労働新聞 2007年12月15日号 トピックス

世界のできごと

(11月30日〜12月9日)

「イラン、核開発中止」と米報告書
 米政府は十二月三日、「イランは二〇〇三年秋以降、核兵器開発は中止している」とした同国の核開発に関する米情報十六機関の見解をまとめた「国家情報評価」(NIE)報告を公表した。イランは「偉大な勝利」(アハマディネジャド大統領)と宣言。だが、ブッシュ大統領はイランについて「今も将来も危険」などと強弁した。内容はもちろん、この時期に公表されたこと自身が、ブッシュ政権が狙う「イラン包囲網」づくりが困難に陥っていることを示すものだ。

ロシア下院でプーチン与党圧勝
 ロシア下院(定数四百五十)の投開票が二日行われ、プーチン政権与党「統一ロシア」が得票率六四・四%で圧勝、同党単独で憲法改正に必要な三分の二以上の議席を獲得した。二位は野党・共産党の一一・六一%で、与党・自民党八・一五%、第二与党「公正なロシア」が七・七五%と続く。プーチン政権は豊富な天然資源をテコに「強いロシアの復活」を掲げ、対外政策でも米欧への対抗を強めてきた。選挙をめぐっては米欧などが「非民主的」などと干渉したが、空振りに終わった。与党が圧勝したことで、来年任期切れを迎えるプーチン大統領が、以降も影響力を最大限発揮することは明らか。米欧などとの矛盾が、いっそう激化する可能性がある。

温暖化防止に背向ける米国
 インドネシアのバリ島で開かれていた国連気候変動枠組み条約締約国会議(C0P13)は八日、米国など先進国に対し、温暖化ガス排出量を二〇二〇年までに九〇年比で二五〜四〇%削減する数値目標を検討するとした議長案を出した。最大の排出国である米国は数値目標の設定に強く反発、日本も追随した。しかし、途上国からは「京都議定書に加わろうとしない国が、会議自体をむしばむ」(パキスタン)との声が上がり、欧州連合(EU)も「数値目標がなくなるならバリにきた意味はない」と非難した。米国の独善的な姿勢に批判が集中している。

南米自立化へ新銀行設立
 南米七カ国が九日、域内の経済開発を目的とした新銀行の設立合意した。アルゼンチンのブエノスアイレスで行われた調印式には、アルゼンチン、エクアドル、パラグアイ、ブラジル、ボリビア、ベネズエラ、ウルグアイの代表が参加。この新銀行はベネズエラのチャベス大統領が提唱していたもので、国際通貨基金(IMF)などとは違い、域内諸国が資金を融通し、参加各国の経済発展に役立てることが目的。「国際金融機関に縛られていた南米の解放に役立つ」(エクアドル)との声も上がるなど、南米諸国の自立化に向けた大きな一歩となると期待されている。

人民のたたかい

(11月30日〜12月9日)


 南アフリカ共和国で四日、プラチナや金などの採掘に従事する労働者二十五万人がストライキを行った。このストは相次ぐ事故に対し、安全基準を求めて行われたもの。ヨハネスブルクでは「安全は人権だ」と書かれたプラカードを掲げ、デモも行われた。
 イタリアで十一月三十日、政府の来年度予算で交通部門へ十分な予算支出がされていないことに抗議し、公共交通機関関係の労組が全国規模のストを行った。また、トラック運転手などの労組は十二月九日、燃料高騰に抗議して、五日間のストライキに立ち上がることを決めた。
 韓国で働く外国人による「移住労組」が五日、指導部への弾圧と入管法の改悪に抗議して、教会前で座り込み闘争に入った。

日本のできごと

(11月30日〜12月9日)

