労働新聞 2007年8月5日号 トピックス

世界のできごと

(7月20日〜7月29日)

6者協議閉幕、米国の苦境色濃く
 北京で行われていた朝鮮の核問題をめぐる六者協議は七月二十日、議長声明を発表し閉幕した。声明では会合が「相互の信頼と関係を増進させた」と成果を強調、〇五年九月の共同声明と〇七年二月の合意を「誠実に履行」することを確認、朝鮮への重油九十五万トン相当のエネルギー支援などが決められたが、当初米国が迫った核の無能力化の年内履行は目標期限が明記されなかった。声明からは、自らが「悪の枢軸」とののしったイランとの交渉に行き詰まり、朝鮮との交渉で少しでも成果を上げたいという米国の思惑が丸見えになっている。

米、インド国内の核再処理を容認
 ライス米国務長官とインドのムカジー外相は二十七日、米印原子力協定の履行条件をめぐる交渉で合意した。米国は従来の立場を転換し、インド国内での核燃料再処理を容認、米国からインドへの核燃料供与を柱とする〇六年三月合意からいちだんと踏み込んで、インドの民生用原子力開発の拡大を認めた。中国けん制とインド市場への進入拡大を主な狙いとして関係を強化したい米国だが、この合意は内容に差をつけられたパキスタンの親米政権との交渉にも影響を及ぼし、またイランや朝鮮との「二重基準」をいっそう鮮明にさせている。米議会での承認も含めて、新たな火種を生む合意だ。

米、サービス業への失業対策を拡大へ
 米上院の超党派の議員は二十三日、輸入品の攻勢で職を失った失業者に給付金を出す貿易調整支援(TAA)制度について、製造業だけでなくサービス業を対象に加える法案を提出した。TAAは失業に伴う一時的な所得補償、職業訓練、健康保険の補助などからなる給付金制度。成立すれば、インドなどへの業務の海外委託により雇用が細っているコンピュータ・プログラマーやコールセンター事務員などが新たな給付対象になる。米多国籍大企業が自らの利益のために押し進めたグローバル化により、産業空洞化が製造業だけでなくサービス業でも進行、政府が国民の怒りと要求に新たに対応を迫られていることのあらわれだ。

イラクが米の劣化ウラン弾使用告発
 イラクのオスマン環境相は二十二日、エジプトの首都カイロで開かれたアラブ連盟主催の経済・環境会議後の会見で、米軍の使用した化学兵器や劣化ウラン弾によって国内三百五十カ所が汚染されたと発言、汚染された大気や水を浄化する環境保全技術や経験を得るために、イラクが将来、国際的な協定に加わる意思があると主張した。米国は「身内」のイラク政権からもその犯罪を暴露されている。

人民のたたかい

(7月20日〜7月29日)


 ブラジル・サンパウロのコンゴニャス空港で七月十七日に発生したブラジル航空機事故史上最悪の旅客機事故を受け、遺族を含む八千人が二十九日、プラカードや花を手に大規模なデモに参加し、被害者を追悼するとともに、空の安全に対するブラジル政府の対応を批判した。
 韓国ではアフガニスタンで反政府勢力のタリバンに拉致された韓国人の解放を求め、平和団体や宗教者などが連日行動している。市民団体の連合組織「派兵反対国民行動」は二十三日、ソウルで集会を開き、「韓国人拉致の原因は米ブッシュ政権のアフガニスタン占領と韓国軍の派兵」だとし「人質全員の帰還のために韓国軍は即時撤兵すべきだ」と訴えた。また韓国キリスト教教会協議会は二十二日、年末に予定されている韓国軍の撤収を早めることを検討するよう韓国政府に求めた。
 また、解雇撤回を求めて座り込み闘争を続けている、流通大手イーランド・ニューコア労組の組合員の闘いに二十日、警官隊が導入されたことに対して二十九日、支援者たちが野宿で座り込みをしながら文化祭を開き、組合員の早期釈放と労働法改悪に抗議した。





日本のできごと

(7月20日〜7月29日)

