労働新聞 2008年4月15日号 トピックス

世界のできごと

(3月30日〜4月9日)

米ロ首脳会談、MDで対立
 ロシア南部ソチで四月六日、米ロ首脳会談が行われた。両国は長期的な協力関係構築をめざす「米ロ戦略枠組み宣言」を発表した。しかし、プーチン大統領は、最大の争点だった米ミサイル防衛(MD)東欧配備計画に改めて反対を表明した。ロシアは、ポーランドとチェコへのMD施設配備に強い警戒感を持っている。コソボ独立、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題などで、米ロの対立は深まっている。

NATO、ウクライナの加盟先送り
 ルーマニアの首都ブカレストで二〜四日、NATO首脳会議が開かれた。加盟希望国のうちアルバニアとクロアチアの加盟を認めることで合意したが、マケドニア、ウクライナ、グルジアの加盟は先送りとされた。ウクライナ、グルジアの加盟には、ロシアが強く反発している。会議では推進派の米国と、ロシアに配慮する独仏が対立。首脳会議に先立ちブッシュ大統領はウクライナを訪問して加盟支持を表明したが、米国の思惑通りには進まなかった。

イラク、サドル派民兵との戦闘激化
 米上院軍事委員会の公聴会で八日、イラク駐留米軍司令官が「治安改善は脆弱(ぜいじゃく)。追加撤収は当面見送るよう大統領に提言した」と証言した。米軍が引くに引けない状況に追い込まれていることを示すもの。米軍は六日、イラク治安部隊と共にバグダッド北東部のサドルシティーの攻撃を開始。サドル派民兵組織との激しい戦闘で、多くの市民が犠牲になった。また、イラク警察の戦闘拒否や治安部隊が民兵側に加わるなどの動きも出ており、米軍とマリキ政権はいっそう窮地に立っている。

IMF、世界不況に警鐘
 国際通貨基金(IMF)は九日、世界経済見通しを発表した。米国の実質経済成長率を〇八年は〇・五%、〇九年は〇・六%、〇八年の世界経済の成長見通しを三・七%と予測している。また、〇九年の世界経済の成長率が三%以下に落ち込む確率が二五%あるとして「世界不況が起こる可能性がある」と警鐘を鳴らした。サブプライムローン問題をきっかけにした米実体経済の後退が、世界資本主義に影響を与え始めている。

人民のたたかい

(3月30日〜4月9日)


 米国の全米自動車労組(UAW)は、自動車部品メーカー、アメリカン・アクスル(AAM)で賃金と諸手当の大幅削減撤回を求めて二月二十六日からストに突入している。ゼネラル・モーターズ(GM)は三月三十一日、部品不足で新たにミシガン州ハムトラミックの乗用車組立工場の操業停止に追い込まれた。操業停止は九組立工場を含む三十工場に拡大。UAWの労働者の闘いが米自動車産業を揺るがしている。
 欧州連合(EU)の議長国スロベニアの首都リュブリャナで四月五日、財務相・中央銀行総裁会議が賃金抑制策を打ち出したことへの抗議行動が行われた。欧州労連の呼びかけに応え、各国から三万五千人の労働者が結集した。三月のインフレ率が三・四%に達し、食料や燃料価格が高騰する中、労働者の賃金を抑えて利益を上げている大企業に抗議の声を上げた。
 フランス各地で五日、政府の強硬な移民規制政策に抗議するデモが行われた。パリでは二万人、リヨンでは二千人の労働者や活動家が、サルコジ大統領を批判した。
 ウクライナの首都キエフで三月三十一日と四月一日、ブッシュ米大統領の訪問に抗議し、NATO加盟に反対する数千人の反米デモが行われた。ウクライナの三月の世論調査では国民の五六%がNATO加盟に反対している。

日本のできごと

(3月30日〜4月9日)

