労働新聞 2007年7月5日号 トピックス

世界のできごと

(6月20日〜6月29日)

朝鮮「初期段階措置」履行を表明
 朝鮮は六月二十五日、マカオの銀行からの送金が確認されたことを受け、二月の六者協議で合意された、核関連施設の停止など「初期段階措置」の「履行に入る」ことを表明した。朝鮮は、二十六日に平壌入りした国際原子力機関(IAEA)代表団と、施設の封印などについて協議に入っている模様。二カ月以内に実施するとしていた六者協議「合意」が遅れたのは、米国が資金凍結解除を遅らせたため。だが、米国は金融制裁を全面解除したわけではなく、二十七日には朝鮮が行った軍事演習を一方的に非難するなど敵視政策を捨てたわけではない。今後の協議も、すんなりと進む保証はない。

英ブラウン内閣が成立
 英国で二十七日、ブラウン新首相による内閣が発足した。ブレア前政権が、米国のイラク侵略戦争への加担を批判され退陣に追い込まれたことを受け、外相にイラク参戦に「懐疑的だった」とされるミリバンド氏を指名、内相に初めて女性を起用するなど、政権のイメージアップを狙っている。だが、首相自身がブレア政権下で財務相という要職を務めた人物である上、「テロ対策」と改革政治を優先課題とするなど、英国民が期待できる政権ではない。

EU、抵抗根強い「改革条約」
 欧州連合(EU)首脳会議は二十三日、加盟国が「改革条約」を年内に調印することで合意した。内容は、市場統合促進をはじめ、EU大統領(常任議長)の創設、多数決による政策決定など政治統合をめざすもの。「改革条約」は、〇五年にフランスなどで否決された憲法条約を「衣替え」させたもので、欧州の国際的地位を高めることを狙っている。だが、運営をめぐる主導権争いが表面化するなど、首脳レベルでの合意でさえ困難をきわめた。統合強化でさらなる労働条件悪化を迫られる労働者など、各国国民の反発はなおさらで、反撃は不可避である。

CIA文書公表、違法活動を正当化
 米中央情報局(CIA)の、一九六〇年代の内部文書が二十六日、公開された。米国内で手配中のマフィアの容疑者にカストロ・キューバ議長の暗殺を依頼したり、ベトナム反戦運動家の私信を無断で開封するなど、数々の違法行為が明らかになった。CIA当局は「不幸な時代のこと」と批判をかわそうとする一方、現在も米国内で行われている、「反テロ」を口実とした盗聴活動や令状なしの逮捕、暗殺策動を正当化した。まさに、米国こそが最大のテロ国家である。

人民のたたかい

(6月20日〜6月29日)


 韓国の全国金属労組は二十五日より、米韓自由貿易協定(FTA)に反対してストライキに突入、初日には六万九千人の労働者が参加した。二十八日、二十九日には、協定で影響を受ける自動車や造船も含めた十二万人がストを行い、農民なども含めてソウルで開かれた「韓米FTA締結阻止汎国本集会」に合流した。
 また、保健医療労組は二十五日、医療法改悪案に反対し、ソウルで決起大会を行った。同労組は、法案は医療の民営化や賃金格差を拡大させるものだと訴えている。
 アフリカのナイジェリアで二十一日、オバサンジョ大統領による燃料価格引き上げに抗議し、ナショナルセンター「ナイジェリア労働会議」がゼネストを行った。労働者は「原油輸出国のナイジェリアで燃料価格が引き上げられる根拠はない」と述べ、政府との交渉も決裂した。
 経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」記者が二十八日、「メディア王」と言われるマードック氏による親会社買収に反対してストライキを行った。記者たちは、買収により編集方針がゆがめられるとしている。





日本のできごと

(6月20日〜6月29日)

