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労働新聞 2007年1月25日号 トピックス
米イラク新政策、従来路線の拡大へ
ブッシュ米大統領は一月十日、新しいイラク政策を発表した。「治安強化」のため、現在十三万人余のイラク駐留軍をさらに約二万二千人増派することを柱とし、中東への空母の追加配備やイランやシリアなどでの軍事的対応強化を打ち出している。従来のイラク政策を強化するこの政策に対し、十七日には米上院の超党派議員が米軍増派に反対する決議案を提出すると発表した。共和党議員が加わる増派反対決議案は初めてで、退役軍人などからも反対の声が続出している。このような強硬策によっても、イラク占領はさらに泥沼し、米国が没落を早めることになるのは必至だ。
フセイン前大統領を「見せしめ」死刑
イラクのフセイン前大統領への死刑が〇六年十二月三十日、執行された。米国主導のイラク暫定政権下の高等法廷は二十六日、大統領に対し「シーア派住民虐殺」などの「罪状」で死刑を言い渡していた。死刑は、米国の覇権に抵抗した国の指導者を抹殺した、いわば見せしめであり、米国とイラク暫定政権の蛮行は決して許されない。
6カ国協議進展なし、形骸化露呈
朝鮮民主主義人民共和国の核問題をめぐる六カ国協議が十二月十八日、中国の北京で始まった。一昨年十一月の第五回協議から、約一年一カ月ぶりの再開。朝鮮は米国の金融制裁と国連安全保障理事会の制裁をすべて解除するよう求める一方、日米中ロ韓の五カ国は朝鮮の核廃棄を求め、協議は二十二日に休会した。そもそも六カ国協議は、米国が朝鮮に武装解除を迫るためにつくった舞台だが、制裁をめぐっては、中ロ韓の三カ国は米日と態度が異なる。年明けにはドイツで米朝の実質的な直接交渉が行われるなど、六カ国協議の形骸化が鮮明になりつつある。
イラン、安保理制裁決議に屈せず
国連安保理は二十三日、イラン核開発に対する制裁決議を全会一致で採択した。イランの核問題が安保理に付託されて以来、初めての制裁決議。決議では六十日以内の濃縮活動停止などを求める一方、ロシアと中国の反対で、制裁の範囲はウラン濃縮活動にかかわる物資の禁輸措置や資金凍結など限定的なものとなった。イランのアフマディネジャド大統領は、この決議を「紙くずに過ぎない」と拒否、イラン国会は国際原子力機関(IAEA)への「協力見直し」と「核開発推進」を義務づける新法を可決した。米国は決議枠外の制裁を日欧などに呼びかけているが、イランの核開発の意思は揺らいでいない。
米軍、ソマリアに軍事侵攻
米軍は一月七日から「反テロ」を口実に、東アフリカのソマリア南部を空爆、ソマリアでは九四年以来となる軍事侵略に入った。ソマリアでは八〇年代から内戦が続き、昨年六月からは「イスラム法廷会議」が首都モガディシュなどを支配、暫定政府との内戦を続けていた。しかし十二月二十四日には、米国と協力するエチオピアが暫定政府を支持し、軍事介入していた。米国によるソマリア侵略は、アフリカの豊富な資源を囲い込むためのものである。
EU27カ国体制に、矛盾も拡大
東欧のブルガリアとルーマニアが一月一日、新たに欧州連合(EU)に加盟、EUは二十七カ国となった。EUの拡大は〇四年五月以来。また同日、旧ユーゴスラビア連邦のスロベニアが欧州単一通貨・ユーロを導入、ユーロ流通国は十三カ国となった。EU統合は、欧州多国籍大企業の意思によるものだが、その拡大は同時に参加国の経済力の格差の広がりなど、矛盾を拡大させるものでもある。権利切り下げなどに対する、労働者の反撃は避けがたい。
ユーロ、紙幣流通量でドル抜く
欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)は十二月二十八日、中銀保管分を除く紙幣流通量を公表した。市中に出回るユーロは二十二日時点で六千二百八十億ユーロ(約八千二百七十億ドル)となり、二十七日時点のドルの流通量七千八百二十七億ドルを上回った。〇二年以来、ユーロの利用は域内外で一貫して増え続け、五年で米ドル紙幣の流通量を追い抜くことになった。世界での米ドル経済圏の狭まりを示す一つの指標である。
