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労働新聞 2012年2月5日号 トピックス

世界のできごと

(1月20日〜1月29日)

危機の深刻さ示したオバマ演説
 オバマ米大統領は一月二十四日、大統領選挙前として最後の一般教書演説を行った。演説では、給与税(社会保障税)減税の延長や住宅取得支援策の拡充を表明。雇用対策と称して、海外移転する企業に課税を強化、国内製造業には税の優遇措置導入を示した。外交面では、イラク、アフガニスタンからの軍の撤退と併せ、米国を「太平洋国家」と位置づけアジア・太平洋に重点を移すことを強調。雇用危機を打開できず、財政赤字の深刻化で予算出動もできない中、大統領選挙を前にした窮余(きゅうよ)の策。演説は、米国の危機の深さを示している。

ダボス会議、世界危機に無策
 スイスのダボスで開かれていた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)は二十九日、五日間の日程を終え閉幕した。危機が深まる中で開かれた会議は、世界経済の先行きに対する焦りにあふれたものになった。若者の高失業率、貧困による社会不安、グローバル経済の先行きなどが議論されたが、打開策は出されなかった。一方、欧州諸国などから資金供給を期待される中国は、「春節(旧正月)」を理由に参加しないことで、逆に存在感を示すことになった。


イラン、対EU禁輸で制裁措置に対抗
 イランのガセミ石油相は二十九日、「近く数カ国に対する原油輸出を取りやめる」と述べ、欧州連合(EU)による、イラン制裁措置としての原油輸入禁止に対抗する姿勢を示した。EUは、イランへの依存度が高いギリシャやイタリアへの影響を考慮し、禁輸措置の発動を「七月から」と予定していたが、イランは逆に禁輸措置を早めることで、制裁措置をけん制するもの。イラン制裁には、ロシア、中国が反対、トルコやインドも追随しない方針を示している。米国の主導によるイラン制裁は、欧州諸国を巻き込んだものの新興国は与せず、米国の狙いはすでにほころびを見せている。

FRB、ゼロ金利長期化
 米連邦準備理事会(FRB)は二十五日、政策金利を現行の〇〜〇・二五%に据え置くゼロ金利政策を、「少なくとも二〇一四年終盤まで」継続する意向を示した。従来より一年以上延長することで景気下支えを狙ったもの。雇用対策が不十分だった場合などには、量的金融緩和第三弾(QE3)実施の可能性を示唆(しさ)した。長期金利上昇をけん制し、住宅市場の活性化や企業の設備投資増加を進める狙い。だが、これまでの量的金融緩和は、新興国のバブルや食料、原油などの価格高騰を引き起こしており、世界の混乱を引き起こしてきた。米国の緩和政策継続は、世界により以上の災厄をもたらす可能性もある。

人民のたたかい

(1月20日〜1月29日)

 イタリアで二十三日、タクシー運転手によるストが行われた。タクシー免許の発行を増やす計画に反対するもので、ミラノやローマなどの都市で交通がマヒした。同日、トラック運転手やガソリンスタンド経営者らも、政府が財政再建策として進める全分野での規制緩和に反対してストを行った。
 米国のカリフォルニア州オークランドで二十八日、反格差社会デモが行われ二千人が参加した。デモ隊は市庁舎に突入、三百人が不当逮捕された。
 インドネシアの首都ジャカルタの日系企業が多く入る工業団地などで二十七日、一万人以上が参加して最賃の引き上げを求める大規模デモが行われた。西ジャワ州ブカシ県の工業団地でも同様のデモが行われた。
 エジプトのカイロやアレキサンドリアなどで二十七日、数十万人が集会を開き、デモを行った。ムバラク前政権を退陣に追い込んだデモ開始一周年を記念したもので、軍に対し速やかに権力を手放すよう要求した。


日本のできごと

(1月20日〜1月29日)

