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労働新聞 2007年4月15日号 トピックス
米韓FTA締結、国内の反撃必至
米国と韓国は四月二日、米韓の自由貿易協定(FTA)締結で合意したと発表した。韓国はコメを対象外としたが、牛肉の輸入関税を十五年で撤廃するなど多くの農産物の市場開放を許した。また、米国は小型トラックを中心に自動車の関税を段階的に撤廃する。韓国は政府調達なども対象に含めており、実態は経済連携協定に近い。世界貿易機関(WTO)交渉が行き詰る中、米国はFTAでアジアでの足場強化を狙う。また、独自外交を強める韓国を経済でつなぎとめようとする一手。しかし米国では自動車産業、韓国では農民を中心にFTA締結に反対の声も強い。特に韓国での闘争は高まっており、条約発効はすんなりとはいかないだろう。またわが国財界が「乗り遅れるな」と日米・日韓のFTA締結をあおり、農産物市場開放要求を強めていることにも警戒が必要だ。
ガスOPEC前進、帝国主義は警戒
天然ガス輸出国のロシア、ベネズエラ、アルジェリアなど十六カ国(オブザーバー含む)でつくるガス輸出国フォーラム(GECF)は九日、カタールのドーハで閣僚級会合を開き、GECFの機能拡張を検討することで合意した。ベネズエラやロシアが積極的だとされる石油輸出国機構(OPEC)の天然ガス版ともいえるカルテル組織創設に向けた前進。カルテルは「技術的に不可能」という指摘もあるが、ロシア、イラン、ベネズエラなど五カ国で埋蔵量の約七〇%を占めるだけに、利益を吸い上げてきた多国籍大企業は危機感を募らせている。早速、ボドマン米エネルギー長官がけん制する発言を行った。帝国主義の資源収奪に対抗する動きで注目できる。
南アジア首脳会議、イランも参加
南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議が三〜四日、インドのニューデリーで開催された。会議では初めて、イランのオブザーバー参加(準加盟)が議長国インドの強い働きかけで認められた。インドは、イラン産天然ガスをパキスタンと自国に供給するパイプライン計画(IPI)の早期実現をめざしているが、米国は反対している。インドのシン首相は四日、パキスタンのアジズ首相との首脳会談で、「IPIは平和と地域協力促進のメッセージとなる」と強調、米国の圧力に屈しない姿勢を見せた。
サウジ国王、米批判
ライス国務長官は三月三十日、二十八日にサウジアラビアのリヤドで行われたアラブ連盟首脳会議で同国のアブドラ国王が米国のイラク駐留を「違法」、パレスチナ新内閣に対するボイコットを「不公平」などと批判したことの説明を求めた。サウジは米国が一切の接触を拒むパレスチナのハマスをイスラム教の聖地メッカに呼ぶなど、一定独自の外交手立てを打っている。
韓国では、米韓FTAに反対する闘いが連日各地で行われている。二日の合意発表後も協定「無力化」めざし闘いを継続している(写真)。合意発表後、民主労総の労働者一人が抗議の焼身自殺を試みた。
イラクでは九日、イラク戦争で米軍が首都バグダッドに進攻してから四年を迎えるのを機に、中部にあるシーア派聖地ナジャフで反米デモが行われた。数十万人が参加、「占領者はイラクを去れ」などと訴えた。
アルゼンチンで九日、同国の二大労組が加わったゼネストが行われ、官庁、学校を全面的にストップさせ、バスなどの交通機関の運行を停止させた。これは五日にネウケン市で、待遇改善を要求する教員のデモに対し警官が催涙弾を発射、教員一人を死亡させた事件が発端。
ブラジルでは三月三十日、航空管制官が待遇改善を求めてストに入った。航空当局は全空港を閉鎖した。
統一地方選前半戦、自民大幅議席減
