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労働新聞 2007年8月5日号・4面 労働運動
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能代運輸(秋田)が
再び参入策す
港の秩序と雇用破壊する
新規参入絶対阻む
産別協定順守迫る
発展した共闘生かし闘う
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昨年十月、能代運輸の秋田港への新規参入に対し、全国港湾(全港湾、日港労連などで構成)は産別統一闘争として全国統一ストライキを決行、新規参入を断念に追い込んだ。ところが、今年六月、能代運輸は再び新規参入を安定化協議会(労使、行政で構成)に申請した。業界団体である日本港運協会は「限定的に」ということでこの新規参入を容認する姿勢を見せている。この事態に対し、全国港湾は闘争宣言を発し、ストライキ含む闘いを構えている。七月二十三日には全国各港で統一決起集会を開き、あくまで新規参入に反対することを確認した。職場を守るため、実力行動含む闘いを展開している全国港湾傘下の労働者の闘いはわが国労働運動にとって重要な位置を示している。この闘いについて、伊藤彰信・全港湾書記長に聞いた。(見出し、文責は編集部)
発展した共闘生かし闘う
全港湾 伊藤彰信書記長に聞く
能代運輸は、自ら東北地区港湾安定化協議会の開催を要請したにもかかわらず、その審議中に、許可申請を東北運輸局に提出した。これは非常識なことであり、能代運輸が非常に問題がある企業だということを示している。
その後開かれた協議会で、能代運輸側は申請内容を変更すると言い出した。その内容というのは業務範囲について「現状当社で取り扱っている貨物」という文面を「今後自社で取り扱う予定の貨物」と訂正するという。
今回、能代運輸側は「自社の貨物限定」という形で申請をした。しかし、「限定」といいながら、「十七品目を取り扱う」と言っている。十七品目ということは無限定に近い内容だ。私たちの調査で、この十七品目には現在、能代運輸が事業を行っている能代港で取り扱っていない貨物が含まれていたことが分かった。「今後、自社で取り扱う予定の貨物」ということは、「いま、他社が取り扱っている貨物も私たちは扱う」という意味だ。これで能代運輸が新規参入すれば、当然、荷物の奪い合い、混乱が起きる。他所の荷物を奪うためには料金を下げ、各社間での料金ダンピング競争が発生するのは明らかだ。それは、労働条件の引き下げと、雇用不安をもたらす。
〇七年春闘協定では、日港協と「港運秩序を乱す新規参入には反対である」という協定を結んでおり、能代運輸の参入を日港協が認めるなら、これは産別協定違反に他ならない。「秩序を乱さない新規参入はよい」「限定的」という屁理屈は通用しない。
能代運輸側は、申請に当たって「日港協の了解を得て申請をしている」と周辺に言いふらしているようだが、日港協側は「許可の申請内容を承認した覚えはない」「指導はやってきたが、その指導と違った中身で申請をしている」「迷惑だ」と明言している。
そうであれば、日港協として能代運輸の新規参入を承認しないということを明確にすべきである。こうした問題のある企業を日港協としても迎え入れるわけにもいかないはずだ。
日港協側は「申請をしているのは能代運輸。その立場も見ながら対処しなくてはいけないので、少し時間をくれ」という。日港協の理事会が米国で開催されることや、お盆に入るというスケジュールもあり、一時「休戦」ということだ。
「秩序乱さない新規参入」などあり得ない
しかし、私たちの立場と主張はいっさい変わらない。あくまで「新規参入には断固として反対」ということだ。「秩序を乱さない新規参入ならよい」ということではなく、「新規参入そのものが秩序を乱すものだ」と考えている。だから、「秩序を乱す新規参入か、乱さない新規参入か」という議論をするつもりはいっさいない。新規参入は料金ダンピングと各社の荷物の奪い合いをもたらすものだ。港湾荷役事業者の経費の七〜八割というのが労務コストであり、当然ダンピングするためには労務コストを削るということにつながる。
港湾運送事業では、「貨物が別の港に移動すれば、事業許可も自動的に移動する」ということではない。許可というのは港ごとのものである。貨物の移動にともなって、許可まで自動的に与えられるとすれば、港ごとに事業認可を与えると必要はなくなってしまう。そうなれば、港運事業者であれば、だれでもどこでも進出できるようになってしまう。これを容認すれば、大手の港運業者が他の地方港にどんどん進出して、港運業者同士の競争、つぶし合いが始まるということだ。
能代運輸に仕事はさせない
当然国土交通省に対しては、能代運輸の申請について「却下せよ」ということで要求している。しかし、国交省側は「法律論」をタテに許可申請を認める可能性がある。
だが、「許可が認められれば負けだ」ということでは全然ない。例え、許可が下りても(もちろん出させない闘いも重要だが)、闘争は終わらない。具体的には、能代運輸に対して、秋田港で仕事をさせないようにする闘いに取り組むということだ。
また、港運協会に対しても、〇七年春闘協定で、約束した内容をキチンと履行せよと迫っている。
昨年の闘いの総括として、安定化協議会を通じながら、労使共に、「港湾運送事業の秩序を維持しよう」と合意している。これは行政も認めていることだ。そして、今後もこの安定化協議会を活用していこうという矢先に、能代運輸が、突如として新規参入を申請してきたわけだ。港湾運送事業の秩序を守るために労使でいろいろ知恵を出してできた一つの方策が、安定化協議会だ。規制緩和が進んできている現状に対する、セーフティーネットだ。このセーフティーネットを破壊するようなことを認めるわけにはいかない。
統一行動に他労組からも参加
港湾運送事業というのは、各港の地域住民の生活と、地域産業の振興に役立つような地域性が重要だ。地域経済、生活に密着した形で、港をどのように運営していくのか。こうした方向性をもたなければいけない。
しかし、新規参入とそれに伴うダンピング競争の渦の中に巻き込まれてしまっては、港湾労働者の雇用と生活環境の悪化は避けられず、ひいては地域経済と住民にとっても悪影響を及ぼすだろう。
七月二十三日の全国各港での統一行動には地域の海員組合や国労など他組合からも参加があった。来ていただいて感謝している。また、昨年来の闘いと十月のストライキで流れが変わり、共闘関係が発展している。この共闘関係を大事にしながら闘いを進めていきたい。
大手の港運業者が、他港への進出を狙っているなどの動きは各地から情報としてたくさん聞いている。今回、焦点になっている秋田港だけではない。ここで突破されるわけにはいかない。負けられない闘いだ。
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