労働新聞 2007年6月25日号 トピックス

世界のできごと

(6月10日〜6月19日)

パレスチナ内紛をあおる米国
 パレスチナの二大政治勢力、ファタハとハマスの対立が続く中で六月十七日、ファタハを率いるアッバス自治政府議長は「非常事態」を宣言、ハマスを排除した非常事態内閣を発足させた。パレスチナでは昨年一月、米国やイスラエルなどが求めた評議会選挙でハマスが第一党に選ばれたが、米国などは援助停止など不当な干渉を続けパレスチナの内紛をあおり続けてきた。両派の武力対立が激化する中で起こったこの政変に対し、米国とイスラエルはアッバスを支持、イスラエルは早速ハマスの影響力の強いパレスチナのガザ地区への燃料供給を止めるなど圧殺攻撃を強めている。この干渉は、カーター元米大統領さえも「パレスチナを二つのグループに分裂させる試み」と批判するほどの許しがたいものだ。

朝鮮資金問題、米「二重基準」採用
 韓国の宋・外交通商相は十九日、マカオの銀行、バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されていた朝鮮の資金について「最終的に朝鮮の口座に入金されたと把握している」と述べ、「朝鮮資金問題は解決した」との認識を示した。同資金は米ニューヨーク連邦準備銀行を経てロシア中央銀行からロシア極東ハバロフスクの極東商業銀行にあるとされる朝鮮貿易銀行口座に入金されたという。米国は「違法な資金」などとして朝鮮を国際金融市場から締め出したが、最終的には自らが「違法」とレッテルを張った朝鮮資金を自国の銀行で扱うことになった。中東に足を取られる米外交は、自ら弱みを見せ付ける結果となった。

IMF、対中けん制の為替監視強化へ
 国際通貨基金(IMF)は十八日、加盟国の為替に対するサーベイランス(政策監視)を三十年ぶりに強化すると発表した。現在の基本方針に加え「対外的な不安定要因を引き起こす政策を避ける」という新たな基準を加えるもので、自国のぼう大な貿易赤字を口実に中国の人民元切り上げを要求してきた米政府の意向に沿ったもの。これに対し中国は十九日、「開発途上国の意見を十分には反映していない」と独立国の為替政策の自主権を侵害するものだと批判した。米国はその手先機関も使い、自国の貿易赤字増大を理由とした対中圧力を強めている。

米国が原因で世界の難民増加
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は十九日、同事務所が支援対象とする難民が〇六年に前年比一四%増加、約一千万人に達したと発表した。イラク情勢の悪化が主因で、〇二年以来前年水準を上回り続けている。国別ではアフガニスタンが二百十万人、イラクが百五十万人。またUNHCRとは別に、国連パレスチナ難民救済事業機関が受け持つ難民数は四百三十万人。米国が直接・間接に戦争や侵略に加担している地域が主であり、米国が世界で果たしている犯罪的役割がここからも明らかになっている。

人民のたたかい

(6月10日〜6月19日)


 米国では十九日、労働組合の結成に対する経営者の介入を防止することを目的とした「被雇用者自由選択法案」の成立を求めて、労働組合が全米各地で統一行動を繰り広げた。米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)が呼びかけ、もう一つのナショナルセンター「勝利のための変革」連合(CTW)加盟労組も参加した。ワシントンの連邦議会前には四千人が結集した。
 韓国のソウルでは十三日、全国露天商大会が開かれ、ソウル市が発表した「露店特別管理対策」に対し、「大型店を優遇し露店を抹殺するものだ」と批判した。
 政府が十六日、イスラム教のムハンマドを冒とくしたとさえる小説「悪魔の詩」の著者ラシュディ氏にナイト爵位を授与したことに対し、パキスタンやイラン、マレーシアなどイスラム各国で抗議行動が行われた。。





日本のできごと

(6月10日〜6月19日)