韓国の現代自動車労働組合は一月十日、同社の成果金未支給に抗議し、ソウルの現代自動車本社前で抗議集会を開いた。集会には、蔚山、牙山、全州などから上京した組合員など千五百人が参加した。労組は成果給五〇%支給を要求、十五日と十七日に部分ストを行った。
フィリピンでは八日、女性暴行の罪で終身刑を言い渡された沖縄駐留米海兵隊の身柄を、比政府が米国の圧力に屈して引き渡したことに対し、マニラの米大使館前などで抗議行動が行われた。
イラクのフセイン元大統領の死刑が十二月三十日に執行されたことに対し、同氏の出身地ティクリートなどではデモなどの抗議行動が行われた。
イランの首都テヘランにある国際石油資本ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社事務所前で二十五日、イラン核問題をめぐり、国連安全保障理事会が制裁決議を採択したことに抗議するデモが行われた。
安倍欧州歴訪、海外派兵拡大に意欲
欧州を歴訪した安倍首相は一月十二日、ベルギーのブリュッセルにある北大西洋条約機構(NATO)の最高意思決定機関・北大西洋理事会(NAC)でわが国首相として初めて演説を行った。安倍首相はNATOとの連携強化を訴えるとともに、防衛省発足に伴い自衛隊の海外展開が本来任務になったことを強調、いっそうの海外派兵への意欲を示した。また、朝鮮民主主義人民共和国の核実験に対する国連決議の「効果的な実施」を呼びかけた。中国についても「不確実性」という表現で強くけん制するなど、アジアへの敵視を振りまいた。まさに米ブッシュ政権による対欧州政策の片棒を担ぐちょうちん外交そのものであり、なんら自主性も持たないものだ。
労働法制改悪見送りへ
安倍首相は十六日、通常国会へ提出予定であった「日本版ホワイトカラー・エグゼプション」制度について「国民の理解が得られていない」として同制度創設などを含んだ労働基準法改悪案の国会提出を見送ることを表明した。同法案は日本経団連が強く期待していた。また在日米商工会議所など米財界も強く求めていた。参院選で「格差」問題が焦点化することを恐れた与党側の思惑が、見送りの大きな要因の一つとなった。しかし、財界・支配層は同制度創設など労働法制の一大改悪をたくらんでおり、参院選後に再び焦点化することは必至だ。
民主党大会、対抗軸なり得ず
民主党は十六日、定期党大会を開催、〇七年度の活動方針や党の基本政策となる「政権政策の基本方針」などを採択した。小沢代表は今夏の参院選に「政治生命をかける」とし、自公与党の過半数割れ、衆院解散・総選挙に追い込む姿勢を強調した。小沢氏は「格差問題」を参院選の焦点にする考えを示した。しかし、その「基本方針」では「民間で行うべき事業から政府が撤退し、民間の領域を拡大する」として、この間の「改革」政治と軌を一にした規制緩和を主張している。また、安保外交政策でも集団的自衛権行使について「急迫不正の侵害を受けた場合に限って」としながら、自衛権の行使を記述、国連による軍事活動にも「積極的に参加する」などとと唱うなど、安倍政権の政治軍事大国化への動きを後押しするものとなっている。いくら自公与党との「対決」叫んでも、このような政策では到底対抗軸にはなり得ないことが、ますます明白となった。
軍事大国化の野望込め防衛省発足
防衛庁の省昇格関連法の施行により、防衛省が九日、発足した。省昇格で自衛隊の海外派兵は「付随的任務」から「本来任務」に格上げされ、予算要求や関連案件に関する閣議開催要求を首相を通さず行えるようになる。久間防衛相は省発足の訓示の中で、海外派兵のいっそうの拡大を強調した。また安倍首相も「戦後レジーム(体制)の脱却」として自衛隊が集団的自衛権の行使を行えるよう法整備する意向を示した。まさにわが国支配層の狙う、対米追随の下での政治軍事大国化への危険な動きだ。
