労働新聞 2007年6月5日号 トピックス

世界のできごと

(5月20日〜5月29日)

米・イランが直接対話、米の窮地反映
 米国とイランの大使級協議が五月二十八日、イラクの首都バグダッドで開かれ、両国は会談の成功を強調した。「イランは核開発を進め、イラクのシーア派民兵を支援している」などと批判、直接対話拒否を続けてきた米国だが、米軍を増派してもイラクの「治安」を改善させらされず、子飼いのマリキ政権は窮地にある。事態打開のため、米国は敵視を続けてきたイランに協力を求めざるを得なかった。米国は会談前にペルシャ湾で大規模な軍事演習に着手、精一杯の威嚇をしたが、米国の国際政治上の敗北は明白だ。

イラク米兵死者、2カ月連続100人超
 イラク戦争での五月の米兵死者数が二十六日、四月に続き百人を超えた。二カ月連続で百人を超えたのはイラク戦争開始後初めて。二十六日現在の五月の米兵死者は百一人で、このペースの増加が続くと四月の百四人を上回る。増派や掃討作戦で犠牲を増やす一方、イラクの「治安回復」は達成できず、混迷をますます深めている。

米中戦略経済対話、米に配慮の合意
 米ワシントンで開かれていた第二回米中戦略経済対話が二十三日、終了した。米国と中国が貿易不均衡の是正策などを協議するために半年に一度、主な経済閣僚が参加して行われるもの。巨額の対中貿易赤字を抱える米国の要求に配慮し、中国の証券市場開放など金融分野での規制緩和や両国間の航空便増加、知的財産権の保護体制強化などで合意した。中国は最大の商売相手に配慮したが、巨額赤字と米国国内産業を背景にした米国の人民元改革などへの要求・圧力は今後も続くであろう。

米国の「テロ」二重基準に批判続出
 パラグアイの首都アスンシオンで開かれていた南米南部共同市場(メルコスル)特別審議会は二十二日、元国際テロリストのポサダ・カリレス容疑者を公正に裁くよう米国に求める声明を採択した。ポサダは元米中央情報局(CIA)工作員で、キューバのカストロ政権転覆を図って旅客機爆破などを重ねてきた。ベネズエラで逮捕されたが裁判中に逃走、〇五年に米国で不法入国で逮捕されたが先月に保釈され、今月八日に米連邦裁判所が起訴を却下したことで、完全に自由の身となった。これに対し、キューバやベネズエラをはじめ中南米諸国は「テロとの戦争を掲げる米国の二重基準」と批判していた。米国の「反テロ」のお題目が、世界支配のための口実でしかないことを示す好例だ。

人民のたたかい

(5月20日〜5月29日)


 チェコの首都プラハで二十六日、同国に米国が計画しているミサイル防衛(MD)システムの配備に反対する大規模デモが行われ、二千人が参加、同国で行われたこの計画への反対デモとしては最大規模の行動となった。
 ドイツ北部のハンブルクで二十八日、開催中のアジア欧州会議(ASEM)外相会議や来月初旬に同国北部始まる主要国(G8)首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)に反対するデモ行進が行われ、四千人が参加した。
 インド北西部のラジャスタン州で二十九日、社会の下層に位置する人びと数千人が教育や就労などの優遇措置が受けられる「指定カースト(身分制度)」への登録を求めてデモを行った。
 インドネシア・東ジャワ州パスルアン県で三十日、インドネシア海軍の土地強制収用に抗議して住民数百人がデモ行進を行った。
 米国では戦没者将兵追悼記念日の二十八日、バイクに乗った退役軍人などが大規模なデモを行った。数十万の退役軍人とその家族が参加、退役軍人らの待遇改善を訴えた。





日本のできごと

(5月20日〜5月29日)

