労働新聞 2007年7月15日号 トピックス

世界のできごと

(6月30日〜7月9日)

米ロ首脳会談、ブッシュ成果出せず
 ブッシュ米大統領とプーチン・ロシア大統領は七月二日、米メーン州ケネバンクポートで行われていた首脳会談を終えた。米国が狙うチェコとポーランドへのミサイル防衛(MD)施設配備について、ブッシュは「イランを想定したもの」などと「理解」を求めたが、プーチンは「ロシアを想定したもので、新たな軍拡競争を招く」と反対を貫いた。プーチンは逆に、アゼルバイジャンのレーダー施設共同使用で新たな提案をしてブッシュを揺さぶり、ミサイル問題を北大西洋条約機構(NATO)・ロシア評議会など多国間交渉で取り上げることをのませた。台頭するロシアをけん制するためのMD配備は進まず、ブッシュは別荘を使ってミエミエの友好ムードを演出したにもかかわらず、「成果」はなかった。

米軍、アフガンで民間人虐殺
 アフガニスタンに展開するNATO軍は六月三十日、南部ヘルマンド州で大規模な空爆を行い、女性や子どもを含む民間人六十五人が死亡した。米軍主体の連合軍報道官は「タリバンと交戦していた国際治安支援部隊(ISAF)を支援するため」と説明、空爆を正当だと言い張っているが、国連からも「民間人の死傷者発生という事実から逃れることはできない」(潘基文事務総長)と批判が出ている。アフガンでの外国軍の軍事作戦による民間人死者は昨年約二百三十人だったが、今年はすでに約三百人に達し、昨年全体の死者数を上回っている。米国はアフガン「占領」が成功しないあせりから、残虐ぶりをエスカレートさせている。

英で連続テロ、人民の怒りのあらわれ
 英北部スコットランドのグラスゴー空港で三十日、四輪駆動車がターミナルビルに突っ込み、炎上した。前日にはロンドン中心部での爆弾テロ未遂が起こっている。ブラウン新政権発足に合わせたかのようなこの事件は、米国とともに中東への侵略・支配を続ける英国に対し、中東など全世界人民の怒りがいかに根強いかを示している。

パろう城事件、親米への怒り反映
 パキスタンの首都イスラマバードで三日、治安部隊とイスラム神学校の学生らとの間で銃撃戦が発生、学生らはモスクに立てこもるなどの抵抗を続けたが、最終的にムシャラフ大統領は治安部隊を強行突入させ、数百人が犠牲になったとみられる。事件の背景には「テロとの戦い」などと米欧に協力する政権への批判がある。突入後、大統領に対する抗議行動や報復自爆などが各地で起こるなど、人民の不満と怒りはいっそう高まっている。

人民のたたかい

(6月30日〜7月9日)


 韓国で七月一日、「非正規法」施行を受けて大手スーパーのイーランドが非正規職七百五十人を集団解雇したことに対し、組合員は全国二十あまりの店舗で無期限の座り込みに突入、レジを占拠した。これにより十六以上の店舗を営業中断に追い込んだ。
 首都ソウルで九日、整理解雇撤回と直接雇用を要求し韓国高速鉄道(KTX)乗務員など三十二人が続けてきた集団ハンストに対する連帯集会が行われた。また連帯ハンストも行われ、三千人が参加した。
 ドイツ
で二日、鉄道二大労組が平均七%の賃上げを求めてラッシュアワーに二〜三時間の警告ストを行った。ストは三日も拡大して行われ、九日には鉄道当局から四・五%の賃上げを獲得、今年ドイツで勝ち取られた賃上げの最高の引き上げ率となった。
 ペルー
の首都リマで五日、教育関連法の改悪に反対する抗議集会が行われ、また教職員組合などは全国ストライキを行った。幹線道路封鎖なども行われ、治安部隊と激しく衝突した。
 米国
で一日、米ロ首脳会談が行われたブッシュの別荘近くで、イラク撤兵などを求め千五百人がデモを行った。





日本のできごと

(6月30日〜7月9日)