日中閣僚級会議、懸案は持ち越し
 日中両国は十二月一日、外相会議などの閣僚級会議を北京で行った。高村外相と楊外相との会談では、〇七年分円借款供与について署名、同時に新規供与の終了を確認した。懸案である東シナ海のガス田開発問題については、「福田首相の訪中までに解決する」として先送りした。また、経済閣僚による「日中経済対話」では、環境問題での協議のほか、日本側が米国と歩調を合わせて人民元改革などを求めた。福田首相訪中の「露払い」的な会合であり、協調ムードを演出したものの成果に乏しい会合となった。

敵視あおる「テロ指定解除反対」決議
 衆議院拉致問題特別委員会は五日、米国による朝鮮への「テロ支援国家」指定解除に反対する決議を採択した。自民、公明の与党に加え、民主党も賛成した。米朝対話の進展にともない、「はしごを外される」ことへの危機感が背景だが、異常な朝鮮敵視は、わが国の国際的孤立をいっそう深めることにしかならない。

民主党訪中団、台湾問題で干渉
 訪中した小沢・民主党代表は七日、北京で胡錦濤国家主席と会談した。会談は、民主党と中国共産党の交流強化や「草の根交流」などで合意した。訪問には四十六人もの議員が参加、民主党の「政権担当能力」をアピールする狙い。だが、民主党は八日の会合で、台湾への「武力行使反対」の姿勢を示し、別の席では、南京大虐殺を否定する発言も飛び出した。「日米、日中関係は二つの大きな柱」などという小沢代表だが、台湾問題という中国の内政に干渉する点で、自公政権と同じだ。

厚労省、生活保護引き下げ容認
 厚生労働省の検討会議(座長・樋口慶大教授)は十一月三十日、低所得者との「バランス」を口実に、生活保護費の引き下げを容認する内容を含む報告書をまとめた。七月現在の生活保護受給者は百五十三万人以上で、約半分が六十歳以上の高齢者。この間、老齢加算が全廃され、母子加算〇九年度に全廃される。これ以上の削減は許されず、支給額は大幅に拡充すべきだ。

多国籍企業のための減価償却期間短縮
 政府が来年度税制「改正」において、減価償却期間を短縮する方針であることが、十二月六日までに明らかになった。自動車や化学品などの製造設備の耐用年数を短縮することで大企業の税負担を減らし、国際競争力を高める狙い。一方、自民党の税制調査会が九日までにまとめた税制「改正」大綱は、消費税を社会保障費の「中核財源」と位置づけ、増税への地ならしを進めている。多国籍大企業は優遇し、国民に犠牲を押しつける策動である。

底なしの生保不払いが明らかに
 生命保険全三十八社の保険金不払い・支払い漏れが計百三十一万件・九百六十四億円にも及んでいることが、七日わかった。〇五年の明治安田生命による不払い発覚を受け、三年近くにも及ぶ調査の結果。庶民が掛けた保険金を支払わないとは言語道断であり、各社は直ちに謝罪と支払いを行うべき。大量未払いの背景には、保険各社の利益至上主義を助長させた、外資参入などの規制緩和政策がある。

基幹労連、経営容認内で賃上げ要求
 春闘相場の形成に影響力を持つ基幹労連は五日、〇八春闘において、二年分で三千円の賃上げ要求案を決めた。電機連合も二千円以上の要求を決める予定だが、日本経団連は「内需拡大」を理由に容認する方針。賃上げ要求は当然だが、多国籍大企業が空前の利益をあげていることと、労働者が賃下げと労働条件悪化を強いられている実態からすれば、要求はごくわずか。経営側が容認する範囲内の賃上げでは、労働者の生活は守れない。

受刑者暴動は虐待が原因
 徳島刑務所で十一月、作業中の受刑者三十人以上が刑務官に抗議した「暴動事件」の原因が、刑務所医師による虐待であることが、四日明らかになった。この医師は〇四年以降、異常な診療行為を行ったり食事を減らすなど、約百人の受刑者に被害を与えていた。名古屋刑務所での受刑者虐待・致死事件に続く不祥事発覚だ。これは一医師の問題ではなく、氷山の一角。国家権力による人権侵害を許してはならない。


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