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2017年8月25日号 2面・解説

日米2プラス2

 「巻き返し」狙う米国の負担を背負う

  日米両政府は八月十七日、米ワシントンで外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開いた。会議は、日米同盟の強化と、自衛隊のいちだんの「役割拡大」で合意した。トランプ政権が自国再生のために全世界的な「巻き返し策」を強めるなか、政治・経済・軍事のすべてで米国を支え、全世界で先兵役を務めることを約束した。この道は、わが国をますます国際的孤立と戦争の道に引きずり込み、国民生活・国民経済を破壊する亡国の道である。


 今回の2プラス2の「共同発表」は、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の「増大する脅威」と、名指しは避けつつ、中国の東シナ海や南シナ海での動きに「懸念」を示し、「あらゆる事態に切れ目のない対応を確保する」として、「日米同盟をさらに強化する具体的な方策および行動を立案する」という基本姿勢を打ち出した。
 その下で、以下のような項目を明示した。米国の「核戦力による同盟のコミットメント」を再確認、朝鮮の核・ミサイル開発を「最も強い表現で非難」し、「圧力強化」と対処能力を強化する、東シナ海、南シナ海の状況に「懸念」を表明することで中国を強くけん制、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の実施加速、安全保障法制の下でのさらなる協力を追求、沖縄県名護市辺野古への基地建設を「可能な限り早期」に完了すると確認、垂直離着陸輸送機オスプレイの訓練移転や南西諸島での日米の基地共同使用を進める、などである。

トランプ政権下で初の会合
 今回の2プラス2は二年四カ月ぶりで、トランプ政権発足後、初めてである。
 トランプ政権は、衰退する自国経済を立て直し、軍事力による世界支配を再確立すべく、「米国第一」を掲げて登場した。
 リーマン・ショック後の危機の深まりのなか、全世界の労働者・人民は各国政権への不満を強め、闘いが激化している。英国国民投票での欧州連合(EU)「離脱」、さらにトランプ政権の誕生は、世界の約四分の一の経済規模を持つ米国でさえ、経済の衰退を背景とする国民の不満が高まり、選挙の範囲ではあれ、従来の政治の枠組みを突き崩したことを意味する。この過程を通して、国際政治は激変した。
 トランプ政権は、シリアへのミサイル攻撃、大規模軍事演習や国連制裁での朝鮮への政治的・軍事的圧力の強化、北大西洋条約機構(NATO)加盟国への負担増要求、サウジアラビアをそそのかしてのカタールとの断交、アフガニスタン戦略の強化と同盟国への負担要求など、矢継ぎ早に、世界に紛争の種をバラ撒いている。ドイツ、中国、日本などへの通商要求も激化しつつある。
 トランプ政権は、米国の世界支配を再確立するため、世界を「地獄の道連れ」にしようとしている。
 マスコミなどが「2プラス2の背景」として宣伝する「北朝鮮の脅威」は口実で、トランプ政権の誕生こそが、最大の要因である。

対米大盤振る舞い
 2プラス2の合意では、「日米同盟の切れ目のない対応を確保するため」、「防衛計画大綱」の見直しや、次期中期防衛力整備計画(中期防、二〇一九年度から五年間)にも言及し、財政支出と自衛隊の任務拡大を約束した。在日米軍駐留経費の日本側負担も議題となったようである。
 安倍政権の下、防衛費は五年連続で増え、一六年度以降は当初予算は五兆円を超えている。これに、さらに上積みするのである。
 安倍政権は早速、安保法制を基礎にした自衛隊の「役割拡大」の一環として、陸上配備型の新たなミサイル防衛システム「イージス・アショア」を導入する意向を米側に伝えた。
 これらは対米追随で、朝鮮や台頭する中国に対抗したものである。対米従属下、アジアの大国として登場することを望む、多国籍大企業の要求でもある。
 日本の軍備増強は、トランプ政権に対する「貢ぎもの」でもある。「イージス・アショア」は、全国で二〜三基の配備が予定されるが、総額二千億円余りが投じられる。十七機購入予定のオスプレイは、総額三千六百億円に達する。一機百億円以上のステルス戦闘機F は、四十二機も購入する計画である。
 安倍首相は国会答弁で、米国製武器の購入は「米国の経済や雇用にも貢献する」と認めている。トランプ政権にとって、実にありがたいことだ。
 中国をけん制、包囲するため、インド太平洋地域沿岸国の海洋安全保障能力の構築を支援するため、約五億ドル(約五百四十億円)を援助することも発表した。国民の血税を、米国のアジア戦略のために投じようというのである。

