|
労働新聞 2007年3月5日号 トピックス
チェイニーがアジア歴訪
チェイニー米副大統領が、二月二十一日から日本とオーストラリアを歴訪した。二十四日にはハワード豪首相と会談、イラクやアフガニスタンでの同国の支援に「感謝」し、中国に「懸念」を表明するなど、米豪「蜜月」を必死に演出した。が、ハワード首相は「中国に対する歪んだイメージはない」と一線を画された。また、チェイニーは予定外にパキスタンとアフガニスタンを訪問、アフガンの「安定化」に骨を砕いた。だが、こちらもアフガン滞在中に同氏を狙った闘いが起きるなど、米国のアフガン政策の行き詰まりが露呈した。チェイニーのアジア歴訪は米国のあせりのあらわれだ。
英、イラク駐留大幅削減へ
ブレア英首相は二十一日、イラク南部の治安を管轄する駐留英軍を段階的に撤退させ、数カ月以内に現在の約七千百人から約五千五百人に削減する方針を発表した。イラク撤退を求める英国民の世論の高まりにブレアが迫られた決断であり、米国がイラクへの増派を進める中、最大の協力者であった英国の規模縮小は米国にとって大きな打撃だ。またデンマークとリトアニアも同日、相次いで自軍のイラクからの撤退を表明、欧州の「有志連合」の瓦解を止める力は米国にはない。
米、突出したイランへの圧力
チェイニー米副大統領は二十四日、イランが国連安保理決議に定められた期限までにウラン濃縮活動を停止しなかったことに対し「あらゆる選択肢を検討中」と、追加の金融制裁や軍事行動も排除しない姿勢でイランをどう喝した。米国は二十六日からの安保理常任理事国とドイツの六カ国による外務省高官級会合でも、追加制裁を叫んだ。イランへの圧力を強めている米国に対し、二十五日には、パキスタン、サウジアラビア、ヨルダンなどイスラム七カ国外相会議がイランへの軍事力行使に反対する声明を発表、また二十六日には、ロシア外相が「懸念すべき事態」と、米国をけん制した。米国は対イラン外交でも孤立を深めている。
伊の対米協力、国民の反対でつまづく
イタリアのプロディ首相は二十一日、伊軍のアフガニスタン駐留延長や同国北東部ビチェンツァの米軍基地拡張などの外交政策方針案が上院で承認されなかった結果を受けて、辞表を提出した。この米軍基地拡張などに対しては国民の反対が根強く、十二万人規模の反対デモなどが起こっていた。同首相は結局は続投することとなったが、国民の闘いで米国協力政策がつまづいたことは、伊政権だけでなく米国にとっても大きな打撃だ。
英国のロンドンで二十四日、イラクとアフガニスタンからの英軍の即時完全撤退とイランへの攻撃反対などを訴え、十万人がデモした。労働組合や市民団体、歌手なども参加した。
ドイツとフランスで二十八日、欧州の航空機大手エアバスが発表した一万人の人員削減と欧州の六工場の売却・分離を柱とする合理化計画に反対し、工場労働者が職場を放棄、抗議集会などを開いた。
中米コスタリカの首都サンホセで二十六日、中米自由貿易協定(CAFTA)に反対し五万人がデモ行進した。労働組合などが「祖国のための大行進」として呼びかけたもの。
オーストラリアのシドニーにある米領事館前で二十二日、チェイニー米副大統領の訪問を前に米国のイラク戦争・占領に反対するデモが行われた。
インドの首都ニューデリーで二十二日、米小売大手ウォルマート副会長の訪印に合わせ、商店主らがデモで「インドの小売業を守れ」などと訴えた。
イランの首都テヘランで二十二日、米英などが同国にウラン濃縮活動の停止などを求めていることに対する抗議行動が、英大使館前などで行われた。
米副大統領が来日、安倍にハッパ
