労働新聞 2007年5月15日号・8面 解説

公明党
「加憲」掲げ、「集団的
自衛権反対」言うが……

「改憲」の安倍政権支えるペテン

 安倍政権が「主張する外交」を掲げ、対米追随の政治軍事大国化策動を強める中、これを積極的に支えているのが公明党である。かれらは「平和の党」を名乗るが、その正体は平和とは縁もゆかりもない。公明党の安全補償問題での犯罪性について、憲法問題を中心に暴露する。


 「主張する外交」を掲げる安倍政権は、衰退する米国を支えて全世界に自衛隊の海外派兵を拡大する軍事大国化の道をめざしている。
 そのために安倍政権は、朝鮮の「脅威」をあおりながら、米軍再編による日米の軍事一体化と併せ、憲法改悪策動を進めている。今国会では、改悪のための手続き法である国民投票法の可決を強行し、集団的自衛権の行使容認のための「有識者懇談会」(座長・柳井前駐米大使)なるものを設置した。安倍政権は、初めて「任期中の改憲」を掲げた、危険な政権である。
 安倍政権の策動は、米国の世界戦略に追随したものである。イラク侵略戦争を仕掛け、自衛隊派遣を要求したアーミテージ米国務副長官(当時)が「憲法第九条は日米同盟の障害」と繰り返し述べていることは、それを如実に示している。
 同時に、世界中に権益を持ち、それを守るための海外派兵と大国化を願う、わが国多国籍大企業の要求でもある。日本経団連は、憲法改悪のための「国民的な合意菰成」(御手洗ビジョン)や集団的自衛権の行使を公然と求め、政治介入を強めている。
 だが、この道はアジアに敵対する亡国の道である。わが国の進路をめぐる、きわめて重大な情勢となっている。

改憲反対運動を非難
 憲法改悪策動が強まる中、与党の一角である公明党の果たしている役割は欺まん的で、きわめて犯罪的である。
 公明党は憲法問題について、「加憲」などと主張している。この内容は、憲法九条一項(戦力不保持)と二項(交戦権の否定)をそのままとし、「自衛隊を軍隊として位置付けるのではなく」(「公明新聞」、以下同)、国連平和維持(PKO)活動への参加を項目として加える、というものである。さらに、「集団的自衛権の行使は認めません」などとも言う。
 これは一見、現行憲法を守るかのようである。だが、公明党の行っていることの実態は、安倍政権による改憲策動に手を貸しているのである。
 なぜなら、公明党は、衆参両院への憲法調査会設置(二〇〇〇年)以降の改憲策動を「落ち着いた環境の中で真摯(しんし)に進められた」などと美化、改憲のための国民投票法に反対する当然の声に対し「まったくの曲解」などと悪罵(あくば)を投げつけ、与党として成立に「貢献」している。この一つをとってみても、公明党の「加憲」は自民党による「改憲」と大差ないことがわかる。
 しかも、政府の有識者懇談会に対しても「いいことだ」などと擁護、行使容認のための手続きを容認している。
 だから、公明党の中で改憲論を主導してきた赤松・党憲法調査会座長(衆議院議員)が、自民党、民主党の札付きの改憲論者とともに、労働組合などから「改憲四人組」と非難をあびているのは当然のことである。
 公明党は、現実には、自民党の改悪策動にことごとく協力しているのである。