安倍首相、会期延長して強行採決
 安倍政権は六月二十二日、国会会期の十二日間延長を強行した。その結果、参院選挙は七月十二日公示、二十九日投票と先延ばしされた。安倍首相は延長国会で、社会保険庁改革法案、年金特例法案、公務員法案などを次々と強行採決、成立を急いだ。野党は内閣不信任案などを提出したものの、政策上の対抗軸を打ち出せず、国民の期待に応えることができないでいる。こうした中、安倍政権の支持率が三〇%を切った。年金問題や住民税増税をきっかけとした批判の高まりを示している。

イラク特措法2年延長を強行
 イラク復興支援特措法が二十日、参院本会議で可決、成立した。七月末で期限切れを迎えるイラク「復興支援」が二年延長となり、航空自衛隊輸送部隊の活動を継続することになった。米国のイラク支配は失敗、内戦が深刻化し、各国も相次いで軍隊を引き上げている。安倍首相は日米同盟のために米国を支え続けているが、これはイラク・中東人民に敵対する道だ。

有識者懇がミサイル迎撃提言へ
 集団的自衛権問題を議論していた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井前駐米大使)は二十九日、従来の政府解釈を変更し、米国に向かう弾道ミサイルを日本のミサイル防衛(MD)システムで迎撃することを可能とする提言を行う方針を決めた。もともとこの有識者会議は、安倍首相が集団的自衛権の行使を認めさせることを狙って立ち上げたもので、完全な「出来レース」。安倍政権は日米軍事同盟下での軍事政治大国化を進めているが、これは米国が起こした戦争に無条件に日本が巻き込まれる危険なものである。

従軍慰安婦問題に目を背ける首相
 旧日本軍による従軍慰安婦問題への日本政府の対応についての批判が高まっている。米国の下院外交委員会は二十六日、日本政府による公式謝罪や歴史的な責任などを求める決議案を圧倒的多数で可決した。決議案は従軍慰安婦制度に対し、二十世紀最大の人身売買事件の一つだと指摘、日本政府は過去の犯罪行為について否認や縮小を繰り返していると批判した。これに対して安倍首相はコメントを拒否し、数ある決議の一つに過ぎないとして無視する姿勢をあらわにした。アジア諸国はもちろんだが、米国にさえ指摘されるお粗末な歴史認識では、国際的な信頼を得ることはできない。

国家介入のための教育関連3法が成立
 教員免許法、学校教育法、地方教育行政法の改悪を盛り込んだ教育関連三法が二十日、成立した。教員免許は十年ごとの更新制となった。学校教育法では「愛国心」表記を盛り込んだほか、「副校長」「主幹教諭」「指導教諭」を新設した。地方教育行政法では、教育委員会への国の指示・是正要求権を新設し、国の権限を強化した。これは、教育への国家介入を強めるもので、安倍政権による軍事大国化策動のための思想攻撃の一つである。

いっそうの規制緩和狙う3カ年計画
 政府は二十二日、規制改革会議(議長=草刈・日本郵船会長)の答申などを受けて、〇九年度までの規制改革三カ年計画を閣議決定した。〇七年度の重点事項に緑資源機構の主要事業の廃止を柱とする官業改革、教育・研究、競争政策・金融など十五分野を明記した。三カ年計画では、銀行と証券の業務隔壁規制の緩和、航空自由化では国際航空運賃の下限規制の緩和などを打ち出している。規制緩和を進める改革政治の下で、いっそう過酷な競争社会となったことは明白である。資本の横暴を許さぬ規制強化こそが必要だ。

福知山線事故最終報告書、国を免責
 国土交通省・鉄道事故調査委員会は二十八日、百七人が死亡したJR福知山線脱線事故の「最終報告書」を出した。背景には「日勤教育や懲戒処分を課すJR西日本の厳しい管理体制があった」と指摘したものの、「日勤教育は事故防止に効果的なものとするべき」と容認した。日勤教育は、国鉄の分割民営化を準備する過程で始まった労務管理の一貫で、組合員を差別する不当労働行為そのもの。こうした労働者管理が事故の背景にあり、根源は分割民営化にある。調査委員会はこの事故の本質には触れず、JRと国の責任を免責しており、許せない。


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