統一地方選の前半戦の投開票が四月八日行われ、十三都道県の知事選では、東京の石原をはじめ、現職九候補が全勝した。また道府県議選では自民党が九十七議席減、公明党は三議席増だが、得票数を減らした。一方、民主党は百七十議席増。社民党は二十一議席減で、共産党も七議席減。自民党の大幅議席減はこの間の地方切り捨て、住民犠牲への大きな批判を示すものだ。
日本版NSCへ閣議決定
安倍政権は、外交・軍事面での官邸機能強化をめざし、「国家安全保障会議」(日本版NSC)の設置に向けた関連法案を六日、閣議決定した。この「日本版NSC」は米国の国家安全保障会議(NSC)をモデルにし、首相に外交・軍事政策の決定に強大な権限をもたせようというもの。法案では、首相、官房長官、外相、防衛相など少人数で構成する審議システムを創設、国家安全保障担当の首相補佐官を設置する。またかつての「国家機密法」を彷彿(ほうふつ)させる「秘密保護」を強調している。米国の世界戦略に付き従い、わが国のいっそうの政治軍事大国化の具体化に向けた安倍政権の姿勢を強く打ち出すものであり、断じて許してはならない。
安倍、改憲の国民運動を要請
憲法改悪を求めている「新憲法制定議員同盟」の会長である中曽根元首相は五日、安倍首相と会談を行った。この中で安倍首相は「(憲法改悪へ)国民的理解を深める運動を展開してほしい」などと、自ら掲げる改憲方針を側面支援する運動をつくることを要請した。この「議員同盟」は憲法改悪反対の運動を敵視、「対抗する運動を協力に展開する」などと叫び、「経済界との連携」を重視、財界と共に改憲運動を展開していく姿勢を見せている。
あいも続く米国の「改革」要求
安倍首相は二日、来日中のドナヒュー全米商工会議所会頭と会談した。ドナヒューが今後のわが国でのいっそうの規制緩和の進展を求めたことに対し、安倍首相は小泉前政権の「改革」について触れながら「引き続き進めていく」と誓った。折しも同日、米通商代表部(USTR)は「〇七年版貿易障壁報告書」を発表、その中で十月に予定されているわが国の郵政民営化について「特別な関心がある」と言及、分社化される「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命保険」について競争条件を民間と同等にするよう注文をつけた。小泉前政権と同様に米国に忠誠を誓い、国民犠牲の「改革」を押し付ける安倍政権の姿勢は明らかだ。
欺まん的な「ワークバランス」憲章
経済財政諮問会議は六日に開いた会合で、財界など民間議員が求めた「働き方を変える行動指針」を今後策定することを決めた。この会合では「労働市場改革専門調査会」(会長=八代国際基督教大教授)が第一次報告書を提出、二〇一七年まで就業率向上や年休の一〇〇%取得、残業代時間の半減など数値目標を盛りこんだ「ワークバランス憲章」の策定を提案した。しかし、八代氏は「ホワイトカラーの生産性を高める」として、残業代未払いを合法化するホワイトカラー・エグゼンプションの導入を推し進めてきた。こうした連中の甘言に惑わされることなく、あくまで労働法制の改悪を阻もう。
日本・タイEPAに署名
安倍首相は三日、来日したタイのスラユット首相と会談、交渉してきた経済連携協定(EPA)合意を示す文書に署名した。自由貿易協定(FTA)を含むわが国のEPAは、タイで六カ国目。協定発効後十年後には、わが国のタイ向け輸出の約九七%、タイからの輸入の約九二%で関税が撤廃される。鶏肉業者などがこの協定に反対してきたが、多国籍大企業の利益のために国内産業を切り捨てるものだ。
教科書、沖縄戦の集団自決強要を否定
来年度から使用される高校歴史教科書で、沖縄戦における「集団自決」について、文部科学省が旧日本軍の強制を否定する検定を行ってたことが三月三十日、明らかになった。歴史わい曲であり、慰安婦強制への国の関与を否定する妄言と同様、軍事大国化のための思想攻撃。現地被害者を中心に怒りの声があがっているが、当然だ。
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