自民支え解釈改憲進める
 「加憲」論にとどまらない。一九九九年、公明党は連立政権に参加する口実の一つとして、「自民党政権の右傾化への歯止め」なる口実を掲げていた。しかし、実際に進んだことは何か。
 有事法制、テロ特措法によるインド洋への自衛隊派兵、そしてイラク侵略戦争への支持と自衛隊派兵、さらに教育基本法改悪、防衛庁の「省」昇格など、公明党はことごとく従来の見解を投げ捨て、自民党の悪政に協力してきた。米軍再編など米軍と自衛隊の一体化や、朝鮮への敵視と制裁、排外主義にも賛成・推進してきたではないか。
 「右傾化の歯止め」どころか、公明党はわざわざ神崎代表(当時)がイラクを訪問(〇三年十二月)してまで、自衛隊派兵予定地の「安全」をアピール、露払い役を演じたというきわめつけまである。
 この公明党の「貢献」によってイラクに自衛隊が派兵された。
 現在、航空自衛隊がイラクで輸送している品目の九〇%以上が米軍の軍事物資であることも暴露されている。これはまさに、集団的自衛権の行使にほかならない。集団的自衛権の行使は、すでに解釈改憲によって容認されているのも同様なのである。
 これによってわが国自衛隊は米軍の手先として行動しており、イラク、中東人民に敵対している。
 付記すれば、公明党は米軍支援にほかならないイラク派兵を、いまなお「人道支援」などと言いくるめ、「(「加憲」後も)イラクでの治安維持活動のような武力行使を伴うものには参加しません」などと言う。現に進行している、米軍の物資を輸送することが、「治安維持活動」という名の戦闘参加でなくて、いったい何なのか。公明党の恥知らずな言い分には、怒りを通り越して開いた口がふさがらない。
 解釈改憲による集団的自衛権の行使など、対米追随の軍事大国化策動にさんざん「貢献」しておいて、よくも「集団的自衛権の行使は認めません」などと言えたものである。
 このような党の「加憲」や「平和」など、およそ信頼できないのである。

公明党への幻想を捨てよう
 自公連立政権の「飼い主」である財界は、「自衛隊の保持の明確化」や「集団的自衛権の行使」(御手洗ビジョン)を公然と求めている。
 財界がこう主張して政治に介入しているのに、与党の公明党は(欺まん的なものであれ)「加憲」や「集団的自衛権の行使反対」を堅持できるだろうか。
 結局は財界の意向に逆らえず、「連立の維持」を口実に、わずかな「エサ」を得て自民党に妥協することは、これまでのこの連中の行動を見れば明らかであろう。
 公明党はかつて、「商品券」をエサに自民党との連立に踏み込んだし、つい昨年にも、児童手当の拡充と引き替えに、防衛庁の「省」昇格を容認したという前科がある。
 もちろん、公明党のいうような「加憲」に落ち着いたとしても、現実に進む対米追随の軍事大国化に対する歯止めにならないことは言うまでもないが。
 ところで、安倍首相はみずからの「任期中に改憲」を明言し、七月の参議院選挙は「改憲が争点」とまで言っている。
 この安倍政権に引き続き加わり、明文改憲を明言する自民党候補への投票を呼びかけるなど、さながら自民党の一派閥のごとく振る舞っているのは、いったいどの党か。七月の参議院選挙でも、この光景が繰り返されることは疑いないのである。
 公明党は「現行憲法は優れた憲法」などと言うが、もし心からそう思うのであれば、安倍・自民党との連立をすぐさま解消し、改憲反対の国民運動に加わらなければならないはずだ。
 これをせずに現行憲法をほめたとしても、現実には何の意味も持たないのである。
 太田代表は、九条の明文改憲には「党内では否定的意見が大勢である」という。まさに、先に述べたような公明党のペテン的な態度は、改憲に反対あるいは慎重な下部党員・支持者の批判を恐れてのものであることがわかる。それだけにいっそう、この党の果たしている役割は国民をあざむく犯罪的、反動的なものだと言わねばならない。
 公明党を支持する創価学会員をはじめ国民諸階層は、この党のペテンにだまされてはならない。
 中小商工業者はもちろん、未組織労働者、あるいは少数ながら労働組合が公明党を支持しているという実際がある。だが、公明党への幻想は、安倍政権の「主張する外交」への歯止めにならないばかりか、国民の怒りを議会内、しかも与党間の欺まん的な取引にゆだねることにしかならない。
 公明党への幻想を捨て、力強い国民運動を発展させ、独立・自主、アジアと共生するわが国の進路を切り開かなければならない。


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