初の施政方針演説、苦境深まる
 第一八〇通常国会が一月二十四日に召集され(会期は六月二十一日まで)、野田首相が就任後初の施政方針演説を行った。首相は、東日本大震災からの復興、原発事故への対応、経済再生を「三つの優先課題」としつつ、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革を「必ずやり遂げなくてはならない」と述べ、衆議院の定数削減や国家公務員給与の引き下げなども示した。また、環太平洋経済連携協定(TPP)など日米同盟「深化」を言明。首相は諸政策、とくに増税の実行に「不退転の覚悟」などと粋がったが、野党の協力なしに不可能で、福田、麻生両元首相の施政方針演説を引用して自公に秋波を送るほど。だが、増税では党内さえ一致しない上、国民の反発は不可避だ。「石原新党」の動きなど、政局は解散・総選挙に向けて動いている。「決断する政治」(首相)どころか、野田政権はますます弱体化している。

政府、増税へ「危機あおり」
 内閣府は二十四日、経済財政の中長期試算を発表した。それによれば、消費税を一〇%に引き上げたとしても、政府の掲げる国・地方の基礎的財政収支赤字の対国内総生産(GDP)比「半減」(三・二%)は二〇一六年度までかかり、目標から一年遅れる。「試算」では、消費税をさらに六%分引き上げて赤字を解消する方向が示された。「消費税一六%」は、〇三年に経団連が「奥田ビジョン」で示した案そのもの。国民に大増税を押しつけるための「危機あおり」で、増税策動には際限がない。

31年ぶりに貿易赤字に転落
 財務省が二十五日に発表した一一年の貿易統計(通関ベース)で、貿易収支が二兆四千九百億円余の赤字となったことが分かった。貿易赤字は、第二次石油危機による原油価格高騰で輸入額が膨らんだ一九八〇年以来、三十一年ぶり。東日本大震災、欧州債務危機や円高で輸出が減る一方、液化天然ガス(LNG)など火力発電用の燃料の輸入が増加したことによる。世界経済の危機に加え、円高を口実にとする企業の海外移転、資源価格も高どまりする中、貿易赤字が定着、さらに経常収支も赤字化する可能性がある。この機会に乗じ、支配層は規制緩和や外資導入による「打開」を主張、さらに、経常赤字化で膨大な国債が国内で消化できなくなることを口実に、財政再建を焦ってもいる。危機にあえぐ支配層には、新たな難題だ。

政府、福島の医療無料化行わず
 平野復興担当相は二十八日、佐藤・福島県知事と会談し、福島県が政府に要望していた十八歳以下の県民の医療費無料化を行わない方針を伝えた。断念の理由は「(病気の)原発事故との因果関係があいまい」などというもの。政府は復旧・復興予備費を活用した四百億円規模の基金を創設する案を示したが、代替案にもならない。東京電力・福島第一原子力発電所事故による放射性物質の放出はいまだ続いており、県の要求は最低限のもの。政府は、福島県民の命と健康を、長期にわたって守る義務がある。

公務員給与を8%引き下げへ
 民主、自民、公明三党は二十五日、国家公務員の給与を、今年度を含めた三年間で約八%引き下げることで合意した。引き下げの狙いは、国民への消費税増税の「地ならし」で、地方公務員への波及も必至。連合は昨年、労働基本権付与を条件とする七・八%の引き下げで政府と合意したが、今回の合意はこれを上回る引き下げで、基本権付与もない。古賀・連合会長は、政府の合意順守を「信じて疑わない」と述べたが、この期に及んで、野田政権への幻想をあおり、支えるものだ。


NECが1万人のリストラ計画
 通信機器大手のNECが二十六日、グループ従業員約十一万人の約四%にあたる五千人(うち国内二千人)の削減を発表した。五千人分の外部委託も打ち切り、計一万人規模の首切りとなる。理由は、携帯電話事業の不振やタイ工場の洪水被害など。同社の遠藤社長は「苦渋の決断」などと言うが、〇九年にも二万人規模の大リストラを発表、半導体部門を他社と合併させ、パソコン部門も事実上分離したばかり。労働者、下請け企業への犠牲押しつけは許し難い。


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