労働新聞 2008年3月5日号 トピックス

世界のできごと

(2月20日〜2月29日)

米スパイ衛星破壊に中ロが反発
 米国防総省は二月二十日、「制御不能になった米国の偵察衛星を破壊するため、太平洋上のイージス艦から迎撃ミサイルを発射して破壊に成功した」と発表した。このスパイ衛星は「人体に有害な燃料ヒドラジンを約四百五十キロ積載したまま制御不能」になっていたとされる。米国が弾道ミサイルを迎撃するためのミサイル防衛(MD)システムを使ったことに対して、中国、ロシアは「衛星攻撃兵器(ASAT)の実験を行った」と強く反発。米国のMD配備に警戒心を高めている。

李明博韓国大統領が就任
 韓国大統領の就任式が二十五日ソウルで開かれ、李明博大統領が誕生した。李大統領は、北東アジアの隣国である日中ロとの協力関係の強化をあげた。朝鮮に対しては「南北関係をより生産的に発展させなければならない」とした。対朝鮮政策で前政権よりも「強硬」とされる李大統領だが、統一を願う国民の声に逆うことはできない。李大統領は経済の立て直しを前面に出して当選したが、交渉を再開する日韓経済連携協定(EPA)などで、国民各層との矛盾が拡大することは必至だ。

トルコがイラクに本格侵攻
 トルコ軍は二十一日、イラク北部で反政府武装闘争を続けるクルド労働者党(PKK)を掃討するため、イラク北部に大規模に侵攻し、PKKとの激しい戦闘になった。当初、イラク政府は侵攻を黙認していたが、二十六日にはトルコに対して主権侵害だとして即時撤退を求めた。またクルド自治政府もトルコ軍への反発を強めている。米国はトルコ軍にPKKの情報を提供するなど、侵攻を支援しているが、泥沼化したイラクでさらに難問を抱え込むことになる。

米国で30年ぶりに労組組織率増加
 米国の二〇〇七年の労働組合組織率が一二・一%となり、三十年ぶりの増加となったことが、米労働統計局の発表で二十日までにわかった。組合員総数は前年比で三十一万人増えて千五百七十万人に。年齢別では五十五歳から六十四歳が一六%と高く、中でも黒人男性の組織率が高くなっている。米労働総同盟産別会議(AFLーCIO)などの主要労組が組織化に力を入れた結果でもあるが、サブプライムローンなどによる収奪が低所得層を直撃する中、労働者が闘いをよぎなくされている状況を反映している。

人民のたたかい

(2月20日〜2月29日)


 フィリピンのマニラで二十九日、アロヨ大統領の贈収賄疑惑に抗議し、約十万人が集会を行った。
 セルビアの首都ベオグラードで二十一日、同国南部のコソボ自治州の独立に反対する集会とデモが行われ、約十六万人が参加した。集会後には若者たち数百人が米国大使館に投石、放火して警察官と衝突する事態になった。欧米の干渉で国土が引き裂かれることに反発したもの。
 チェコの首都プラハで二十七日、米MDシステム導入のためのレーダー基地建設に反対する集会とデモが行われた。参加者は、訪米したポラーネク首相が基地建設受け入れで合意しようとしていることに抗議の声をあげた。
 ドイツの金属産業労組(IGメタル)の鉄鋼産業部門労働者は二十日、ニーダーザクセン州などでの労働協約交渉で五・二%の賃上げで合意した。労組は各地で短時間の警告ストを行い、のべ三万九千人が参加。本格的なストを構えた闘いの中で、大幅賃上げを勝ちとった。
 ドイツの地方公務員で組織する統一サービス産業労組は二十一日、保育園の職員・保育士を中心に八%の大幅賃上げを求めて約二万七千人が警告ストを行った。同労組は病院、公共交通公社などでも警告ストを行い、闘いを進めている。

日本のできごと

(2月20日〜2月29日)

