労働新聞 2007年11月15日号 トピックス

世界のできごと

(10月30日〜11月9日)

FRB連続利下げ、ドル不安誘発も
 米連邦準備理事会(FRB)は十月三十一日、政策金利であるフェデラルファンド(FF金利)を〇・二五%引き下げ、年四・五%とした。サブプライムローン問題を受けた金融不安だけでなく、住宅市場の冷え込みが個人消費や設備投資に波及し始めていることが指摘されていた。また、バーナンキFRB議長は十一月八日、上下両院で証言し、米国の経済成長について「十〜十二月期にかなり減速し、来春まで停滞する」との見方を示すとともに、サブプライムローン関連の損失が千五百億ドル(約十七兆円)にも達することを明らかにした。九月に続くFF金利引き下げで、米経済の失速が誰の目にも明白になってきた。

パキスタンで非常事態宣言
 パキスタンのムシャラフ大統領は三日、非常事態宣言を発し、憲法停止を宣言。野党勢力の活動家や弁護士多数を逮捕した。ムシャラフ政権はこの間、「対テロ戦争」の最前線として一貫して米国に協力、国民の反発が高まっていた。米国などは、この事態について「援助の見直しを検討」というものの「テロとの闘いに悪影響を与えないように」(ゲーツ国防長官)などと反応、ミャンマーに対する強硬な圧力とはうって変わった態度だ。米国のいう「自由と民主主義」のデタラメさを浮き彫りにしている。

米仏「蜜月」が全面に
 就任後初訪米しているサルコジ仏大統領は七日、ブッシュ米大統領と会談した。サルコジ大統領は「対テロ戦争」での対米協力を約束、ブッシュ大統領は「感謝してもしきれない」などと応じるなど、「蜜月ぶり」を演出した。また同日、米議会で演説したサルコジ大統領は北大西洋条約機構(NATO)への完全復帰への意欲を示し、当面、アフガニスタンでの軍事行動に積極的に参加することを明言した。サルコジ政権は、イラク戦争で亀裂が生じた対米関係を改善し、衰退する米国を支えることによって、いっそう大国として振る舞うことを狙っている。

米、PKK敵視へ
 トルコのイスタンブールで開かれたイラク周辺国閣僚級会議は三日、最終宣言を採択し、終了した。会議にはイラク周辺国、国連安保理常任理事国、サミット参加国、アラブ連盟、国連などの代表が参加。同国のエルドアン首相は、イラク北部を拠点とするトルコのクルド労働者党(PKK)を早急に取り締まるよう、米国とイラクに求めた。会議は、イラクの「テロとの戦い」を支援し、その領土が周辺国へのテロ出撃拠点となることに反対する声明を採択した。ライス米国務長官は「PKKは共通の敵」と宣言し、トルコへの協力を強化すると約束。これまで地域戦略の一つとしてイラク北部のクルド人勢力を育ててきた米国だが、「対テロ戦争」の推進のため、一転してPKKを敵視、イラク周辺地域の紛争を拡大させている。

人民のたたかい

(10月30日〜11月9日)


 ロシア十月革命九〇周年の十一月七日、モスクワ市中心部で労働者ら数千人が記念のデモ行進を行った。
 イランのテヘランで四日、米大使館占拠事件から二十八周年を記念する反米デモが行われた。学生などを中心とする参加者は「米国に死を」「核エネルギーはわれわれの生活に欠かせない」と訴えた。
 脚本家組合はテレビや映画の作品がDVDで販売されたり、インターネットで配信された際の報酬引き上げを求めて五日、ストライキを行った。ロサンゼルス市では、ディズニー、ワーナーなどの映画会社やテレビ各局前でピケットが張られた。

日本のできごと

(10月30日〜11月9日)

