則上の闘争を回避したといわねばならない。
真に労働者と国民大多数のための政治を実現するために闘っているものならば、「財界の二大政党制の一方の装置である民主党の後についていっては救われない」と身を挺して暴露すべきであった。
すでに小沢民主党は、誰はばかることなく自分たちが「二大政党制」の片方をかつぐ政党であることを隠さず、宣伝するようになった。参院選挙で配布された民主党のマニフェストには、かつて自民党の代議士だった小沢が「二大政党制をつくり上げるしかない」と決意、一九九三年に自民党を離党して以来の政治経歴を掲載し、「民主党が政権を担う以外に、日本を救う道はない」と吹聴している。
二大政党制が、「国民生活を守るため」とか、「日本の民主主義のため」というのは、まったくのペテンである。わが国の多国籍大企業を中心とする財界が、自民党一党支配ではやっていけなくなり、九〇年代以降、それに代わる政治システムとして保守二大政党制を追求するようになった。対外政策など国の基本政策は同じで、どちらに転んでも財界の利益が守られる、そうした財界にとって都合のよい二大政党制、小沢民主党はその一方の装置である。
したがって、この党が「改革」で見捨てられた国民各層の要求をかなえたり、米軍再編や日米関係でこれまでの自民党の政策を転換することなどできるはずがない。
小沢民主党は、総選挙で勝利し「政権交代」するまでは、国民多数の票をかすめとるために、「自民党との対決姿勢」を打ち出し、財界や米国の要求に対してさえノーという政治的演技を行うかもしれない。
だが、政権に就いたなら、この党の基本的性格からして財界と米国の根本的利益を侵すことなく、許容する範囲の政策をとり、その忠実な手代として正体を暴露してくるに違いない。すでに民主党の議員の七割は自民党か保守系議員によって構成されており、国の基本政策では自民党との違いは少ない。他方で前原のような改憲論者もいて、憲法問題では亀裂もあり、民主党それ自身の再編もありうるのである。
闘おうとするものにとって、いよいよ二大政党制を挫折させる闘いを喫緊の課題として闘うときがきた。先進的活動家の皆さんが、小沢民主党の本質を見抜いて、「民主党基軸」の方針を見直し、国民にとって真に展望のある道を選択し、行動に移るよう訴える。
最初に、二大政党制を挫折させ、政治の根本的な転換を実現するには、政権を握る覚悟を持った革命的労働運動の形成が必要で、それは革命的な政党なしにできない。先進的活動家の皆さんに労働党に結集し、ともに闘われんことを呼びかける。
次に、二大政党制を挫折させるために、わが党が九〇年代以降の政治再編の経過と経験を踏まえて提唱してきた、社民勢力を中心にした広範な人びとによる「議会主義の新党」建設を決断し、踏み出すよう訴えたい。
今回の選挙結果は、社民党、新社会党など弱小議会政党には、埋没する以外なく、まったく展望が描けなくなったことを明らかにした。社民党の中には民主党との選挙協力に活路を求める意見や「政権共闘」の願望などあるが、それは自殺行為で、闘いを望む地方や労働組合の活動家の期待に背く道である。
われわれは、社民勢力の皆さんにとって、「議会主義の新党」だけが唯一の展望であると訴えたい。
保守二大政党と政策的対抗軸を鮮明にし強力な国民運動が担える条件を備える必要があろう。
民主党への幻想が強まっている今、先進的活動家の皆さんが率先して決断し、具体的な流れをつくることが求められている。
情勢は、大局的には闘うものに有利である。現状を打開する戦略的な展望を明確にし、意識分子が結束すれば、展望を切り開くことは可能である。
自治労の先進的活動家の皆さんに、ともに闘い、前進することを訴える。
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