日韓首脳会談、懸案先送り
 福田首相は二月二十五日、この日就任したばかりの韓国の李明博大統領とソウルで会談した。両首脳は双方の信頼関係を土台とした「未来志向の日韓新時代」で合意、首脳同士が年一回は相互訪問する「シャトル外交」の再開で一致した。今回の会談は大統領就任を祝うセレモニー的要素が強く、歴史認識問題や竹島領有権、排他的経済水域(EEZ)の問題などの懸案にはふれずじまい。歴史認識問題などに誠実に向き合うことがなければ、両国間の真の友好は成り立たない。

政府、欺まん的な米兵犯罪防止策
 政府は二十二日、沖縄県での米海兵隊員による女子中学生暴行事件などを受け、米兵による不祥事の再発防止策を発表した。米兵の外出制限強化や基地外の居住に対する許可基準見直しを日米両政府で検討する考えなどを打ち出した。沖縄県も同日、外出制限の時間・対象者拡大や基地外居住の基準の明確化・公表など、より厳しい独自の再発防止策をまとめた。しかし、どちらも米兵による犯罪を根絶するものではない。

岩国市長、早速再編受け入れ
 在日米軍再編に伴う岩国基地への空母艦載機部隊移転を容認する意向を明らかにしていた山口県岩国市の福田市長は二十八日、岩国基地への空母艦載機移駐について「基本的には協力すべき」と、艦載機移駐受け入れを表明した。市長は「国のいいなりにはならない」などと言いながらも、質疑で「交付金を受け取った後でノーと言えるのか」と問われると、「現時点では言えない」とごまかした。早くも、政府のイエスマンとしての本性を自己暴露したものだ。

イージス艦衝突で隠ぺい策動
 石破防衛相は二十七日、海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船に衝突した事故に関連し、防衛省が、捜査を担当する海上保安庁に無断で事故発生後にあたごの航海長をヘリコプターで東京・市ヶ谷の同省に運んで事情聴取したことなどを認めた。防衛相のほか増田防衛事務次官、斎藤統合幕僚長など最高幹部がそろっており、組織ぐるみで真相隠ぺいを図った疑いが強い。石破は、衝突前にあたごが漁船を視認した時間に関しても、当初「二分前」という発表を繰り返し、その後「十二分前」という情報を得ていながら、丸一日近く発表を控えるなど、徹底して責任逃れの姿勢に始終している。

空港への外資規制導入延期へ
 冬柴国土交通相は二十九日、空港関連会社への外資規制問題について、空港整備法改正案から外資規制条項を削除して今国会に提出することを表明した。同法案では、来年度以降の成田国際空港会社の株式上場に合わせ、危機管理や安全保障上の観点から成田、羽田空港の管理運営会社などを対象に外国企業の出資比率(議決権ベース)を三分の一未満に制限する方向だったが、渡辺行革担当相や大田経済財政担当相などが外国からの直接投資拡大をめざし、妨害していた。そもそも、空港などの公共インフラを民営化する方向が間違っており、国益を売り渡そうとする動きに警戒が必要だ。

三浦氏逮捕について閣僚が売国発言
 鳩山法相は二十六日、米ロス市警が日本で無罪が確定した三浦元社長を同じ事件で逮捕した件で、米司法当局から捜査共助の要請があった場合の対応について「日本で無罪判決が確定していることが、直ちに共助の拒否理由にはならない」との考え方を示した。町村官房長官も、協力に前向きな姿勢を示している。しかし、わが国には同じ犯罪行為で再び刑事責任を問わない「一事不再理」の原則がある。国内法との整合性を度外視して米国におもねる態度は問題である。

プリンスホテル会見、謝罪・反省なし
 グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)がいったん予約を受けた日教組の教育研究全国集会の会場としての使用を直前に拒否した問題で、ホテル側は二十六日、初めて会見を開いた。ホテル側は「憲法論議をするつもりはない」などと開き直り、会場使用を認める司法判断に従わなかったことや日教組への謝罪は一切なかった。こうしたホテル側に対し、連合は全国で同ホテルの使用拒否などで応じた。こうした闘いは、さらに強めるべきだ。


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