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労働新聞 2007年7月25日号・1面
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中越沖地震
高齢者・低所得層に深刻な被害
お粗末な地震対策明らかに
国は国民の安全を保障しろ
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新潟県中越沖を震源とする強い地震が七月十六日午前十時十三分に発生し、新潟県、長野県で大きな被害が出た。地震による死者は十人、負傷者は千人を超えた。もっとも被害が大きかった柏崎市では、三百戸を超える木造民家が崩壊し、今も三千人が避難所生活を強いられている。この地域は〇四年十月の中越地震でも大きな被害を受けた。この地震後、行政は耐震検査、工事の補助制度をつくったものの、実際の工事には多額の自己負担が必要なことから、あまり利用されてこなかった。今回の地震でも、耐震力のない古い家屋が倒壊し、そこに住む高齢者・低所得層が大きな被害を受けた。また、被災当日の夜になってようやく水と乾パンが配られるなど、地震大国の備えというにはあまりにもお粗末な実態が明らかになった。また、震源地に近い柏崎刈羽原発も大きな被害を受け、一部放射性物質が漏れるなどの事態を引き起こし、住民たちの間に大きな不安が広がっている。国の責任で被災者の生活保障、復旧を急ぐべきである。
被災住民の生活保障を
〇四年の中越地震では、ストレスやエコノミー症候群による高齢者の関連死が五十人を超えた。柏崎市の高齢化率は二五%を超えている。関連死を出さないための、高齢者に対するきめ細かい支援が欠かせない。
新潟県は十六日、住宅再建支援について国の被災者住宅再建支援法による最大三百万円の支給に最大百万円を上乗せする県独自の再建支援策を導入する方針を決定した。しかし、こんな低額で住宅再建などできるはずもない。崩壊した家を前に、被災者たちは途方にくれている。また、地元製造業の六割が操業中止に追い込まれている。農業も被害を受けており、住民の生活支援は急務である。
原発で火災、事故隠す東電
地震時に東京電力・柏崎刈羽原子力発電所三号機の電源用変圧器で火災が発生した。当初、東電は放射能漏れはない発表したが、排気筒からの放射能漏れなど六十件のトラブルを起こしたことが明らかになっている。柏崎市の会田洋市長は十八日、緊急使用停止命令を出した。市民の間には「原発は大丈夫か」という強い不安の声があがっている。原発直下に活断層があることが明らかになったわけで、国や東電のいう「安全」の根拠は崩れ去った。全国の原発を即時停止し、見直しが必要だ。
国の責任が問われる
三位一体改革による地方交付税の削減などの中で、地方経済は疲弊(ひへい)している。国や行政が責任を負うべき震災対策は後回しにされてきたことがわかる。資金がある人たちは耐震住宅への住み替えも可能だろうが、多くの勤労世帯にとっては耐震工事は大きな負担である。地震は同じように地域を襲うが、その被害は貧困層ほど大きい。政策として耐震家屋を保障していれば、これほどの被害は避けられたはずだ。
日本は世界一の地震大国である。政府の安全保障とは、ありもしない他国の脅威をあおることではなく、地震など現実の脅威から国民を守ることではないか。今回の中越沖地震は、国の怠慢、お粗末な地震対策をあぶり出した。
現地の声
市民が原発に強い不安
耐震工事されず家屋崩壊
柏崎市議会議員 笠原 浩栄 氏
いちばん大きな問題は、高齢者のケアと原発の問題だ。市内を回ってみると、市の中心部が大きな被害を受けていることがわかる。市議会としては、各戸を回って外見調査、内部の調査、被害の状況を調べている段階だ。たくさんのボランティアが来て、被害を受けた家の片づけなどをやってくれている。また、日本中の自治体から応援が来てくれて助かっている。自治体の連携は非常に大事なことだと思う。
被災者に対する国や県の対応は、敏速性でいえば遅れている。避難所に集まっている人たちのケアは一応やられているが、それ以外にお年寄りだけで生活している人たちも多く、高齢者に対する十分なケアが必要だ。電気が通り、一部のガスが通ったがいちばん必要な水の復旧が遅れている。二回くらい大きな余震があったが、まだ大きな余震の心配もある。
柏崎刈羽原発問題では七月二十一日、反原発団体が「原子力関連施設の地震対策の抜本的再検討と対応」を求める共同声明を出したところだ。国も東電も「活断層はないから大きな地震が起きることはない」と言っていたが、結果的に耐震設計の二・五倍の地震が起こった。設置基準が間違っていたわけで、今後原発を動かすことはできないはずだ。
東電は情報を十分開示していない。避難所で生活している人たちからも「原発はどうなんだ」という声が出ている。市民の不安がたいへんに強い。「漏れた放射性物質は微量で人体に影響がない」と言っているが、影響がなければ漏れてよいということではない。たとえ微量であっても漏れたことは大問題だ。政府は、柏崎刈羽原発の設置許可を取り消すのが当然だ。
柏崎市の地震対策についてだが、〇四年の中越地震後、市は家屋の耐震検査と工事補助制度をつくったが、利用者が少なかった。実際に耐震工事をすると二百万円ぐらいかかり、補助金だけでは何もできない。結局、私の家も一部壊れたままだ。きちんとした耐震住宅にしていれば、これほど多くの家屋が崩壊することはなかっただろう。頻繁に大きな地震が起きる日本だから、国はこういうことにお金を使うべきだ。
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