安倍首相は二月二十一日、来日中のチェイニー米副大統領と会談した。安倍は「アジアと世界のための日米同盟」「米軍再編の着実な実施、ミサイル防衛(MD)協力の加速化が必要」などと言い、朝鮮や中国を念頭にいっそう軍事同盟強化に向けた意思を示した。チェイニーも「テロとの闘い」を強調、イラク増派への支持を求め、安倍も航空自衛隊による活動や政府開発援助(ODA)などを通じ、支援していくことを宣誓した。イラクでは同盟国の英国でさえ部分撤退を始めるなど、米国の国際的な孤立が浮き彫りになる中で、数少ない同盟国である日本との同盟強化でそれを取りつくろうという惨めな姿をさらけ出している。そして、その米国への協力を宣誓する安倍政権はまさに亡国の徒である。
日本版NSC設置へ報告書
政府の「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍首相)は二十七日、「国家安全保障会議」(JNSC)の創設を柱とする報告書をまとめた。JNSC創設は、安倍が掲げる「官邸機能強化」の一環。政府は今国会に「安全保障会議設置法改正案」などの関連法案を提出し、来年四月のJNSC設置をめざす。ごく少数の閣僚への権限集中や、「日米同盟強化」のための官邸と米ホワイトハウスとの常設のホットラインづくりも検討されている。また、情報漏えいを防止するための罰則強化に向けた法案制定も求めている。まさに日米軍事同盟強化、政治軍事大国化の動きの一環であり、断じて許されない。
麻生、中東での大国外交強調
麻生外相は二十八日、中東政策をテーマに講演を行い、「日本は中東地域に対し、経済面はもとより、政治的関与を、これまで以上に深めていく決意」などと述べた。そして、石油を中東諸国に依存している点を上げ、「わが国は需要国として、目に見える地位を中東に維持していく」ことを示した。また麻生はブッシュの「不安定の弧」戦略と照応する「自由と繁栄の弧」を中東に広げるとしている。まさに米ブッシュ政権の中東政策の片棒を担ぎ、中東でも大国外交を行おうという危険な意思表示だ。
許せぬ「君が代」合憲判決
東京都日野市立の小学校で九九年、入学式で「君が代」のピアノ伴奏を拒否した音楽教諭が戒告処分を受け、都教委を相手取り処分取り消しを求めた裁判で、最高裁は二十七日、「君が代」の伴奏命令を「合憲」とする判断を行い、教諭の上告を棄却した。石原都知事・都教委の下で、公立学校での「君が代」「日の丸」の押しつけが進められてきたが、判決は「思想・信条の自由」を奪うこうした行為におすみつきを与えるものだ。
与野党共に侵略美化
日中戦争時に旧日本軍が中国人を大量虐殺した「南京大虐殺」をめぐり、「被害者数が誇張して伝えられている」などと主張している自民、民主両党の議員二十二人が二十六日、国会内で初めての合同勉強会を開いた。自民党から中山元文部科学相ら十四人、民主党から長島衆院議員ら八人が出席。「南京大虐殺が世界的な反日キャンペーンに利用されている」などと許せぬ発言が上がった。歴史をわい曲し、侵略を美化するこうした動きに警戒が必要だ。
保険料払えぬ人が四百八十万人も
自営業者やフリーター、無職の人などが加入する国民健康保険で、保険料(税)を払えない滞納世帯が全国で四百八十万五千五百八十二世帯にのぼることが二十二日、厚生労働省の調査結果で分かった。一年以上滞納して保険証を取り上げられ、資格証明書を発行された世帯は、三十五万一千二百七十世帯にのぼった。貧困と格差が広がる中、いずれも過去最悪を更新した。滞納世帯は〇五年より約十万四千世帯増え、国保に加入している全世帯の一九%。「資格証明書」の発行は、約三万二千世帯増えた。また、保険料の一部を払うことなどで発行される「短期被保険者証」(有効期限が一〜三カ月と短く限定される)の世帯は約十五万世帯増え、百二十二万四千八百四十九世帯にのぼった。これはまさに、改革政治で国民の生活難が深まっていることが元凶である。住民から保険証を取り上げる国・自治体に対して闘おう。
Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2007 |
|