労働新聞 2007年6月25日号・4面 労働運動

徹底検証シンポ開かれる
破壊進む労働現場から実態報告

労働ビッグバン絶対許すな

 六月十九日、安倍政権の下で初めての「骨太方針」が打ち出された。参院選を直前に控え、日本経団連がもくろむ「労働ビッグバン」については「引き続き検討」などとあたかも先送りするかのような表現となっている。しかし、これは小泉、安倍と続く「改革」政治に怒りをもつ多くの国民のさらなる怒りの声をかわそうというものに過ぎない。御手洗経団連は国際競争力強化のため「安上がり」の労働力確保のため安倍政権の尻をたたいている。労働運動の真価が問われており、財界の狙いを挫折させなければならない。安倍などは「再チャレンジ」などとあたかもこの「格差社会」の「是正」に取り組むポーズを取っているが、まったくのデタラメだ。六月十三日には東京で「労働ビッグバン」を問うシンポジウムが開催された。


 集会には約二百人以上が詰めかけた。
 冒頭、主催者あいさつを行った古谷杉郎・全国安全衛生センター連絡会議事務局長は「今国会ではホワイトカラー・エグゼンプションの法案提出をわれわれの力で見送らせることができた。しかし、政府・財界は導入を決してあきらめたわけではない。参院選以降、出してくる。キチンとこの問題をとらえなくてはいけない」と述べ、先ごろ厚労省、が発表した〇六年度の過労自殺統計も紹介しながら、「労働ビッグバン」阻止に向けた闘いを呼びかけた。

財界の狙いを暴露
 続いて、浜村彰・法政大学教授が「労働ビッグバンは何をもたらすのか?」と題した講演を行った。
 浜村教授は「『労働ビッグバン』は、労働市場におけるさまざまな規制を撤廃、あるいは緩和して労働力を流動化させる政策だ。今年四月にこの専門調査会の第一次報告書『働き方を変える、日本を変える ワークバランス憲章』が出された。そして今年五月三十日には「規制改革推進のための第一次答申?規制の集中改革プログラム」が出され、六月十二日には「骨太方針二〇〇七」が出されたが、そこでは『安心して働けることが重要』と『労働ビッグバン』についての具体的な内容は明らかになっていない。これを受けて一部マスコミは『労働ビッグバン自滅』と報じたが、これは参院選に向けて封印されたもので、参院選が終われば持ち出されるだろう」と報告、『労働ビッグバン』に対して引き続き警戒していく必要性を強調した。
 そして、五月二十一日に出された政府・規制改革会議の「脱格差と活力をもたらす労働市場へ 労働法制の抜本的見直しを」が「労働ビッグバン」の主な内容になるとして、紹介された。
 浜村教授は「この基本的な考えと打ち出されている『当事者意思の最大限尊重に基づく自由で開かれた労働市場の再構築』というのは?『規制撤廃』による『丸裸の労働者』の対等で自由な交渉促進?労働組合・労働者代表不要論?政策立法の優位と判例の軽視?労働政策審議会(公労使三者協議)の否定と政策決定のフリーハンド化だ」と問題点に触れ、その上で解雇の金銭和解制度の導入や、派遣受け入れ期間の制限、派遣禁止対象業務の完全撤廃、同一労働・同一賃金原則の否定などが狙われていると紹介した。
 その上で、労働市場のいっそうの市場原理主義化、「成果」の上がらない労働者の切り捨て、そして、「市場の暴力」にされされる労働者と企業による労働者支配の完成が政府・財界の狙いであると喝破(かっぱ)した。

現場から切実な声
 その後、各労働現場からの報告が行われた。
 天丼チェーン店「てんや」の元店長で、東京管理職ユニオンに所属して闘っている高橋昌彦氏は「残業代なしで九時半から二十四時近くまで働かされて体、精神ともボロボロだ。いま、長時間労働・残業代不払いで会社を提訴している。『ホワイトカラー・エグゼンプション』が導入されたら多くの職場で同様なことが起きるだろう」と報告した。
 全国一般東京労組の中原純子氏は改悪パート労働法について国会で意見陳述したことを報告、「ごくわずかの『準正社員的パート』だけが差別的取り扱い禁止の対象だ。パート労働者間に分断を持ち込み、差別を固定化するものだ」と述べた上で、あらゆる労働法制の改悪阻止のため、犠牲を強いられている各層との連携の必要性を強調した。
 子会社コムスンの大規模な不正請求などで大きな批判を浴びているグッドウィルで闘っているグッドウィルユニオンの菅本省吾氏は、理不尽な日雇い派遣労働の実態について報告した。
 宮本一・全建総連労働部長は「組合員の多くは一人親方、個人事業主扱いで、労働者性が無視され、『ケガと弁当は手前もち』だ。また偽装請負が横行している」として、日本人材派遣協会へ申し入れを行ったことや、山形県で労災にもかかわらず、労災適用されず、裁判で闘っていることを報告、支援を呼びかけた。
 全統一労組の中島浩氏は雇用対策法改悪によって、雇用主である企業が、外国籍労働者に関する個人情報を届出する制度が創設されたことを紹介、外国人労働者に対する差別強化に反対することを訴えた。
 また関連して発言したパキスタン人労働者は、自ら体験した差別体験にも触れ「外国人差別は日本社会の問題だ」と指摘した。
 集会のまとめを行った棗一郎・日本労働弁護団事務局次長は「もし『労働ビッグバン』が通れば、雇用が破壊され、いま以上に弱肉強食の社会になる。労働組合もコケにされている。絶対に許してはならない」と締めくくった。


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