自公強行採決相次いだ通常国会閉幕
 第百六十六通常国会が七月五日、閉会した。今国会では改憲のための国民投票法、米軍再編関連法、教育関連三法、イラク特措法延長など、わが国の将来を危うくする悪法が自公両党の強行採決によって相次いで成立した。しかし、安倍政権は発足から九カ月で三閣僚が交代するガタガタの状況で、さらに赤城農水相の事務所費疑惑が浮上している。安倍政権は参議院選挙を闘うために、公務員攻撃を強めるなど問題のすり替えを策動しているが、国民の怒りがおさまるはずもない。

民主党がマニフェスト発表
 民主党の小沢代表は九日、「国民の生活が第一」とした参院選マニフェスト(政権公約)を発表した。年金、子育て、農業を「三つの約束」として最重要課題と位置づけたほか、格差是正や医師不足の解消など「七つの提言」を盛り込んだ。基礎年金部分の全額税方式、「子ども手当」創設、すべての販売農家への「戸別所得補償制度」をうたうなど、国民受けを狙っている。しかし、外交問題ではまったく対抗軸を打ち出せないばかりか、財源問題で安倍に突っ込まれる始末。小沢民主党は改革政治を進める点では安倍政権とまったく同じであり、「国民の生活が第一」という甘言は、ペテンにすぎない。

久間防衛相が「原爆」発言で辞任
 米国による原爆投下を「しようがない」と発言した久間防衛相が三日、辞任に追い込まれた。しかし、この発言に対する謝罪の言葉もないままである。安倍首相は後任に小池・首相補佐官を起用したが、そもそも、安倍首相も小池新防衛相も日本の核武装を主張してきた人びとである。久間発言は危険な安倍政権の本性をあらわしているもので、「トカゲの尻尾切り」で済まされる問題ではない。

中国・朝鮮の脅威あおる防衛白書
 防衛省に移行してから初の〇七年版防衛白書が六日、閣議了承された。白書では「中国の軍事力拡張と、朝鮮の核・ミサイル問題への警戒感」を鮮明に表明した上で、日米ミサイル防衛(MD)協力を強調し、再編交付金による米軍再編の円滑な実施なども打ち出している。また、軍事面での日米同盟の強化と合わせてオーストラリアやインドとの連携を明記、中国をけん制した。この防衛白書に対して中国外務省は「中国脅威論を誇張したことに、強い不満を表明する」と談話を発表し反発している。軍事大国化をめざす安倍政権は、東アジアの緊張を自らつくり出している。

労組つぶしの社保庁改革法が成立
 社会保険庁を二〇一〇年に廃止し、非公務員型の「日本年金機構」を新設する社会保険庁改革法が六月三十日、成立した。巨額な公的年金の管理を事実上民営化することは、国の責任放棄であり、将来にわたる年金事業にとって不安要素となる。併せて、政府は年金記録漏れ問題の責任を社保庁の労働組合に押しつけ、一時金の返上などの圧力を強めている。この機に乗じて労組つぶしを狙う安倍政権への反撃が必要だ。

公務員攻撃狙う公務員関連法成立
 公務員制度改革関連法が三十日、成立した。この法案を最優先課題と位置づける安倍政権は国会会期を延長した上に、委員会審議を省略して本会議で直接採決できる「中間報告」の動議を提出して成立を強行した。この法案は公務員の再就職あっせんを「官民人材交流センター」に一元化するというものだが、高級官僚の天下りが規制される保障はまったくない。安倍政権の真の狙いは、これを突破口に官公労攻撃を本格化することであり、労働組合の対応が問われている。

学力テスト集計で障害持つ児童除外
 東京都足立区教育委員会は七月七日、昨年四月に区が独自に実施した学力テストで、情緒障害をもつ児童三人の答案を採点から除外した小学校があったことを明らかにした。この小学校の成績順位は〇五年度は四十四位だったが、〇六年度はトップとなった。同区では、学校選択制を〇二年度から実施しており、成績の上位校に入学希望者が集まる傾向が強まっている。学力テストによって学校のランク付け、学校間競争が激化しており、今回の問題はこうした背景の下で起こったもの。四月には全国一斉の学力テストも復活しており、学校教育のあり方が問われている。


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