日銀総裁人事、政権末期の様相
 国会は四月九日、衆参両院本会議で日銀総裁への白川副総裁の昇格案に同意した。同時に前財務省財務官の渡辺・一橋大教授を副総裁にあてる案は参院で不同意となり、空席となった。日銀人事案が不同意となるのは三度目で、同日行われた党首討論で福田首相は民主党の小沢代表に「人事権の乱用」などとヒステリックにかみつき、指導力のなさ、末期的な政権運営ぶりを印象付けた。同時に小沢民主党も、人事案採決で三人の造反者を出すなど、求心力の低下をさらけ出す結果となった。

高齢者犠牲の医療制度始まる
 七十五歳以上のすべての高齢者から保険料を強制的に徴収、同時に受けられる医療サービスを制限する後期高齢者医療制度が一日、始まった。厚生労働省は同日、世論の不満をそらすため、スタートしたばかり同制度の名称を「長寿医療制度」に変更すると発表した。制度の開始初日に名称を変えるのは極めて異例。各地の自治体の窓口には不安や不満を訴える相談が殺到、また対象者本人に新しい保険証が届かないなどのトラブルも相次いだ。十五日からは、年金からの最初の天引きが行われ、高齢者の生活をいっそう苦しめることになる。

外資のJパワー株買い増しを不許可に
 経済産業省は五日、英投資ファンドが申請していた電力卸大手Jパワー(電源開発)株式の買い増しを認めない方針を固めた。電力の安定供給などに悪影響を及ぼしかねないと判断したため。国民の生活と経営の安定の観点から当然の判断だが、マスコミなどは「対日投資を阻害する」などと市場明け渡しをあおっている。こうした売国的な論調に警戒が必要だ。

妨害・圧力で映画「靖国」上映自粛に
 靖国神社を題材にした日中合作のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」について、配給・宣伝のアルゴ・ピクチャーズは三月三十一日、四月十二日から公開を予定していた東京都と大阪市の計四館が上映を自粛したと発表した。右翼団体などの妨害を受けてのものだが、自民党議員がこの映画に政府出資の芸術文化振興基金から助成金が出されていたことを問題視し、文化庁に対し検閲さながらの国会議員のみを対象にした試写会を行わせていた。同時に公的助成の返還を求める国会質問を行うなど、与党の一部議員が強力な圧力をかけていた。こうした言論・思想弾圧の動きは許せない。

横須賀タクシー運転者殺害の米兵逮捕
 神奈川県横須賀市でタクシー運転手の高橋正昭氏が刺殺された事件で、県警は三日、強盗殺人容疑で、米海軍に脱走罪で身柄拘束されたナイジェリア国籍の一等兵を逮捕した。容疑者は捜査本部の調べに「自分がやった」と殺害を全面的に認めており、強盗殺人容疑の適用を決めた。米兵の凶悪犯罪には際限がなく、基地撤去以外に解決策はない。

原料炭価格が3倍に
 新日本製鉄とJFEスチールは九日、豪英系資源大手BHPビリトンと、製鉄に使う原料用石炭(原料炭)の〇八度価格を、〇七年度に比べ約三倍の一トン当たり三百ドルに引き上げることで合意したことを明らかにした。これによる国内鉄鋼業の負担増は約一兆五千億円、鉄鉱石や輸送費などの高騰分を加えると三兆円を超えるコスト上昇が見込まれる。鉄鋼各社は、鋼材価格の大幅な引き上げを大口需要者の自動車、造船業界などに要請する。国内産業や国民生活への悪影響は必至で、政府には対策が求められる。

JR免罪する羽越線事故調報告
 山形県庄内町で〇五年末、乗客五人が死亡したJR羽越線特急「いなほ」脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は二日、瞬間風速四〇メートル程度の「局所的な突風」が原因である可能性が高いとする調査報告書を公表した。突風の予測は困難で、事故当時に速度規制をしていなかったJR東日本の対応に問題はないとした。しかし遺族らは「事故現場は強風がよく吹くことで知られた地域で、運転士が状況判断できるように教育されていれば、スピードを落とし事故は防げたはず」「自然現象がどうであれ、JRの責任は免れない」などと批判が出ている。こうした指摘は当然だ。


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