民主、「大連立」で馬脚あらわす
 民主党の小沢代表は十一月六日、辞意を撤回した。自民党の福田総裁(首相)との党首会談で自・民の「大連立」を協議、いったん承諾したものの党内からも拒否され辞意を表明、しかし「続投」要請を受けて撤回と見苦しい迷走を重ねた。小沢が「大連立」構想に乗ったことについては、次の総選挙での勝利・政権交代が不可能だと予測したためだとか、「『反米』のレッテルへの恐怖感では」(亀井・国民新党代表代行)などとも言われているが、いずれにしてもわが国支配層の抱える内外の危機の深さを示すもの。福田との間でいったんは自衛隊海外派兵のための恒久法づくりで合意するなど、小沢はその馬脚をいっそうあらわす結果となった。

テロ特措法失効、海自インド洋撤退
 テロ特措法が二日午前零時で失効、インド洋で米艦船などに給油支援活動を行っていた海上自衛隊が撤退作業を開始した。アフガニスタンやイラクで占領を続ける米国、それを支援して国際的発言力の強化をめざす日本政府にとっては、大きな打撃となった。

新テロ特措法のための会期延長
 国会は九日、衆院本会議で十日までの会期を十二月十五日まで三十五日間延長することを与党の賛成多数で議決した。延長国会はインド洋での給油活動再開のための新テロ特措法成立のためだけのもの。ゲーツ米国防長官が来日、「対テロ戦争からの日本の撤収」といった印象を避けるため「数週間以内」での再開を希望するなどと表明、米国は法成立への圧力をかけている。だが、防衛省の疑惑が次々に浮上するなど、福田政権の「崖っぷち」状態に変わりはない。

防衛省の腐敗次々と 民主にも?
 東京地検特捜部は八日、守屋前防衛次官への過剰接待が明るみに出た航空・防衛分野の専門商社「山田洋行」の宮崎元専務を逮捕した。同社の米国子会社にプールされていた裏金一億円を着服したという業務上横領が容疑だが、過剰接待の「見返り」解明のための逮捕。年間五兆円に及ぶ巨額の防衛利権をめぐるゆ着だが、この「守屋人脈」には山崎拓や久間、額賀などの与党の歴代長官だけでなく、民主党の前原副代表らの名前も挙がっている。与党や民主党が腐敗程度でも共通することを示すものだ。

欺まん的な民主の農業所得補償法案
 参議院は九日、本会議で民主党が提出した農業者戸別所得補償法案を同党など野党の賛成多数で可決、衆院に送付した。自民、公明両党は反対した。衆院では与党が過半数を占めるため成立はほぼあり得ないが、民主党はそれを承知で提出、「農民の味方」の姿勢を演出した。しかし「基本的に自由貿易推進」(参院農林水産委員会で、民主党の平野議員)が民主党の本音であり、今回の法案提出は党利党略に基づくまったくのポーズでしかない。

再編交付金告示、反対を兵糧攻め
 防衛省は十月三十一日、在日米軍再編に伴う基地負担の代償として支払われる「再編交付金」の対象となる地方自治体三十三市町を指定した。交付金支給の仕組みを定めた米軍再編特別措置法が五月に成立してから、同省が支給対象の自治体を決めたのは初めて。政府の再編計画に反対する神奈川県座間市や山口県岩国市、鹿児島県鹿屋市などが除外される一方、容認に転じた神奈川県相模原市や広島県大竹市などは適用された。また米原子力空母を母港として受け入れることを認めた神奈川県横須賀市などが指定される一方、普天間飛行場の代替施設移設案に反対する沖縄県名護市などは対象から外された。再編への協力度に応じた「アメとムチ」を許してはならない。

在外被爆者訴訟、最高裁が賠償命令
 強制連行され広島で被爆した韓国人元徴用工が、被爆者援護が受けられないのは違法などとして、国などに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は十一月一日、国の上告を棄却、四千八百万円の国家賠償を命じた二審判決が確定した。在外被爆者が援護を求めた訴訟で国の賠償責任を認めた判決が確定するのは初めて。しかし被爆者健康手帳の交付申請に来日を強いるなどの不合理な差別も残された。国は一刻も早く、在外被爆者を救済する政治決断をすべきだ。


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