「御手洗ビジョン」発表
日本経団連(会長・御手洗キヤノン会長)は一月一日付けで「希望の国、日本」(御手洗ビジョン)を発表した。四年前に発表された「奥田ビジョン」に続くもの。同ビジョンでは、法人税実効税率を「三〇%程度の水準」とし、消費税については二〇一二年度までに二段階で引き上げ、税率を一〇%にすることを唱っている。また、多国籍大企業に向けたイノベーション(革新)のための大型国家プロジェクトの推進も要求している。また、道州制導入を提起、国際競争に「打ち勝つ」地域づくりを叫んでいる。政治外交分野では「憲法などの変革」などといい、軍隊の保持を明確化することを求めている。まさに、わが国多国籍大企業の利潤追求ための国内再編を求めたものだ。このビジョンと対決する、労働者をはじめとする国民運動の構築が喫緊の課題だ。
国民犠牲の07年度予算案
政府は〇六年十二月二十四日、一般会計総額を八十二兆九千八十八億円とする〇七年度予算案を閣議決定した。大企業や株主に対する優遇策が目立つ一方、定率減税廃止や生活関連予算削減など国民・勤労者にさらなる負担と犠牲を押し付ける内容となっている。生活保護費は四百二十億円、雇用保険の国庫負担金千八百億円が削減された。また、ミサイル防衛関連は過去最高の千八百二十六億円に上った。国民犠牲と政治軍事大国化に向けた予算である。
居丈高な07年経労委報告
日本経団連は十九日、経営側の春闘指針となる「経営労働政策委員会報告」(〇七年版)を発表した。競争力強化が最重要課題だとして、一律的賃上げは「もはやありえない」と指摘。昨年の報告以上に賃金抑制の姿勢を強く打ち出した。社会保障での国民負担増や労働法制の規制緩和も主張している。〇七春闘については「世界的にトップクラスの賃金水準」と、マクロの賃上げを否定した。連合をはじめとする労働組合はこのような居丈高な経営側の姿勢に臆することなく、ストライキ含むあらゆる闘争を配置し、春闘に臨むべきである。
米軍訓練が全国に拡大
日米両政府は一月十一日の日米合同委員会で、在日米軍再編の一環で沖縄・嘉手納基地などの米軍機訓練の本土移転計画について、日米の費用負担を日本側七五%、米側二五%とすることで合意した。訓練の移転先は千歳(北海道)、三沢(青森)、百里(茨城)、小松(石川)、築城(福岡)、新田原(宮崎)の各自衛隊基地。日本国民の血税で米軍再編を行おうとするもので、全国での闘いが求められる。
政府統計でも国民生活困窮化明白
内閣府が十三日発表した「国民生活に関する世論調査」によると、日常生活に「悩みや不安を感じている」と回答した人は六七・六%と、一九五八年の調査開始以来、過去最高に達した。不安の内容では過半数が「老後の生活設計」を挙げた。政府に対する要望(複数回答)では「社会保障改革」が七二・七%で三年連続一位で、次いで「高齢社会対策」五四・五%、「景気対策」五〇・〇%と続いている。この間の「改革」政治が多くの国民の生活を脅かしていることが、政府の統計によっても明らかになった。
不二家で経営陣が不祥事隠ぺい
大手菓子メーカーの不二家が消費期限切れの牛乳を使用していた問題で、経営陣が事実を知りながら隠ぺいしていたことが発覚、十一日には藤井社長が陳謝した。その後も食品衛生法の規定の十倍の細菌が検出された洋菓子の製造・販売など、次々と不祥事が明らかになり、社長は辞任することとなった。不二家は同日から全国のチェーン店約八百店舗で洋菓子の販売・製造を休止、工場のパート労働者などは自宅待機に追い込まれている。事態を隠ぺいして傷口を広げたのは経営陣の責任であり、労働者や小売店に矛盾を押しつけてはならない。
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