労働新聞 2007年2月25日号・3面 解説

共産党の6カ国協議合意への態度

米帝国主義を美化する犯罪性

 朝鮮の核をめぐる六カ国協議における合意について、これがただちに「平和への一歩」であるかのような論調が、野党や進歩勢力の中にある。その代表格は、共産党である。だが、「平和への一歩」というのは幻想である。この有害な役割を暴露しなければ、米帝国主義との闘いは進まず、北東アジアの真の平和も実現できない。共産党の見解を批判する。


 今回の六カ国協議合意について、共産党は「朝鮮の核兵器とその開発計画の放棄に向けた、最初の具体的な一歩」として「歓迎」、「北東アジアの平和と安定への重要な第一歩」(志位委員長談話)などと幻想をあおっている。
 かれらは、昨年の朝鮮によるミサイル発射や核実験に際して、米国や安倍政権による朝鮮非難の大合唱に加わって経済制裁にも賛成、北東アジアの緊張を高める役割を果たした。今回の態度は、この流れの上にあるものだ。

米国の歴史的責任を否定
 共産党は、米帝国主義が北東アジアにおける危機の根源、すなわち中小国・人民の第一の敵であること否定している。そして、朝鮮の核放棄を第一に要求している。
 だが、米国を免罪する共産党の態度は明らかな誤りである。
 米国は五三年に朝鮮戦争後も政治的経済的に朝鮮を包囲し、さらに韓国やわが国に核兵器を含む軍隊を駐留させ、軍事的圧迫を加えてきた。とりわけブッシュ政権下では、朝鮮は「悪の枢軸」「テロ支援国家」などと決めつけられ、核を含む先制攻撃の対象とされた。
 いくらかの「合意」が結ばれ、「平和」が訪れるかのように思われたときでも、米国は九四年の米朝合意を反故(ほご)にしたり、〇五年九月の六カ国協議を前後して対朝鮮金融制裁を発動するなど、敵視策動をやめないのである。
 また日本政府、とりわけ安倍政権はこの米国に追随し、敵視の片棒を積極的に担いでいる。
 このような状況におかれた朝鮮が、米帝国主義とその追随者に抗して、核武装を含む手段で自国を守ろうとしているのは、まったく当然のことなのである。

米軍再編と闘えぬ共産党
 このように、米国は朝鮮を体制転覆の対象としてきたのであり、この狙いは今も変わっていない。
 こんにち、米国が六カ国協議で合意に応じたのは、石油支配維持のために中東問題をますます優先せざるを得なくなったからである。米国は国内外の反対を押し切ってのイラク増派を余儀なくされ、中間選挙で大敗するなどで危機を深めているからだ。朝鮮の「核拡散」阻止も迫られたからである。 
 事実、チェイニー副大統領の「懐刀」であるフリードバーグ元次席補佐官は「軍事・外交面で(米国の)アジアへの関心が強まっていく」「『民主主義』推進は米国の外交政策や安全保障上、引き続き中核的な役割を占める」(日経新聞)と述べている。「民主主義」を「錦の御旗」とした、アジアへの野心を隠していない。
 ライス米国務長官も、合意直後から、「ウラン濃縮停止も今後提起する」などと、新たな条件を持ち出してきている。
 米国は決して、朝鮮の体制転覆という狙いを放棄したわけではない。すべては、これからの闘争にかかっている。
 共産党はこの面を見ず、単純に「歓迎」している。
 しかも共産党は、米国の対東アジア外交を「国際問題を外交交渉によって解決する動きが起こっている」(三中総における志位報告)などと美化する。
 共産党は、米国が朝鮮(あるいはアジア)に対する軍事的圧迫をやめた、とでもいいたいようである。
 では聞くが、米国はなぜ、日本を引き込んで米軍再編を強行しようとしているのか。それは朝鮮と中国を事実上の仮想敵とし、米日を軍事的に一体化させることで、「不安定の弧」(原油など資源を産する中東地域や成長するアジア地域)を押さえ、世界支配を維持しようとしているからではないのか。日本国民にとっては、米軍再編は基地負担の増大や戦争の危機につながり、アジアに敵対する亡国の道でしかない。
 だが、共産党の言う理屈に従えば、労働者をはじめとする国民諸階層は、米軍再編と闘わなくてよいことになる。これは、現実に闘われている、沖縄、神奈川など全国の闘いに対する、許し難い裏切りである。

帝国主義の下で平和はない
 軍事的に攻めかかろうが、交渉でじわじわと追いつめようが、経済制裁で締めつけようが、帝国主義にとっては情勢に応じた選択肢の違いにすぎず、その侵略的な本質は同じである。その野蛮な本性は、レーニンの時代以来、いささかも変わらない。
 実際、米政権に影響力を持つキッシンジャー元国務長官は、イラク駐留に関して、「米軍はイラク政府への贈り物ないし報酬として駐留しているのではない。先進民主主義諸国がエネルギー供給を依存する地域を、イランの支配から守るという、米国の国益の表現として、そこにいる」(読売新聞)と、その狙いをあけすけに語っているではないか。
 共産党は、仮に朝鮮が核を放棄して米国の思うがままの国になれば、それで「平和」だとでも言うのだろうか。それは、米帝国主義が中小国を安定的に抑圧・収奪できるという「奴隷の平和」でしかない。帝国主義を打ち倒さない限り、真の平和はあり得ないのである。
 志位は「共産党こそ、米国のこと(外交交渉によって解決する動き、とやらのこと)がわかっている」(新春インタビュー)などと、米国を持ち上げ、帝国主義による「平和」を願う。
 これは、米国に恭順の意思を示すことで、政権入りへのお墨付きを願っているからなのである。

23回大会で帝国主義を否定
 それどころか、共産党は米国を「帝国主義」だとは見ていない。
 というのも、〇四年一月の第二十三回大会における綱領改定で、かれらは「世界に帝国主義はなくなった」という立場を取るに至ったからである。
 不破議長(当時)は、帝国主義かどうかの判別は「侵略性が体系的にあらわれているかどうか」であるとし、帝国主義をその経済的基礎(独占資本主義)と切り離して、単なる「好んで取る政策」レベルのものへと低めた。
 共産党はこれを「帝国主義論の発展」などと称しているが、まさに帝国主義への幻想を党綱領にまで「高めた」のであり、帝国主義による世界支配や争奪、中小国・人民への収奪・抑圧を免罪するものだ。これは帝国主義、とりわけ米帝国主義と闘う全世界人民への裏切りにほかならない。
 こう考えれば、共産党機関紙「赤旗」が朝鮮を「無法」と決めつけ、米軍の占領に抗するイラク人民、あるいはイスラエルの侵略をはね返したレバノンのヒズボラのなどの果敢な闘いに一言も言及せず、かれらを「テロリスト」呼ばわりしていることも納得できる。
 まさに共産党は、帝国主義者・ブッシュと同じ立場に立っているのであり、客観的には、米国の「反テロ戦争」を助ける役割を果たしているのである。
 六カ国協議「合意」にあらわれた共産党の態度は、「帝国主義はなくなった」という、かれらの現代社会に対する誤った認識から、必然的に導き出されたものである。また、九七年の第二十一回大会で打ち出された、「保守政党との連立による政権参加」路線の必然的帰結でもある。
 このような共産党の態度では、米帝国主義の世界支配と闘い、それに追随して政治軍事大国化を進める安倍政権と闘うことはできない。
 先進的労働者・労働組合は、共産党を信じてはならない。中小国・人民と連携し、帝国主義、その頭目である米帝国主義と闘うことこそ肝要である。(K)


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2007