労働新聞 2007年4月15日号・4面 労働運動

全国港湾・港湾同盟
ストライキで要求実現

春闘闘う中小労働者に大きな激励
48時間スト構え、業界の譲歩迫る

 全国港湾労働組合協議会(全国港湾、元木末一議長、約三万人)と全日本港湾運輸労働組合同盟(港運同盟、新屋義信会長、約三千三百人)は、全国の港で四月八日、午前八時から二十四時間ストライキを打ち抜いた。一部の港では賃金交渉の妥結が進んだため時限ストとなった(二十四時間スト=東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門、博多。二時間スト=釧路、塩釜、新潟、伏木、金沢、清水、四日市、長崎、鹿児島、那覇。一時間スト=苫小牧)。港湾での二十四時間ストは規制緩和反対、事前協議制への日米両政府の介入に抗議して九七年十一月に行われて以来。
 各港では早朝から組合員がかけつけ、スト破りを警戒してパトロールが行われた。
 全国港湾は〇七年春闘要求の中で、(1)新規参入絶対反対、「雇用と就労の安定化対策」を図れ、(2)七二年以来闘いとってきた幾多の労働条件を順守せよ、(3)産別賃金制度の維持と拡充、(4)アスベスト被災対策のため「基金」をつくれ、(5)大幅賃上げを実施するよう加盟各社に指導しろなどを求めてこの間、業界団体である日本港運協会(日港協)と中央団交を行ってきた。
 そして四月四日に開かれた第三回中央団交で、組合側が求めていた要求に対し、日港協側が満足のいく回答を行わなかったためだ。
 こうした日港協の対応に対して、組合側は強く反論、団交は決裂、直ちに全国港湾は全港・全職種を対象にストを指示、港運同盟も「全国港湾と歩調を合わせて共に行動する」と通告、ストに突入した。また、十五日午前八時からの四十八時間ストも構えて、強力な交渉を行ってきた。
 こうした力による闘いを背景に四月十三日に行われた第四回中央団交では、日港協側は「事態の収拾に努めたい」とし、新規参入についても「反対」を表明、またアスベスト対策では資金一億円の基金をつくることを表明、組合側に大きく譲歩した回答を行った。こうした回答を受け、団交は妥結、新規参入に反対する、違法な派遣労働は認めない、産別協定の順守、アスベスト対策基金の設立などを盛りこんだ仮協定書が結ばれた。
 昨年十月に秋田港へ能代運輸が新規参入を表明したが、全国港湾の産別統一闘争で全国の港で一時間のストを行い、この新規参入を阻止した(本紙〇六年十一月五日号・4面参照)。
 この秋田での闘いに次いで、今回のストも労働組合が団結を強化し、力による闘いを前面に押し出せば、要求を勝ち取れるということを示すものだ。
 折しも、〇七年春闘が中小を中心に闘われている。「ストなし春闘」と言われて久しいが、あくまでストを背景にした闘いこそが要求をもぎ取る強力な武器であることも教えている。こうした意味でも今回の港湾でのストの経験は貴重であり、学ぶべき点が多くある。
 各地でストを闘った全港湾支部委員長の声を紹介する。


画期的なストライキだ
全港湾関東地方横浜支部 新田 勝正 委員長

 横浜ではスト破りを警戒して組合員でパトロールしてきたが、あらかじめストが分かっていたので「除外届出」が出ていたコンビニ商品関係など以外は仕事をしていなかった。
 日本港運協会(日港協)は〇一年春闘で国際競争力確保とグローバル化を受けて逆提案を行い、労働コスト(料金)の担保を先送りしたままで、三百六十四日二十四時間フルオープンを受け入れた。
 〇四年春闘で、日港協は料金収受を確約し、賃上げすると協定したが、経営側が協定を反故(ほご)にしてきた。この日港協の無責任な対応に三年越しの春闘をこのストで闘っている。そのため、六大港の船内を中心に組織している日港労連は昨春闘で、二十年ぶりのストを行った。また、昨年阻止した新規参入問題も能代運輸(秋田)の再申請などの動きがある。そしてアスベスト問題など、港湾労働者への犠牲の押し付けが進んでいた。
 昨年、全港湾は元木さんが委員長になり、湾産別である全国港湾の議長になった。そうした下で、昨年十月には能代運輸の新規参入に対して「全国統一スト」を打って、産別内部の団結が進んだ。
 全国港湾の〇七春闘はこうした経過で闘う方針を確立し、中央交渉で断固として組合員の要求を実現する姿勢で交渉してきた。これまでは、賃上げはバラバラに要求していたが、三月二十八日を回答指定日として設定して取り組んだ。
 地方港では賃金交渉が進んでいたので、今回のストライキでも二時間になったところもあるが、それでも画期的なことだ。

闘わねば職場守れぬ
全港湾日本海地方本部 山崎 時春 委員長

 日本海では春闘での賃金交渉がいちおう妥結したのでストは二時間だけ行った。今回のストは港湾労働者の課題だけではなく、交通・運輸で働く労働者をはじめとする全労働者にとっても大きな意味合いをもつと思う。
 とくにタクシーやバスなど交通・運輸の分野では規制緩和とそれに伴う新規参入、そして過当競争で労働者の生活は破壊され、職場もメチャクチャだ。こうした流れを港湾まで波及させたら大変だ。なんとかこうした流れを押しとどめなければいけない。そういう意味合いで港湾が全国でストを打ち抜いた意義は大きいと思う。
 いまのところ、私たちのところでは新規参入の動きは出ていない。労資での信頼関係、そしてなによりも私たちの闘いの蓄積があって、新規参入の動きを阻止してきた。
 全港湾は「やると言ったらやる」という有言実行の組合だ。闘わなければ自分たちの職場は守れないし、前進はない。そういうことで職場で常に意思一致してきた。
 中央団交での結果も見なければいけないが、あくまで闘うことを前面に打ち出して臨んでいきたい。これは変わらない姿勢だ。

若い組合員に良い機会
全港湾九州地方博多支部 牧園 五郎次 委員長

 当日は朝と昼の二回に四班に分かれて港をパトロールした。とくだんスト破りのようなことはなかった。
 いまは一般の組合員もストの仕方など十分に知っているわけではない。そういう意味で、ストのもっている意味やその仕方などについて若い組合員に改めて教える機会にもなった。
 新規参入の動きがもしあれば、「われわれは日本の港を止める力がある」ということを見せつけなければいけない。自分たちの力を出して、その闘いの経験を組合員と共有するという上でも必要だ。こうした闘いは今後も必要だ。
 昨年の能代運輸の問題などはまだ終わっていない。まだ闘いは始まったばかりだと感じている。
 交通・運輸業界で規制緩和が進み、ガタガタになってしまったが、もっと労働組合や業界がしっかりしていればこのようにはならなかった。港湾では業界、労組ともまだ新規参入をコントロールできる優位性をもっている、これを薄めては絶対にダメだ。
 博多港を「ストライキもしない港湾」と言われてはいけない。港湾労働者として誇りに思うと共に、責任の重大さを改めて痛感している。


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