「駆けつけ」超える新任務
 共同発表にある、日米の「さらなる協力の形態」は、自衛隊に別の任務を検討するという意味である。
 自衛隊の任務拡大をめぐっては、安保法制を基礎に、昨年十一月、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)部隊に「駆け付け警護」などの新任務が付与された。五月には、朝鮮半島の緊張を口実に、海上自衛隊の護衛艦が「平時の米艦防護」を行った。
 共同発表では、警戒監視や訓練、演習などを例にあげ、「新たな、拡大した行動を探求する」としている。すでに海上自衛隊は、南シナ海などで米軍との共同訓練をしている。朝鮮半島周辺に加え、日本の周辺でさえない南シナ海でも、いっそうの役割分担を求められる可能性がある。中東などでの「反テロ」行動への参画もあり得る。
 これは当然にも、中国や朝鮮との直接的な衝突の可能性を含めてアジアの緊張を高め、わが国がテロの標的となる危険性をさらに高めるものである。

沖縄県民に背を向ける
 このほか、米国は「核戦力を含むあらゆる戦力」で日本の安全保障に関与することを改めて確認し、「最新鋭の能力を日本に展開し続ける」ことも表明している。これは事実上、在日米軍基地の機能強化が際限なく進むことを意味する。わが国は米軍の出撃拠点として強化され続け、わが国は抗議さえできなくなる。米国の圧迫を受ける朝鮮などは、当然のごとく、わが国を攻撃対象とせざるを得ない。日米安保条約がわが国を守らないことは、ますます明らかである。
 爆音などの基地被害も、いちだんと深刻なものとなる。オスプレイは、五日にもオーストラリアで墜落事故を起こしているが、安倍政権は配備と訓練を容認する意思を示したのである。
 さらに、沖縄県民が願う名護市辺野古への新基地建設反対の意思を踏みにじり、「辺野古が唯一の解決策」と繰り返した。加えて、工事を「可能な限り早期」に完了すると約束し、建設の「いっそうの遅延が同盟の能力に及ぼす悪影響に留意する」などと、県民をどう喝している。十二日、沖縄県民は那覇市で県民大会を開催、四万五千人が基地反対の意思を示した。県民ならずとも怒りなしに聞けないものである。
 翁長知事が協議を強く求めていた、嘉手納基地の旧海軍駐機場継続使用とパラシュート降下訓練の問題では、米軍に抗議一つしなかった。この両者は、一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)で移転が合意されているにもかかわらず、米軍が反故(ほご)にしているものである。安倍政権の卑屈さはきわまっている。
 わが国、とくに沖縄県・南西諸島はますます、米国のアジア戦略の「最前線」として、対中国などで矢面に立たされることになる。

 「自主」の欺まん振りまく
 2プラス2での合意で、米国のアジア戦略を従来以上に支え、軍事上も財政上も貢献を強めることを約束した。わが国は、国土も、国民の生活も、ますます米国・米軍の思うがままに収奪され、アジアでの戦争の危機に直面させられる。
 だが、安倍政権は米国の抑止力でわが国の安全が保たれるかのような幻想を振りまいている。デタラメきわまりない。
 併せて、安倍政権は、対米従属の下での「役割拡大」を、わが国の「自主」につながるかのように宣伝するだろう。安倍政権は当初から「強い日本」などと粋がり、御用学者も同様の見解を振りまいている。
 だが、安倍政権は米国なしの日本を考えられず、かれらのいう「自主」は欺まんである。唯々諾々と米国のお先棒を担ぐ政権のどこに「自主」があるのか。
 安倍政権の対米従属ぶりには、保守層の中でさえ懸念が広がっている。安倍政権の欺まんにダマされず、労働者階級を中心とする広範な戦線で戦いに備えなければならない。  (O) 


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