労働新聞 2007年7月25日号 トピックス

世界のできごと

(7月10日〜7月19日)

米、イラク「報告」に与党からも異論
 ブッシュ米大統領は七月十二日、イラク政策に関する「中間報告」を発表した。人民の抵抗により、「報告」の全十八項目中、「満足できる進展」と「評価」されたものは八つにすぎない。ブッシュは「これから成果が期待できる」と強弁、責任をマリキ政権の「努力の遅れ」に転嫁した。だが、野党はもちろん、共和党の一部からも報告への不満が噴出、下院は撤退法案を改めて可決した。ブッシュはイラク「安定化」におおわらわだが、自らの衰退ぶりを露呈するだけだ。

米、サブローンで12兆円損失
 米連邦準備制度理事会のバーナンキ議長は十九日、サブプライムローンの焦げつきが、最大一千億ドル(約十二兆二千億円)に達すると述べた。同ローンは、低所得者層を主な対象にした高金利型の住宅ローン。この影響で、このローンを組み入れた金融商品の価格が下がり、ヘッジファンドや金融機関の損失が拡大しつつある。サブプライムローンは、この間の米国の消費を支えてきた柱の一つであり、この部分の損失拡大は、米経済に大きな影響を与える可能性をはらんでいる。

ロシア、戦力条約履行を停止
 プーチン・ロシア大統領は十四日、欧州地域での通常戦力(CFE)条約の履行を停止する大統領令に署名した。同条約は九〇年に締結され、戦車などの保有上限数を定めたもの。ロシアの措置は、中・東欧諸国にミサイル防衛(MD)施設を配備するなど、米国がさまざまな対ロ挑発・けん制を行っていることに対抗したもの。ロシアは十七日には、ロンドンでの元情報員死亡事件を口実とした、英政府によるロシア外交官追放処分への報復措置として、英外交官四人を追放した。ロシア・米欧関係は冷戦後最悪といわれる状態。米国はキッシンジャー元国務長官を派遣するなどで懐柔も策動しているが、資源高を背景に台頭するロシアは屈していない。このロシアの動向は、世界の多極化を促す動きである。

WTO議長合意案発表
 世界貿易機関(WTO)は十七日、農業、鉱工業製品の関税引き下げ合意に向けた議長合意案を発表した。米国の農業補助金削減で目標を明記する一方、重要品目の例外措置を六〜八%と日本政府案(一〇〜一五%)よりも低く設定、鉱工業製品では途上国に上限関税引き下げを求めるなどの内容。経済連携協定(EPA)締結が進んでいるとはいえ、貿易や投資の自由化を求める各国多国籍大企業には、WTO合意によるいっそうの市場開放は願い。しかし、農業など各国国内産業に痛みを強いるため、合意は容易ではない。

人民のたたかい

(7月10日〜7月19日)


 朝鮮の平壌で十日、朝鮮総聯中央本部の土地・建物が競売されることに抗議する集会が開かれた。集会では、「安倍政権は在日朝鮮人運動を抹殺しようとしている」との声があがった。
 韓国・高速鉄道(KTX)乗務員がストライキに入ってから五百日を迎える十三日、支援の労組など七百人が参加して大会が開かれた。
 全国金属労組の五百人が十日、ソウルの経済人総連(財界団体)などに糾弾行動を行った。六月末の米韓自由貿易協定(FTA)反対ストに際し、労組指導部が告発されたことに抗議した。金属労組傘下の韓国デルファイ支会は、賃上げや労組の認定などを求めて十一日、部分ストに突入した。
 ギリシャ・アテネの観光名所であるパルテノン神殿で十三日、遺跡で働く監視員らによる労組が、正社員化などを求めて四十八時間ストライキを行い、神殿を一時閉鎖に追い込んだ。
 タイ中部のアントン市で十七日、英小売り大手テスコの出店に反対し、地元の小売商数千人が市内をデモ行進した。テスコの出店に対しては、タイ各地で抗議デモが起こっている。





日本のできごと

(7月10日〜7月19日)