参議院選挙、自公が大惨敗
 第二十一回参議院議員選挙が七月二十九日、投開票された。与党は大惨敗し、改選獲得議席は自民党が二十七議席減の三十七議席、公明党は三議席減の九議席となった。一方、野党は民主党が二十八議席増の六十議席を獲得し、共産党は二議席減、社民党は一議席減、国民新党は二議席を維持した。選挙の結果、民主党は参院で第一党となった。年金問題や「政治とカネ」、閣僚の失言ばかりがクローズアップされたが、自公大惨敗の背景には、地方切り捨て、国民犠牲を強いる改革政治に対する国民の怒りがある。

赤城農相が収支報告に二重計上
 赤城農相が、自民党茨城県第一選挙区支部と赤城徳彦後援会の〇三年分の政治資金収支報告書に、同じ領収書のコピーを添付していたことが二十七日、明らかになった。赤城農相は事務所費問題でも疑惑釈明を拒否したまま、事実上更迭された。相次ぐ閣僚不祥事とその責任の取り方の不透明さに、国民の安倍政権批判はますます高まっている。

6者協議、孤立深める日本
 朝鮮の核問題をめぐる六者協議が二十日、北京で開かれ、核施設の「無能力化」など「次の段階」の実現の意思を確認する議長声明を採択した。今回、日朝会談がようやく実現し、報道発表文では日朝国交正常化部会を八月末までに再開することが盛り込まれた。各国が重油支援など具体的な行動をとる中で、安倍政権は「拉致問題の進展なくして支援なし」の強硬姿勢を続け、孤立を深めている。

柏崎刈羽原発、事故隠しに怒り
 東京電力は二十四日、中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発六号機の原子炉建屋で、クレーンの車軸が破断していたことを明らかにした。また、二十七日には一号機の原子炉圧力容器から、放射能を帯びた水が作業用フロアにこぼれた可能性を明らかにした。次々と明るみに出る柏崎刈羽原発事故に、住民の不安と怒りが高まっている。東電と国の原発事故隠ぺい体質が変わっていないことが、またも明るみに出た。

公務員改革、有識者懇談会が初会合
 公務員制度全体の改革を議論する有識者懇談会「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」(座長=岡村・東芝会長)の初会合が二十四日、開かれた。参院選挙の最中、安倍首相も出席し、公務員制度改革全体の基本法案を来年の通常国会に提出する方針を表明した。これは官公労攻撃、とりわけ自治労に対する攻撃であることは明白であり、反撃が必要だ。

中国へのコメ輸出で世論誘導
 中国・上海市で二十日、日本産コメが売り出された。中国へのコメの輸出は四年ぶり。中国での販売価格は一キロ千五百円で現地のコメの二十倍以上の高値となる。赤城農相は国際競争力をもった農業、農産物輸出による「攻める農業」をアピールするために訪中してパフォーマンスを繰り広げた。これは、農産物の完全自由化、農業改革を進めるための世論づくりの一環で、警戒が必要だ。

朝鮮総聯施設にさらに課税強化
 総務省は二十四日、〇七年度の在日朝鮮人総聯合会の関連施設に対する固定資産税の課税について、約百三十の市町のうち減免措置を取りやめるなど徴税を厳しくした自治体が前年度より二十四市増加し、約六十自治体にのぼっていることを公表した。総務省は昨年四月、関連施設を公的な施設とみなして固定資産税の全額または一部を免除していることの見直しを求めていた。国や石原都知事が先兵となって進めている課税強化、朝鮮敵視政策をいますぐ止めるべきである。

日本経団連が夏季フォーラム
 日本経団連は二十七日、東富士夏季フォーラムで経団連の中長期ビジョンである「希望の国 日本」を実現するための「東富士アピール二〇〇七」を採択した。アピールでは、教育、経済連携協定(EPA)、道州制を重要テーマと位置づけ、とりわけEPAの加速化を打ち出した。また会議では、全国知事会会長の麻生福岡県知事をゲストに道州制導入に向けて議論。大分県出身の御手洗会長は「究極の構造改革」として、全国に先駆けて九州での道州制を提唱した。多国籍大企業の利益を追求するための構造改革を進めることは、国民の生活と営業を破壊する道である。


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