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労働新聞 2007年3月5日号・3面 解説
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相次ぐ企業の合併&買収
労働者・中小企業には犠牲が…
巨利むさぼる米金融資本
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企業の合併・買収(M&A)に関する報道が目立つ。昨年は国内外で大型のM&Aが相次ぎ、企業の再編が加速している。これは、中小企業や労働者にも大きな影響を与える。問題は、だれがこの背後でもうけているかだ。M&Aを仕掛け、巨万の富を荒稼ぎする、米巨大金融資本を暴露し、その意を受けた政治を転換しなければならない。
最近報道されているサッポロ、それに明星食品(買収防衛のため、日清食品と提携)に対する買収の動きは、ともに「スティール・パートナーズ」という米投資ファンドが仕掛けたものである。
同社は、〇三年にもソトー(毛織物染色大手)などに対して買収を掛けるなど、日本・韓国などのアジア市場で活発な動きを見せているファンドである。
スティールなど投資ファンドは、税金のかからない英ケイマン諸島にダミー会社をつくり、それを通じて対外投資を行う場合がほとんどである。投資のための資金を集め、狙いを定めた企業の株を買い占めるなどで経営に関与し、「企業価値を高めた」後に売却するなどで、ボロもうけするという手法をとることが多い。
投資ファンドは、スティールのほか、破たんした旧日本長期信用銀行を瑕疵(かし)担保という特例まで設けさせた上で買いたたき(約十億円)、新生銀行としての上場で巨額の利益(約二千二百億円)を手に入れた、リップルウッドがよく知られる。この過程で、中小企業は過酷な貸しはがしで倒産・廃業に追い込まれ、そこで働く労働者は街頭に放り出され、犠牲を押しつけられた。
この悪らつな手口から、屍肉(しにく)に群がる鳥に例えて、投資ファンドは「ハゲタカ・ファンド」と呼ばれる。
そのほか、あおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)を買収したサーベラス、携帯電話のウイルコム(旧DDI)を買収したカーライルなどが知られている。いずれも、米国が本拠地だ。
こうしたハゲタカに投資するのは、機関投資家や企業の年金基金、一部の個人投資家などだ。しかも、個人投資家の数はきわめて少なく(投資単位が最低でも一億円程度と大きいため)、米国内でさえ百人以下、日本では五十人以下しかいないと言われる。つまり、投資ファンドは大企業や「超大金持ち」がさらにカネもうけをたくらむための組織にすぎない。
労働者を搾り取って肥え太り、そのカネでさらに太る。まさに、米国を中心とする世界的な「マネーゲーム」が演じられている。
暴利むさぼる米金融資本
投資ファンドは、米巨大金融資本の代理人・別働隊でもある。現に、ステールの代理人は常に米メリル・リンチが務めているし、リップルウッドの長銀買収を助けたのは米ゴールドマン・サックス証券であった。世界最大の金融グループ、米シティも、同様の手口をとっている。
これら米金融資本は、米主導のグローバリズムの進展によって、銀行業務のほかに、金持ちの資産管理や保険、投資銀行(株式発行などによる企業の資金調達を助けるとともに、M&Aを助言する)業務などを手がけ、巨万の富を手に入れている。
例えば、昨年、インド人富豪が率いる製鉄会社、ミタル・スチールが、欧州のアルセロールを約二兆円で買収、大きな話題になったが、この「立役者」はゴールドマン・サックスであった。アルセロール経営陣は一時、買収防衛のためにロシアの製鉄大手との合併を試みたが、ゴールドマン・サックスは、これを阻止するために暗躍した。わが国では「インド人経営者による大型買収」と報道されたが、何のことはない、仲介してもうけたのは、米巨大金融資本である。
こうして昨年、ゴールドマン・サックスは全世界で四兆四千九百億円もの売上高、一兆一千二百億円もの純利益をあげた。これは、わが国最大の金融グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループにほぼ匹敵する規模だ。なお、ゴールドマン・サックスは三井住友フィナンシャルグループの優先株を保有しており、わが国への影響力も無視できない。
こうした手段による荒稼ぎで、ゴールドマン・サックスのCEO、ブランクフェインの昨年末のボーナスは、何と六十三億円にも及ぶ。
マネーゲームでこの巨利とは、額に汗して働いて得たわずかな賃金に苦しむ労働者からすれば、怒りなしに聞けないものだ。
米政権とゆ着、グローバリズム押しつける
また、ブッシュ政権のポールソン財務長官は、ゴールドマン・サックスの前CEO(最高経営責任者)であるなど、米歴代政権と深くゆ着している。財力と政治力をテコに、米巨大金融資本は政治を操って、みずからがカネもうけをしやすい仕組みを「グローバリズム」「グローバルスタンダード」という名の下で全世界に押しつけた。逆らう中小国を「悪の枢軸」などと呼んで、敵視と侵略の対象とした。
だからこそ、かれらは収奪と貧困にあえぐ全世界人民の憎しみの対象となったのである。メリル・リンチ本社が入居する米ニューヨークのビルが、〇一年九月の同時テロ事件で破壊されたワールド・トレード・センターのすぐ隣にあるのも、決して偶然ではない。
米金融資本はまさにハゲタカそのもので、わが国企業を買収してバラバラにして売り飛ばし、国富を奪い、中小零細企業に犠牲を押しつけ、労働者を街頭に放り出す存在である。
この五月からわが国でも、外資による子会社を通じた「三角合併」が解禁される。これもまた、米金融資本による国内企業買収を加速させよう。「後継者難」につけ込んだ中小企業の合併、さらには大企業の一部さえも、膨大な資金力を持つ米金融資本にとっては「もうけの種」である。
この流れに追随し、金融自由化をテコに巨利を得ようとしているわが国金融資本も同罪である。
このような巨大金融資本の横暴と暴利は規制されなければならない。さらに、この連中のためのグローバリズム、わが国における改革政治を打ち破ることが、国民生活・国民経済向上のためにも重要である。
労働者・労働組合はこれらの動きに関心を持ち、国民経済を守る闘いの先頭で闘うべきである。
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