労働新聞 2007年8月15日号 トピックス

世界のできごと

(7月30日〜8月9日)

欧米日が大規模資金供給で協調
 欧州中央銀行(ECB)は八月九日、米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付きを受けて、欧州金融市場に約九百四十八億ユーロ(約十五兆四千億円)を緊急供給した。これに歩調を合わせ、米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀なども欧米の短期金融市場に巨額資金を緊急供給した。サブプライムローン問題の影響で仏最大手の金融機関傘下のヘッジファンドが営業を停止したことなどがきっかけで、日米欧の当局が大規模な資金供給で協調したのは、米同時テロ直後の〇一年九月以来。世界経済は米国のおう盛な個人消費をエンジンの一つとして回っている。その基礎となる米住宅バブルの崩壊を防ごうとした今回の資金投入だが、この緊急延命策で世界経済の危機を回避できるかどうか、予断を許さない。

南北首脳会談、7年ぶり2回目開催へ
 韓国の盧武鉉大統領と朝鮮の金正日総書記は八日、八月二十八日から三十日まで平壌で南北首脳会談を行うことで合意したと正式発表した。南北首脳会談の開催は二〇〇〇年六月の金大中大統領(当時)と金総書記が南北分断後初めて会談して以来、二回目七年ぶり。米国は、自らの設置した六者協議の枠外で南北が接近することに「難色」を示しつつ、中東情勢に手を取られている現状では「歓迎」の意を示す以外に選択肢がない状況だ。

デンマークがイラク撤退
 デンマーク政府は一日までにイラク駐留軍約五百人を撤退させた。デンマーク軍は英軍の指揮下、イラク南部で治安維持任務に当たってきたが、イラク戦争後に兵士六人が死亡、国民は米ブッシュ政権に追随する政府に不満を強めていた。米国は、七月末から四日間、ライス国務長官を中東に派遣、エジプトやサウジアラビア、ヨルダンなど新米アラブ諸国への軍事援助の強化を約束、「イラク安定」を画策したが、足元の「有志同盟」は崩れる一方だ。

SCOが初の合同軍事演習、米けん制
 中国とロシアを中心とする上海協力機構(SCO)六カ国による合同軍事演習「平和の使命二〇〇七」が九日、中国西部の新疆ウイグル自治区で始まった。六カ国そろっての軍事演習は初めてで、欧州をにらむロシア中部ウラル地方などでも行われる。この演習は、中央アジアにおける米国の影響力を薄める狙いがあり、同時にSCOの存在感を国際的にアピールしている。

仏でスト対策法が成立、反発必至
 フランスで二日、国鉄など公共交通機関のストライキの手続きを厳しくする法案が議会で可決・成立した。来年一月に施行する。ストへの参加を勤務先に四十八時間前までに申告することや、違法ストへの賠償請求権の設立が柱で、政府は航空、海運などにも新法の適用を広げる方針。これに対し労働組合はスト権の侵害だとして反発、憲法評議会への違憲申し立ても含めて闘う姿勢を示している。労働者の直接行動制限をもくろむ仏政府・支配層のもくろみに対し、反撃は必至だ。

人民のたたかい

(7月30日〜8月9日)


 韓国で非正規職労働者解雇などと闘うイーランド労組に対し、警察が暴力的に労組幹部を拘束したことなどに対する抗議の座り込みが一日、ソウル地方労働庁で行われた。人権団体活動家などが参加した。
 マレーシアのペナンで七日、警察当局などが実施したタクシー運転手への取り締まりに対し「嫌がらせ以外何ものでもない」と、運転手千三百人が業務を一時中止、ストライキで抗議した。
 南太平洋のフィジーで二日、政府の公務員制度・財政改革の一環として計画されている全公務員の給与五%削減や定年年齢の六十歳から五十五歳への引き下げなどに反対し、教員や空港職員、港湾職員、看護師などがストライキに入った。





日本のできごと

(7月30日〜8月9日)

