|
労働新聞 2007年6月15日号 トピックス
サミット「環境」で一致も途上国反発
ドイツで行われていた主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)は六月八日、議長総括を発表し閉幕した。総括は、二〇五〇年までの地球温暖化ガス半減、世界貿易機関(WTO)交渉推進と、核開発などを理由に朝鮮やイランに「重大な懸念」を表明するなどの内容。「温暖化防止」の枠組みについては京都議定書を脱退した米国に配慮し、ガス削減の数値目標は盛り込まれない玉虫色の合意。しかも、中国などの新興国を先進国主導の「枠組み」に取り込み、「環境ビジネス」や排出権取引などでもうけることをもくろむ大国の狙いがすけて見える。これに対して、インド、中国、南アフリカ、メキシコ、ブラジルの五カ国首脳は七日、会談を開き、途上国に一律の削減目標を適用することに反対することで一致した。大国と中小国の間の矛盾は、「環境」をめぐっても激しくなっている。
プーチン、MDでブッシュを揺さぶる
米ロ首脳会談が七日、ドイツで行われた。プーチン・ロシア大統領は、米国がチェコに建設を予定しているミサイル防衛(MD)システム用レーダー施設の代わりに、旧ソ連圏であるアゼルバイジャンの施設を米ロが共同利用することを提案した。かねてからプーチンは、米国がポーランドなどに配備を予定するMDシステムに反発しており、逆提案でブッシュを揺さぶろうとしたもの。「人権」などを口実に米欧は対ロシア姿勢を硬化させているが、世界の多極化を狙うロシアも対抗を強めている。
ブッシュの末期症状、参謀議長も更迭
米統合参謀本部のペース議長の退任が八日、決まった。ペースはアフガニスタン、イラクへの侵略戦争を指揮し、〇五年に制服組トップである同議長に就任した。参謀本部職は四年勤めるのが通常だが、ブッシュ政権のイラク政策への批判が高まる中、二年で事実上の更迭に追い込まれた。ラムズフェルド前国防長官やボルトン前国連大使など、ブッシュを支えた人物は次々にその地位を追われ、政権はすでに「死に体」だ。
ヘッジファンド、巨大化で巨利
国際決済銀行(BIS)の調査で、世界のヘッジファンドの総資産が約一兆六千億ドル(約百九十五兆円)に達したことが五日までにわかった。総資産は一九九九年の五倍以上で、とくに欧州やアジアにおける資産の割合が増えている。ヘッジファンドが全世界で荒稼ぎしている実態が改めて明らかになったが、膨大な資金がマネーゲームに投じられることで、世界資本主義の不安定さも増している。
サミットの行われたドイツ・ハイリゲンダムでは、開催に抗議する激しいデモが連日行われ、二日のデモ参加者は八万人を超えた。ドイツ当局の弾圧により、八日の閉幕までに千人以上が逮捕された。
南アフリカの労働組合会議などの労働者が一日、賃上げなど公務員の待遇改善を求めて、全国ストに入った。参加者は七十万人にも及んでいる。
ブラジルのサンパウロ大学では、大学の自治を求める学生が総長ビルを占拠する闘いを続けている。占拠開始から二十九日目を迎えた五月三十一日、約五千人の学生デモが行われる中、州知事は自治を認める政令を発表、学生たちは闘いに勝利した。
韓国の全国建設労働組合タワークレーン分科(約一千七百人)が六月四日、全面ストに突入した。労働者は、強制的な労働時間延長などに反対し、断続的なストで闘ってきた。
日米豪が軍事連携をさらに推進
日米豪三国がシンガポールで六月二日、初の国防相会談を開いた。アジア太平洋からインド洋に及ぶ地域で軍事面での連携、日米のミサイル防衛(MD)推進で一致。また、日豪政府は六日、東京で初の外交・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2+2)を開き、連携を強化することで合意した。日米豪は中国を仮想敵国とした軍事体制づくりを進めており、これは東アジアの緊張を高める危険な動きだ。
安倍首相、拉致問題でブッシュに懇願
日米連携で朝鮮に圧力をかけることを狙っている安倍首相は六日、ドイツ・サミット時にブッシュ米大統領と会談し、再び朝鮮への圧力強化を訴えた。また、米国のテロ支援国家指定解除にあたっては「拉致問題を配慮してほしい」と懇願した。朝鮮敵視で浮上してきた安倍首相は六者協議でもカヤの外におかれるなど、打つ手なしの状況。ブッシュへの懇願は、安倍の孤立とあせりを示している。
国会が朝鮮船入港禁止延長を採択
参議院は一日、弾道ミサイル発射や核実験を口実として発動した朝鮮籍船舶の入港禁止措置について、十月までの六カ月間延長を採択した。衆院でもすでに採択されており、国会が正式に承認したことになる。朝鮮と在日朝鮮人を結ぶ船・万景峰号の入港禁止は、在日朝鮮人の生活に大きな支障を与えており、人道的にも許されない。政府は在日朝鮮人への迫害、朝鮮敵視政策を直ちにやめ、国交正常化のために努力すべきである。
年金記録漏れがさらに発覚
公的年金保険料の記録漏れが五千万件のほかに、千四百三十万件があることが六日、明らかになった。こうした中で、衆院本会議は一日、年金時効停止特別措置法案と社会保険庁改革関連法案を可決した。年金特措法案の審議はわずか四時間。安倍首相は参院選を前にして小手先で沈静化を図ろうとしているが、すべての人が救済される保障はない。各地の社会保険事務所は問い合わせの人がつめかけ、国民の怒りが高まるばかりだ。
防衛省が国民をスパイ
陸上自衛隊情報保全隊が、イラク派遣反対運動や年金や消費税に関する市民団体や個人の活動をスパイし、詳細な調査文書を作成していたことが六日、明らかになった。戦前の「特高警察」を想起させるもので、自衛隊員による尾行や盗聴といった犯罪も疑われる。塩崎官房長官が「調査活動や情報収集は当然」と開き直っていることは、言語道断である。
教育再生会議、徳育の新設提言
教育再生会議は一日、第二次報告を決定し、道徳教育に代わる「徳育」の新設、土曜授業の復活に向けて〇七年度中に学習指導要領の改定を行うよう提言した。また、四月に実施した全国学力テストで成績が振るわなかった学校への予算や教員配置を見直し、すべての国立大学での九月入学枠の設定を提唱した。教育改革は安倍首相の目玉となっているが、行き着く先は国民の思想統制と教育現場の管理強化であり、警戒が必要だ。
不正事業でコムスン指定打ち切りへ
介護事業最大手のコムスンは六日、介護報酬を不正請求していた問題で、来年四月以降の指定更新を打ちきられることになった。親会社グッドウィル・グループは七日、グループ内別会社に全事業を譲渡するとして批判をあび、九日には同業他社に一括譲渡する方針を表明した。コムスンは訪問介護や有料老人ホームなど二千八十一事業所、約二万四千人の従業員をかかえ、介護保険導入で急成長した。利用者約六・五万人は、大きな不安に陥っている。公益性の強い介護事業を利潤追求の場とした介護保険制度の当然の結末で、制度そのものを見直すべきだ。
置き去りにされるシングルマザー
厚生労働省が一日に発表した〇七年度版「母子家庭白書」で、母子家庭の母親(シングルマザー)への就労支援事業を実施したのは二百十九自治体で、二六%に過ぎないことがわかった。シングルマザーは百二十万人にのぼるが、四月からは生活保護費の母子加算の削減も実施され、また来年四月から「児童扶養手当」が大幅に削減されるというきびしい状況にある。
Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2007 |
|