労働新聞 2007年2月25日号・1面

「命の格差」広げる改革政治
保険証取り上げ、過去最多
医者にかかれず死ぬ人も

役所に押しかけ保険証取り返そう

 いま、国民健康保険料が払えないことを理由に保険証を取り上げられ、医者にかかることもできずに死へと追いやられるという悲劇が全国各地で起きている。これは改革政治の下で貧困者が増えていることに加え、そうした貧困者を切り捨てる政策を政府が自治体に命じ実行させているからである。こうした政治との闘いなしに、国民・住民の安心・安全な生活は守ることはできない。


 「国保滞納で保険証取り上げ、受診抑制の二十一人死亡」(朝日新聞)…こうして明るみに出てくるケースは、氷山のほんの一角に過ぎない。
 市町村の国民健康保険制度には、自営業者や非正社員、無職の人など、国民の四割近くが加入している。だが、このうち三十五万一千二百七十世帯が保険証を取り上げられ、代わりに資格証明書を発行されている(〇六年六月時点)。
 この資格証明書では、患者は病院でいったん医療費を全額支払わなければならない(十割負担)。このため、経済的理由から病院に行くことをためらい、結果として病状を悪化させ、手遅れとなり死に追いやられる人も少なくない。
 この制度は「滞納」による財政悪化を口実としたものだが、実際にはほとんどの滞納者は「保険料を払いたくても払えない」状況にある人たちだ。保険証取り上げは、こうした人びとから医療の機会を奪うことにほかならない。
 さらに国は自治体に対し、年々、取り上げを徹底させる指導を強めている。こうした結果、また改革政治の下で貧困世帯が増加していることとも重なり、資格証明書の発行世帯数は増え続けている。
 こうして医療機会を奪われる人びとは増え続け、昨年は国保の医療費が前年より下がることとなった。高齢化の進む中でのこの現象は、まさに国による「社会的弱者切り捨て」が「成功」していることの証明である。

 医者に行けず死に追いやられるとは、何というむごたらしい政治か。これを変えるためには、国政を変えなければならない。自公与党による国民生活切り捨ての改革政治を打ち倒さなければならない。
 しかし、その前にできることもある。資格証明書の発行数には自治体間で大きな開きがある。徹底して住民から搾り取る自治体もあれば、住民生活の実態に配慮している自治体もあるからである。
 住民から収奪するばかりの自治体と闘おう。役所に押しかけ、保険証を取り返そう。労働組合、地方議員はそうした闘いの先頭に立とう。

【資格証明書】
 国が自治体に対し、保険料を一年以上滞納している世帯から正規の保険証を取り上げる代わりとして、発行を義務付けているもの。この制度は九七年の国保法改悪で決定、小泉政権の発足した〇一年度から実施されている。資格証明書を発行しない自治体は、国からの補助金を減額される。


行政の裁量でできることはある
神奈川県綾瀬市議会選挙予定候補 こしかわ 好昭


あまりにひどい保険料徴収
 私の住む綾瀬市でも、国民健康保険料の値上げとその厳しい徴収に苦しんでいる人がたくさんいます。
 私の知り合いで母子家庭の母親がいるのですが、彼女は「家計が大変苦しいので月遅れになっているが、それでも保険料の支払いを毎月欠かさなかった。しかし支払いが遅れていることを理由に、市の職員が何度も家まで督促にやってきた。しまいには大きな差押状まで持ってきて、払えと迫られた」と、経験を話してくれました。
 結局、彼女は苦しい家計の中から払ったようですが、「保険税収納率を上げるためなのだと思うが、必死で働いている所得の低い人にここまでやるのか。そもそも保険料が値上げする一方なので、払うのが大変になってきているのに。あまりの仕打ちに怒りが収まらず、市長に抗議の手紙を送った」と怒りに震えていました。
 この人だけではなく、「保険料の値上げは厳しい」「住民税も上がっているので家計が苦しい」などの声はあちこちで耳にします。

市民生活支援の市政望む
 こうした現状を生む背景には、当然国策が強く影響しています。綾瀬市の資格証明書発行世帯数は、〇四年が五十二件、〇五年が九十九、〇六年が百十四です。二年あまりで倍以上に増えているのは、「貧乏人からも保険料をむしり取れ」という国策を市当局が忠実に実行していることにほかなりません。
 しかし本当は行政それぞれの裁量でできる部分も大きくあると思います。県内各市の資格証明書の発行数を比較したところ、市によってその数に大きな差がありました。「低収入の人が多い市」と「少ない市」の違いではありません。貧困層の比率にはそれほど差がありませんから。
 患者に大きな負担を強いる証明書の発行を倍増させている舞台裏で、市長が「市税徴収率九二%」という目標を打ち出し、税金や保険料をむしりとるよう市職員を叱咤(しった)しています。その一方で、市経済への効果が疑わしい東名高速綾瀬インターチェンジ設置など大型開発を進めようとしています。
 こうした市民生活ないがしろの市政を変えるために、皆さんとともに働きかけていきたいと思います。


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