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労働新聞 2007年2月15日号・4面 労働運動
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賃上げ実現し内需の活性化を
今年こそマイナスベアに
歯止めかける
小出 幸男・連合中小労働
センター委員長、
JAM会長に聞く
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〇七春闘の火蓋が切って落とされた。トヨタなど多国籍大企業が笑いも止まらぬほどの高収益を更新する一方で、中小企業の回復は遅れ、労働者への配分は下がり続けている。大企業と中小企業、正規と非正規の賃金格差はかつてなく拡大を続け、年収二百万円未満の労働者層が増大している。今春闘は、まさにこうした流れに反転攻勢をかけるものでなければならない。JC共闘が形骸化する中、連合内のJAM、UIゼンセン同盟、全国一般など中小労組を抱える産別は、「中小共闘センター」を立ち上げ春闘をけん引してきた。旗揚げ時から尽力されている小出幸男・連合中小労働センター委員長(JAM会長)に〇七春闘に臨む方針と決意を聞いた。(見出し・文責は編集部)
「国際競争力」しか眼中にない07経労委報告
日本経団連の「〇七年経労委報告」を読んで、今までの日経連の流れから見れば、中身が大きく変化し「国際競争力の強化」に特化したという印象を受けた。
これまで経営側団体の報告書は、日本経済全体を考えた中で、今年は何をやるべきか、それを経営側からの立場に立って書いてあり、労働側にとっても参考にすべきところはあった。
しかし、今年はまったく参考にすべき内容はない。この五年間、「国際競争力の強化」ということで経営に大きな舵取りがなされ、確かに外需産業は史上最高の業績を上げるところも増加した。しかし反面この間に生じた負の部分には何も触れられていない。即ち格差問題、あるいは請負・派遣の問題、パ ートの問題などの影の部分はほとんど記述されていない。外需型産業のさらなる強化だけで日本経済を支えることは、不安定な経済成長といわざるを得ない。
今年の春闘の最大のテーマは、内需の活性化が、日本経済にとって、最大のテーマでなければならないと考えている。
半数以上の組合で「四千五百円以上」を獲る
中小春闘を立ち上げて、今年でちょうど四年目になる。
連合の高木会長は今年を「反転の年、転機の年」と訴えている。こうした中で、中小共闘としては昨年より五百円アップの「二千五百円以上要求、賃金カーブのないところは七千円以上」という基準にした。
ここ数年、中小共闘に集まってくるデータを見ると、「六千円以上引き上げた」というところが約一〇%ある。中小でも業績がよくなったところは積極的に賃金引上げを展開してもらって、それを全体の成果につなげていく。
一般的に中小では圧倒的に賃金体系維持分がないところが多い。このことによって、中小の賃金は結果的に、「企業業績の回復が遅れている」と言われてずっとマイナスベアできた。しかし、中小たりとも賃金体系があるはずであり、賃金カーブ維持分だけは最低でも確保しなければ中小の賃金は下がり続ける。これに歯止めをかけなければならないという考え方で取り組んできた。
〇五年で四千五百円(賃金カーブ維持分相当)以上確保したところが二七%。〇六年で三五%にまでになった。「四千円以上」となると、〇六年は四八%ぐらいある。昨年は最終的にミニマム妥結基準を「四千五百円」にしたが、結果として、四千円代を確保できところが多数あった。一つの数字を目標にして皆、一生懸命交渉を行った結果だ。ミニマムの妥結基準が中小の中で効果的に働いているということだ。
今年は、四千五百円以上を五〇%以上にしたい。五〇%以上になれば、中小共闘として初期の目的を達成したことになるといえるだろう。今年はそこに最大の注目している。
中小でも業績がよいところは、先行組合として「六千円」「七千円」を確保してほしい。先行組合の成果を基礎に、後続組みが後に続き、マイナスベアになんとか歯止めがかけられればと思う。今年は、そこが大きなポイントだ。
中小組合が自ら闘争体制組んでこそ
〇七春闘のもう一つの大きなポイントは前述の如く内需の活性化だろう。外需型産業が「史上最高益」と言われているけれども、内需型産業が活性化しない限り、日本経済全体の展望は持てない。
「内需の拡大」といっても公共投資には期待できないし、民間設備投資も限界に来ている。そうなると結局、消費支出を上げないと日本経済は活性化しない。消費支出を上げるためには、春闘で賃金を確実に上げるような闘いを労働組合がキチンとやる必要がある。
JC共闘の基軸が薄らぐ中で、連合傘下の各々の産別が闘争体制を組んで闘っていかないと賃金は上がらない。
昔は、例えば大手が一万円上がれば、中小でも七千円、八千円が確保できた。このときは当然、賃金カーブ維持分をオーバーしていたから必ず賃金は上がった。
これからは、中小自ら交渉しなければ中小の賃金は上がらない時代を迎えた。
中小共闘を立ち上げて四年目だが、徐々にこうした意識は広がってきている。この変化は、労働運動を考える上でも大きな成果と考えている。
大企業のコストダウン要請に抵抗を
大企業から中小へのコストダウン要請というのは、当然である。しかし、大企業のコストダウン要求に、賃金を削ってまで応じるのには疑問がある。
むしろ、中小の労組側が「コストダウン要求が厳しいから」と言われて、反論できていないことが問題だ。「賃金まで削ってコストダウン要求に応じるのはおかしい。だったら、原材料の高騰分は大企業に値上げを要求しろ。それが経営者の役割だ」と言えるかどうかだ。賃金格差についても、自分たちがマイナスベアに抗せず、妥協して認めたことが問題だ。
中小の部品がしっかりして初めて、日本のモノづくり産業は高品質なものができている。日本の産業を支えているのは中小企業であるという自負心をもって交渉に当たってほしい。
官公労もデータ開示し「地場共闘」の活性化を
中小の経営者は産業の系列だけでなく、地場産業の動向を見て、賃金や待遇を考える経営者が多い。地方共闘はいわば「地場産業共闘」であり、地場の賃金データを集めて情報を発信することが重要だ。地場の経営者は、地域でヨコのつながりがある。そこには未組織の企業もたくさんある。地方連合としてもっとデータを集めて地場の賃金情報を開示すれば、地場への波及効果は未組織含めて大きいだろう。中央で「七千円」という要求を出すだけでは、地域の経営者には影響力は薄い。だから、中小共闘を産業別と地域別、両方で立ち上げてきた。
同時に、地場の中小共闘のデータの中に、官公労のデータが一つでも二つでもあるとさらに影響力は増すと思う。すでに自治労傘下の組合でも民営化されたところが増えている。現業などでは賃金は高くないと思う。こういう状況をどんどん開示すればよい。このような共闘を通して官公労は、もっと民間との交流をすれば、さらに地場共闘は活性化するという思いを持っている。
こいで・ゆきお
福岡県飯塚市出身。七〇年日本ビクター入社。七六年同労組執行委員。八〇年同書記長。九〇年同委員長。九七年ゼンキン連合副会長。九九年JAM副会長。〇二年JAM会長、連合副会長。
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