労働新聞 2007年10月25日号 トピックス

世界のできごと

(10月10日〜10月19日)

G7、不透明な世界経済に打つ手なし
 主要七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は十月十九日、サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱や原油高について「世界経済を減速させる」との共同声明を発表、閉幕した。声明では、前回四月の声明で明記した「過去三十年超で最も力強い持続的拡大」との表現も消えた。また「住宅情勢はまだ悪化しており、経済の最も大きいリスク」(ポールソン米財務長官)と米経済に言及、ユーロ圏の減速も指摘。産油国や新興国などの政府系投資ファンド(SWF)への規制を検討していくことも確認した。くしくも同日、原油価格は一時、一バレル九〇ドルを突破、史上最高を記録したが、世界経済の先行きについて具体的な対策を打ち出せず、手詰まり状態を露呈した。

米、海洋戦略重視の指針公表
 米海軍と海兵隊、沿岸警備隊は十七日、三者共同で初めて作成した海洋戦略の指針文書「二十一世紀の海軍力のための共同戦略」を公表した。米国は世界戦略の中で海洋部隊を重視する方針を「国家安全保障戦略」などで示しており、これに基づいたもの。文書では「米海軍力は全地球的に配置され、世界中でわれわれの利益を増進する」などと明記。またわが国など同盟国との協力を強調、「戦闘力を引き続き西大西洋とペルシャ湾、インド洋に備える」として、新テロ特措法案でわが国の海上自衛隊の派兵先となる地域に、海洋部隊を集中させるとしている。イラク、イランなどを見据えた米国の海洋戦略を強く押し出したものだ。

中国党大会、「格差是正」を表明
 中国共産党の第十七回全国代表者大会が十五日、北京で開かれた。胡錦濤総書記(国家主席)は貧富の格差拡大、環境破壊などの経済成長の弊害について指摘。持続的成長をめざすとされる「科学的発展観」や「社会の和諧(調和)」を前面に押し出すなど、都市と農村部との格差の是正に力を入れることを表明した。一方、一人当たり国内総生産(GDP)を「二〇二〇年までに〇〇年の四倍にする」と表明、「成長路線」の継続もうたわれた。成長を続けてきた中国だが、格差拡大などへの対応が迫られており、改革・開放政策は岐路に立たされている。

中央アジア5カ国が米けん制で一致
 中央アジアのカスピ周辺の五カ国(ロシア、イラン、カザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタン)でつくるカスピ海沿岸首脳会議が十六日、イランのテヘランで開催され、「自国領土を他国攻撃に使わせない」との共同声明を発表した。また、共同声明では「核不拡散条約(NPT)参加国は平和的な目的で核エネルギーの研究、生産、使用する権利をもつ」とうたい、イランへの軍事攻撃を否定しない米国を強くけん制した。

人民のたたかい

(10月10日〜10月19日)


 フランスで十七日、サルコジ政権による年金制度改悪案に反対するストが行われ、国鉄など全土の公共交通機関が止まった。全国で三十万人が参加した。国鉄のほか、パリ市交通公団の八組合、電力公社、また多くの教組も合流、パリでは約二万五千人がデモ行進した。労働総同盟(CGT)のチボー事務局長は「政府を再交渉のテーブルに引きずり込む」と再ストを示唆(しさ)している。
 韓国のソウル大病院労組が十日から二日間のストを行った。労組側は年俸制や評価システム導入など全面撤回を要求している。
 マレーシアのクランタン州のバス会社二社の運転手一千人あまりが十一日、会社がハリラヤ(断食月明け大祭)前に給与を前払いするという約束を履行しなかったとして、抗議デモを行った。。





日本のできごと

(10月10日〜10月19日)

自公与党、新テロ特措法案を国会提出
 政府は十月十七日、インド洋での海上自衛隊の給油活動を継続するための「補給支援法案(新テロ特措法案)」を閣議決定、国会に提出した。新法案では自衛隊の活動を給油・給水の補給支援に限定するなど「非軍事」をアピールしているが、現行法にある国会承認の規定を削除するなど、明確な改悪。公明党は骨子案で二年間だった法律の期限を一年間に短縮させたことを成果としているが、同法成立に積極的に立ち振る舞う姿は、もはや自民党とほとんど変わらない。

民主、農民票獲得もくろみ独自案提出
 民主党は十八日、生産費と販売価格との差額を基本として農家への所得補償を実施する「農業者戸別所得補償法案」を参院に提出した。現行の品目横断的経営安定対策と比較し、交付金をコメにも支払う点と、原則すべての販売農家を対象にしている点で異なる。同法案は、七月の参院選マニフェスト(政権公約)で柱として掲げた政策を基にしたもの。来る総選挙で農民・地方の票獲得を狙うものだが、一方で経済連携協定(EPA)を推進するとしているなど、同党の基本は自由化推進。この党の農業保護、所得補償案は票目当ての欺まんでしかない。

諮問会議で増税議論開始
 政府の経済財政諮問会議は十七日、社会保障制度と税制の一体的な改革に向けた審議を開始、二〇一一年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するために最大で六兆六千億円の増税が必要とする内閣府の試算を了承した。諮問会議が増税の必要額を明示するのは初めて。また福田首相は「わかりやすい議論を早急に積み重ねる必要がある」と、増税に向けたキャンペーンを明言した。大企業への増税などに着手せず、操作された試算であたかも増税が避けられないかのように宣伝する政府のキャンペーンは許せない。

広島で米兵が少女を集団レイプ
 米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)に所属する海兵隊員四人が、広島市内で日本人女性を集団で暴行した疑いがあるとして、広島県警が集団強姦(ごうかん)容疑で捜査していることが十九日、分かった。米軍基地があるがゆえの犯罪であり、再発防止には、日米安保条約の破棄と米軍基地の撤去以外にない。政府は、容疑者を直ちに日本側に引き渡すよう求めるべきだ。

民間の日欧EPA研究会
 日本と欧州連合(EU)とのEPAなどの交渉入りを促す民間研究会が十日、東京都内で初会合を開いた。この研究会「日本・EUEIA(経済統合協定)検討タスクフォース」は、日本経団連や日本自動車工業会など計十四企業・団体で構成、経産省や外務省などがオブザーバー参加している。研究会は韓国が五月にEUとの交渉を始めたことへの対抗などから始まった。マスコミは「EUは巨大市場、協定の恩恵は計り知れない」「日本の農産物市場の閉鎖性が問題」(日経新聞)などと、早速EPA締結をテコにした農業淘汰(とうた)のキャンペーンを張っている。警戒と反撃が必要だ。

連合が第10回大会開催
 連合は十一日、東京第十回定期大会を開いた。非正社員への支援と組織化に最優先で取り組むとする今後二年間の運動方針を提案、本部に「非正規労働センター」を新設することなどを決めた。また大会で高木会長は、次期衆院選について、民主党基軸による「政権交代」を主張、労働組合として、財界の願う保守二大政党制に呼応することを主張した。

母子家庭年収、平均世帯の4割未満
 母子家庭の平均年収(〇五年)は二百十三万円で、全世帯の平均所得の三七・八%でしかないことが十六日、厚生労働省の「〇六年度全国母子世帯等調査結果」で分った。母子家庭の平均年収から、児童扶養手当や仕送りなどを除いた就労収入の平均は百七十一万円で、前回調査(〇二年)と比べて約九万円増加したが、所得制限の強化による児童扶養手当の削減などがあったため、平均年収は一万円増にとどまった。自公与党は参院選の惨敗から、来年四月からの児童扶養手当の削減を一時凍結するとしているが、求められているのは削減の中止と拡充である。


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