臨時国会開会、参院議長に民主・江田
 第百六十七回臨時国会が八月七日、召集された。先の参院選での与野党逆転を受け、参院議長には民主党から江田元科学技術庁長官が選出された。自民党は五五年の結党以来、初めて参院議長を手放した。参院選で大惨敗を喫した、安倍政権の危機を象徴するできごとだ。しかし、参院で第一党になった民主党に財界やマスコミはいっせいに「責任野党へ」「反対だけでは旧社会党と同じ」などとけん制、プレッシャーをかけている。民主党はこうした声にも応えなければならず、与野党とも、苦しい状況に立たされている。

民主・小沢が「PKOなら参加」と
 民主党の小沢一郎代表は八日、シーファー米駐日大使と会談した。シーファー大使は、十一月一日に期限切れを迎えるテロ特措法について延長を認めるよう要請した。これに対し、小沢代表は「国連で直接的にオーソライズした(認めた)ものではない」とし、延長を認めない考えを示した。ただ、小沢代表は「国連にオーソライズされた平和維持活動(PKO)には積極的に参加する」として、アフガン駐留の北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)にも触れ、参加に前向きな考えを明らかにした。また小沢側近の藤井前代表代行もアフガンでの米軍支援について国連決議のもとPKOの枠組みであれば「自衛隊は出ていかなければいけない」と発言している。これこそ民主党の本音である。

アジアで日本外交に冷たい視線
 東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会合などに参加するためマニラを訪れていた麻生外相は一日、中国の楊外相と会談した。麻生外相は朝鮮の核について六者協議で合意された「初期段階」について「第一歩にすぎない」とし、「次の段階」に向け圧力をかける必要性を強調したが、中国側はあくまで平和的解決を主張、取り合わなかった。また、麻生外相は拉致問題を議長声明に盛りこむよう求めたが、結局「人道的問題は重要」との一般的な表現にとどまった。日本の突出した強硬姿勢にアジア各国の視線は冷たい。

米下院で従軍慰安婦決議
 米議会下院本会議は七月三十日、先のわが国の侵略戦争で日本軍によって性奴隷にされた元「慰安婦」たちに対し、日本政府が公式な謝罪を行うよう求める決議を採択した。決議では先に、わが国の自・民の国会議員などによる米紙への侵略美化の全面広告にも言及、厳しく非難した。安倍は加藤駐米大使に対し、「決議が採択されれば、永続的で有害な影響を与える」とした書簡をペロシ下院議長などに送付させ、よけいに反発を買った。

経済財政白書でも「改革」のほころび
 太田経済財政担当相は八月七日、二〇〇七年度年次経済財政報告(経済財政白書)を閣議に提出した。「日本経済は新しい成長に向けたステージ」と唱ったものの、「家計部門では〇六年半ばごろから賃金と消費の伸びが鈍化、その後消費は持ち直したが、賃金は横ばい」「企業収益が回復する中にあっても、それに見合った賃金の増加は見られない」と、労働者の賃金がいっこうに向上しない現状を指摘せざるを得ないなど、安倍の「成長戦略」と改革政治のほころびが読みとれる。しかし、その「打開策」としては「企業部門から家計部門への波及が回復すること」などと、安倍の「成長政略」に沿ったもの。

最賃平均14円上げへ
 最低賃金改定を審議していた中央最低賃金審議会の小委員会は八日、現行六百七十三円の最低賃金について。今年度の引き上げ幅を六〜十九円、平均十四円とする報告書をまとめた。目安が時給ベースになった〇二年度以降では最大の上げ幅となったが、時給千円以上を求める労働者の要求からはほど遠い。

福知山事故で初の説明会
 〇五年四月のJR福知山線脱線事故で、JR西日本は四日、事故原因などについての被害者への初の説明会を行った。しかし、JR西側は、事故原因について事故当時の運転士の心理状態の推論にばかりに焦点を当て、ATS(自動列車停止装置)の設置の遅れなどについては明らかにしないものであった。説明会では「日勤教育は有用」と暴言を行った丸尾副社長に対しては、遺族から抗議の声があがった。


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