参議院選告示、茶番演じる与野党
 第二十一回参議院選挙が七月十二日、告示された。投開票日は同月二十九日。安倍首相は第一声で「改革が逆行か」などと絶叫、国民大多数に犠牲を強いる改革の継続・強化を鮮明にする一方、消費税増税には口をつぐんだ。また、太田・公明党代表は自民党との連立を正当化する強弁に終始した。一方、民主党の小沢代表は安倍政権を「弱者切り捨て、地方切り捨ての政治」と「批判」、「政権交代」を呼びかけたが、これまで自民党と改革を競い合ってきたことにはいっさい触れなかった。マスコミなどは「与野党逆転か」などと、国民の関心をあおっているが、国の基本政策では違いのない二大政党、自民党と民主党が演じる「政権争い」の茶番にほかならない。年金問題などで「与党の過半数割れ」などとも言われているが、どのような結果になっても国民の要求の実現にはつながらない。

首相が靖国に奉納、歴史わい曲正当化
 安倍首相は、十三日から始まった靖国神社の祭りにちょうちんを奉納した。肩書きはないものの、侵略戦争を正当化する靖国にまたしてもお墨付きを与えたことになる。また、民主党の小沢代表は「衆院議員」の肩書付きで奉納、侵略美化において、安倍首相と変わらぬ姿勢を見せつけることとなった。

経済同友会、「改革」継続へアピール
 経済同友会は十三日、軽井沢で開催していた夏季セミナーで「構造改革の継続と加速」など八項目にわたる政策提言(軽井沢アピール)を採択した。「日本の構造改革をよりいっそう推進」するため、参院選で「安倍内閣の進める構造改革の流れが止まらないことを期待」(桜井代表幹事)と、守勢に立たされている安倍政権を側面支援する姿勢を明確にした。参院選での与党敗北により、改革の後退を恐れるわが国財界による策動の一環だ。

通商白書、東アジアでの自由化強調
 経済産業省は十日、〇七年版の通商白書を発表した。安倍政権の掲げる「成長戦略」そのままに「生産性向上と成長に向けた通商戦略」をテーマに東アジア地域でのいっそうの自由化を主張、各国ごと異なる経済制度を「企業の自由な活動の障害」とし、財やサービス貿易の自由化、投資ルールの整備の必要性を強調している。東アジア地域に進出するわが国多国籍大企業の利益ための通商政策だ。

中小企業の倒産30.9%増
 二〇〇七年一〜六月期の企業倒産件数が五千三百九十四件と、前年同期を一六・六%も上回ったことが、帝国データバンクが十二日に発表した集計で分かった。倒産件数(負債総額一千万円以上)は〇五年上半期から上昇、とくに負債額五千万円未満の中小・零細企業の倒産は二千二百六十一件と前年同期比で三〇・九%も増加している。地域では、北陸、近畿、四国で増加している。トヨタなど多国籍大企業が市場最高益を更新する中で、中小企業は依然として厳しい状況にあることが示された。安倍の掲げる「成長戦略」が、中小企業になんら恩恵を及ぼさないことは明らかだ。

百貨店協会、消費税増税反対の要望書
 日本百貨店協会は十九日、〇八年度の「税制改正に関する要望書」を政府、関係省庁に提出した。「要望書」では「個人消費は依然として楽観視できない」とし、消費税率について「引き上げる状況にない」と、消費税増税に反対を表明した。消費税増税については安倍首相が将来の増税の可能性を示唆(しさ)、参院選での「与党劣勢」が報じられたことでトーンダウンしたが、「秋以降に税制の抜本改革に向けた議論を」などと含みを持たせている。

新潟・長野で震度6強の地震
 新潟県上中越沖を震源とする地震が十六日あり、新潟県、長野県で最大震度六強を記録し、死者十人、負傷者は千人を超えた。被害が大きかった柏崎市では、三百戸を超える木造民家が崩壊し、電気、水道などのライフラインはズタズタに引き裂かれた。また、震源地に近い柏崎刈羽原発も大きな被害を受け、一部放射性物質が漏れるなどの事態を引き起こし、住民たちの間に不安が広がっている。安倍首相や鳩山民主党幹事長など与野党入り乱れ、選挙目当てに被災地を訪問しているが、小手先でない、被災者支援こそ急がれる。


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