各党参院選公約、大差なし
 参院選に向けた与野党の選挙公約(マニフェスト)が、六月十七日までにほぼ出そろった。民主党は安倍政権の失態を突こうと年金問題を焦点にし、外交問題にはほとんど言及していない。当初、自民党は憲法改悪を最大の焦点にすえる姿勢であったが、方針を「転換」、「争点は年金問題」と言い出した。公明党は自民党と歩調を合わせ、「加憲」を掲げた。どの党も大差なく、国民は期待できない。

ごまかしの「骨太方針」
 政府は十九日、安倍政権の下における経済政策の指針となる「骨太方針二〇〇七」を決定した。消費税増税については「〇七年度をめどに、消費税含む税体系の抜本的改革」と明記、消費税増税への地ならしを行うことが示されている。また、「労働市場改革」については「引き続き検討」と、財界や米国が熱望している「労働ビックバン」への糸口が書き込まれている。小泉改革の継続を望む財界の一部からは「踏み込み不足」との声もあるが、参院選を控え、国民との矛盾激化を恐れる安倍政権のゴマカシだ。規制緩和、大衆増税に向けた道筋はしっかりと書かれており、大多数の国民とのさらなる矛盾激化は避けられない。

民間も日米軍事一体化
 日米両政府が軍事技術の共同研究・開発をめぐり、両国の民間企業同士で技術情報を共有・移転できる仕組みを導入する方針を決めたことが十七日まで明らかになった。まずミサイル防衛(MD)システムの共同開発に適用する。軍事技術の共同研究・開発については、これまで個別に両政府間だけで情報交換されていた。これを企業間の交流に拡大させる考え。民間含め、いっそうの日米軍事一体化を進め、武器輸出三原則を空洞化させるものだ。

意図的な朝鮮総聯弾圧判決
 東京地裁は十八日、在日本朝鮮人総聯合会に対して、整理回収機構(RCC)が返済を迫っていた、在日朝鮮系金融機関の債権約六百二十八億円について、その支払と仮執行の判決を出した。安倍首相は判決前の十二日に「朝鮮総聯は破防法に基づく調査対象になっている」などと発言、判決が朝鮮総聯に不利になるよう政治的メッセージを発信していた。この判決により、朝鮮総聯中央本部会館が処分されようとしている。この判決や一連の反朝鮮総聯キャンペーンは、安倍政権の政治軍事大国化に向けた策動の一環で、許せない。

日本の恥をさらす意見広告
 わが国の国会議員四十四人や岡崎久彦・元駐タイ大使などが、十四日付けの米「ワシントン・ポスト」に、日本軍による従軍慰安婦の強制と組織的関与を「わい曲だ」などとする全面広告を掲載した。この広告には自民からは愛知和男、稲田朋美ら二十九人、民主は石関貴史、神風英男ら十三人、無所属は平沼赳夫ら二人が並んだ。安倍は先の訪米で慰安婦問題について下げたくない頭を下げたが、子飼い議員やブレーンがこの広告に名を連ねた。また、民主党の少なくない議員が侵略美化の思想の持ち主であることが改めてハッキリした。まさに、日本の恥をさらす行為である。

財界のための国有地売却
 財務省が進めてきた国有不動産の売却計画が十五日までに決まった。公務員宿舎や庁舎など全国約九百以上の不動産を売却、二〇一五年度末までに一兆六千四百億円の売却収入を見込む。東京・大手町の再開発事業では、財務省が以降、地価が上昇することを知りながら、容積率そのままで三菱地所などに売却したことが明らかになっている。国が国民の財産である国有地を大企業に安売りし、かれらのための都市開発を後押しするものだ。

地方犠牲に拍車かける「財健全化法」
 地方自治体の「財政再建」を促す「地方財政健全化法」が十五日、成立した。自治体財政の「健全性」を「連結赤字比率」など四つの指標で判定、自治体の財政状況を判断する。一定水準より悪くなると国の管理下に置かれ、「再建」を促すという。これにより、多くの赤字を抱えている地方の交通事業や病院事業などが整理・縮小・廃止させられる恐れがある。法案成立について、多くの自治体首長から憂慮する声があがっているが当然だ。


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