労働新聞 2007年4月15日号・3面

統一地方選前半戦終わる

 統一地方選挙前半戦の結果が判明した。今回の統一地方選挙結果全体の評価については、後半戦終了後にあらためて本紙に掲載するが、以下は、前半戦結果についての、とりあえずの簡単な論評である。


自公、民主ともに勝利といえない知事選結果
 十三都道県知事選挙では、東京での石原知事をはじめ、現職九候補が全勝した。
 自民・公明の与党は、推薦した現職候補の勝利や北海道、東京、福岡など「自民・民主対決」選挙での三勝二敗の結果に、「参院選へ向けて弾みがつく」と、「勝利」を宣伝している。
 しかし、その実態は多くの県で民主党が候補者を立て切れず、有力な対抗馬のない中での現職候補の勝利であり、いわば「敵失」を得たようなものに過ぎない。
 一方、民主党は小沢代表の膝元の岩手と、現職の神奈川で勝利した。しかし、奈良、鳥取、島根、徳島、佐賀、大分の六県では候補者を立てられず、福井、三重の二県では自公与党と相乗りするなど、地方政治でも与党に対する対抗軸となり得ないことを示した。
 参議院選挙に向けた小沢戦略は、早くも壁に突き当たった。

道府県議選で敗北した自民党
 道府県議選では自民党は全国で九十七議席減と大きく後退。地方を切り捨て、住民犠牲を押し付ける「改革」政治に対する厳しい批判にさらされた。
 先の北九州市長選挙などに続く今道府県議選の敗北は、この党の地方での支持基盤が、急速に崩壊していることを示した。
 与党の一角である公明党は、軒並み投票率が下がる中、組織力を発揮して三議席増と手堅く闘ったものの、得票数で前回を四万票余も減らした。これもまた、注目すべき変化である。
 民主党は、公認候補を前回比六割も増やして、「格差是正」などを叫んで、百七十議席増加させた。
 社民党は公認では二十一議席減。共産党も七議席減となって、両党とも得票数でも大幅に減らした。
 市町村合併による新たな選挙区割りや定数削減などで当選ラインが上がり、両党にとっては、今回地方選は深刻な状況となっている。

改革推進で住民の敵・民主党
 民主党が知事選挙で見せた相乗りや不戦敗というぶざまな事実は、この党の「地方組織の未成熟」ということだけが理由ではない。より本質的には、基本政策で自公与党と変わりがなく、同じ立場で県政与党をやってきた実態の反映である。
 事実、民主党は二月の愛知県知事選挙で対立候補を立てて闘ったものの、敗北すると、直後の県議会で態度を豹変(ひょうへん)させて自公与党の知事提案の予算案に賛成に回った。福岡でも知事予算に賛成し、東京でもオリンピック誘致に賛成、事実上の知事与党であった。
 民主党の支援で勝利した神奈川県の松沢知事にいたっては、石原東京都知事や同じく民主党衆議院議員から転進した埼玉県の上田知事らとともに「首都圏連合」を自称し、中国、朝鮮敵視の排外主義をあおり立て、民営化など改革政治を競い合っている。
 「格差是正」などという民主党が、基本政策で自公与党と変わらない、地域住民の敵であることを見事に自己暴露する結果と言える。
 しかし、この党は、道府県議選では候補者の大量擁立で「存在感」を示し、評判の悪い自民党、あるいは共産党を追い落として議席を増加させた。これは選択肢がない中で「地方政治を何とか変えたい」という有権者の、自公与党への批判票の受け皿になることに、一定成功したということであろう。

低投票率、選択肢がない有権者
 「改革」の下での地方切り捨て、住民犠牲に苦しむ有権者が、真の選択肢が見つけられなかった事実は、投票率からも伺える。
 今回知事選挙では、闘われた十三都道県中、十県で投票率が前回比で下落し、うち四県では過去最低となった。また、道府県議選挙では四十四道府県中、三十県で投票率が下落、うち二十八県で過去最低であった。
 これは安倍政権の支持率が低下しているにもかかわらず、民主党の支持率も低迷し、無党派層が増加している、という最近の世論調査にもあらわれている傾向である。両党とも知事選挙での政党隠しなど、姑息(こそく)な策に頼らざるを得なかった。
 福祉の切り捨て、増税、社会保障など住民負担の増加、民営化や住民サービス切り捨てなど、地域住民の怒りはいよいよ切実で、高まっている。
 自公与党であれ民主党であれ、国政に追随し、地域政治を牛耳って、わずかとなった利権に群がる、国や地方の支配層への住民の反撃が、議会や選挙の枠を超えて「直接民主主義」で発揮される局面が、各所で始まっている。


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