労働新聞 2007年3月25日号・4面 労働運動

荒川区
非常勤職員の制度見直し

組合が動き待遇改善へ前進

自治労荒川区職員労働組合
白石孝書記長に聞く

 東京都荒川区では新年度から非常勤職員の処遇改善に向けた制度見直しが実施される。新しい制度では採用基準を統一し、役割などに応じて三つの職層を設定する。また雇用期間についても継続雇用を明確化する。非常勤職員の待遇改善に向けては自治労荒川区職労はこの間、非常勤職員へのアンケートを実施するなど、その要求実現に尽力してきた。全国の自治体で約三十五万人いるといわれている非常勤職員だが、その賃金は低く抑えられ、雇い止めなどにあうケースも多い。今回の荒川区の制度見直しはこうした自治体で働く非常勤職員にとって大きな希望となるものである。白石孝・自治労荒川区職労書記長に聞いた。(見出し・文責は編集部)


一般職と非常勤職員との大きな格差
 私たちの取り組みは、現実に正規職と非正規職との間にある格差をどうやって埋めていくのかという考え方から出発した。
 すでに荒川区では、窓口業務や図書館司書などに非常勤職員が約四百人もいる。こうした非常勤職員の存在なしに、区の仕事は回らない。
 実は、地方公務員の非正規職の待遇というのは、地方公務員法がもっている矛盾が全部反映しているものだ。
 まず雇用年限だが、期間が「一年」と規定されている。あくまでも「一年」で、「常勤的仕事ではない。だから非常勤」という位置づけだ。また、地方公務員法の公務員の位置づけは二つに分かれており、一般職の公務員と、特別職の公務員がある。非常勤職員は、ほとんどが特別職地方公務員の位置づけをされている。
 この特別職地方公務員にはボーナスにあたる「期末手当」「勤勉手当」、あるいは残業代である「超過勤務手当」、退職金である「退職手当」など、一般職では当たり前に支給される諸手当がいっさい出されない。あくまで基本給のみだ。その基本給も「報酬」という言い方をされている。この地方公務員法に則ったという形で、各自治体は給料のみしか支給していない。
 荒川区では非常勤職員でいちばん長く勤めている方が勤続三十年を越える。しかし、その方は一度もボーナスをもらったこともないし、定期昇給すらなく、給料面の格差は歴然とある。だが、やっている仕事は勤務時間が短いだけで量も内容も正規職と変わらない。一般職は毎月の給料プラス「地域手当」「期末・勤勉手当」を合わせたのが年収だ。年収で少なくとも三百万円はなければ、最低限の暮らしはできないのだから、目標は三百万円だ。それを十二カ月で割って支給せよと、当局に求めてきた。

雇い止めが難しく
 今回、区当局は新年度から(1)一般非常勤職員(2)主任非常勤職員(3)総括非常勤と非常勤職員を三つの職層を設け、六年継続した一般非常勤の二〇%程度を主任非常勤として採用するという制度を導入する考えを示した。
 報酬額も事務嘱託員で現行の月額十六万八千六百円から十七万千三百円へ、二千七百円だが増額となる。また図書館事務嘱託員でも六千七百円の増額となる。
 まだまだ一般職員との格差が埋まったわけではなく、不満は残っている。だが、非常勤職員の待遇改善の手がかりになった。
 また、一年契約の繰り返しである非正規職に対して、長期継続雇用というものを前提とした制度に切り替えたという意義がある。
 もう一つはまったく均等ではないけれども、均等待遇に近づける努力をした。その二点はいちおう評価点としてあげられるのではないか。
 自治労の調査によっても、全体の四〇%ぐらいの自治体で、雇用年限を決めた非正規職の採用が行われている。東京二十三区でも半分ぐらいの区で、一年契約を三年、五年と更新していくと、その後は更新せず、実質的に解雇するというのがごく当たり前のように横行している。
 今回の荒川区の対応というのは、例えば非常勤職員でも正規職員同様に研修が受けられるとか、人事異動もあるということは、長期的、継続邸雇用が前提とした制度でないとあり得ない。雇い止めということはなかなかできにくくなるだろう。

具体的な取り組みこそ「格差是正」の道
 ポイントは正規職の組合がどれだけの問題意識をもって、非常勤の方々に働き掛けをしていくのかにかかっている。正規職である一般の組合員の意識がどれだけ変わるかどうか。いまでも「なぜ組合はこれほど非常勤の問題をやるのか」という不満の声が一部にある。もう一つは、当事者である非常勤職員自身が、どれだけ主体的に取り組めるかどうかだ。
 非常勤職員の組織化の面だが、「組合に入ってまで…」という人もいるが、自分が組合に加入し、担っていくことを働きかけたい。
 地域や連合の春闘集会でも言葉だけで「格差是正」と言っても、具体的に「何をやっているのか」というのを出さない限り、非正規やパートなどの人は組合に魅力を感じないだろう。
 まず第一は、正規職の組合役員の考え方の転換が必要だ。そして、具体的に非正規職の待遇改善へ手をつけることが肝心だ。そこに一歩踏み出さないと「格差是正」と言ってもお題目で終わってしまう。やらないと話にならない。


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