米軍再編法成立、自治体へ露骨な圧力
 在日米軍再編特措法が五月二十三日成立した。再編に反対する自治体への露骨な圧力である。米軍再編の直接の対象となる地域では住民が強く反対しており、自治体の約三分の一が反対の意思を表明している。同法ではグアム移転費用の経費をまかなうため、国際協力銀行を通じて米側に融資・出資ができることを決めたが、約三兆円ともいわれる移転経費についての詳細は不明なまま。米軍再編を急ぐ安倍首相のあせりのあらわれであり、アメとムチの政策が受け入れられるはずもない。
 
年金記録漏れ5000万件に国民の怒り
 年金記録漏れが五千万件にも及んでいることが明らかになる中で安倍政権の支持率が急速に低下している。参院選挙を前にあわてた与党は二十九日、五年の時効を無期限にするという「年金時効特例法案」を急きょ国会に提出した。しかし、すでに記録漏れにより本来の年金を受け取れない人や、年数が足りずに無年金となった人が出ている人への救済策はあいまいで、その場しのぎにすぎない。事態を放置してきた厚生労働省をはじめ政府の責任が問われる。

松岡農相自殺で安倍政権に打撃
 松岡農相が二十八日、議員宿舎で自殺した。松岡農相は政治資金管理団体の事務所費問題で不明朗な資金の流れが国会で追及され、直前には緑資源の官製談合事件へのかかわりも取りざたされていた。後任には、赤城元防衛副長官が決まった。事実は闇の中だが、閣僚の不祥事が続く中で、松岡農相を擁護する姿勢を取り続けた安倍政権には大きな打撃となった。
 
改悪パートタイム労働法が成立
 改悪パートタイム労働法が二十五日成立し、〇八年四月から施行される。「パート労働者と正社員の差別待遇を禁止する」というが、差別禁止の条件は業務内容と業務に伴う責任、労働時間などが正社員とほぼ同程度であること。約千二百万人のパートのうち四〜五%しか該当者がないという、まったく不十分なもの。政府・与党は参院選を視野に「格差是正」の取り組みとしてアピールしようとしているが、労働者を欺くもので許せない。すべてのパート労働者の権利を守る労働法が早急に求められる。

改悪少年法が成立
 少年院送致の年齢下限を現行の十四歳以上から「おおむね十二歳以上」に引き下げる内容を盛り込んだ改悪少年法が二十五日、成立した。刑事責任を問えない十四歳未満の少年事件について警察の強制調査権も認めた。しかし、人権を侵害しかねない厳罰化で少年犯罪を止めることはできない。子供たちをとりまく社会環境が悪化していることが少年犯罪の大きな原因であり、荒廃した弱肉強食社会こそが問われる。また、厳罰化は国民管理、治安強化の一環であり警戒が必要だ。
 
労働紛争解決制度、相談約19万件
 裁判に持ち込まずに労働者と企業のトラブルを解決することをめざす「個別労働紛争解決制度」(〇一年度から制度開始)の〇六年度の労働相談件数が約十八万七千三百件となり、過去最多を記録したことが二十五日、厚生労働省の調査でわかった。相談内容は「解雇」が二三・八%で「労働条件の引き下げ」「いじめ・嫌がらせ」などが続く。また、自主的な紛争解決が困難となり、紛争調整委員会にあっせんを申請するケースも約六千九百件にのぼったが、合意が成立したのは約二千六百件にすぎない。こうした数字は氷山の一角。リストラが続く中、多くの労働者が一人で企業と闘っている。
  
1年で1041店の書店が閉店
 全国の書店数が一万七千九十八店(五月一日現在)で、一年間の閉店数が千四十一店となったとの調査結果が二十五日に公表された。売り場面積二百五十平方メートル未満の中小・零細店がその大半を占めた。一方で、売り場面積が一千平方メートル以上の店の面積は全体の約三八%と三ポイント上昇するなど、大型店の寡占化が目立つ。また、中小店はインターネット販売やコンビニなども競合し、大手の出版社や取次店は販売実績をあげた書店への配本を優先、中小店は売れる本や雑誌をそろえられない状況に。全国の書店数は六年間で一八%減ったが、規制緩和などの改革政治の責任だ。


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