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GDP・人口で米国に匹敵
図1 人口規模に見る拡大EU(02年)
図2 域内総生産に見る拡大EU(02年) |
統合は成長を促すか
図3 EU主要国のGDP成長率(前期比、四半期ごと)
EU主要国、特に経済のけん引役であるドイツは低成長から抜け出せていないが、統合による市場拡大で、「GDP成長率が年0.5%押し上げられる」(独・ケルン経済研究所)という予測もある。 |
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図4 財政収支の対GDP比(03年)
ユーロ加盟条件(財政赤字がGDPの3%以内)は、中軸の独仏はもちろん、新規加盟国の半分以上が満たしていない。達成のため、各国は国民犠牲の改革を強め、失業率は悪化、国民の反撃は高まらざるを得ない。
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通貨ユーロの地位上昇
図5 ドル/ユーロ相場
危機を深めるドルと比べ、ユーロは、02年後半以降、ドルに対して「高い」状態を続けている。これは、ドルからユーロへの国際的な資金シフトを示している。 |
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図6 国際債の通貨別構成比(新規債券)
債券市場においても、ユーロが進出している。暴落の可能性をささやかれるドルに替わり、ユーロ建て債券のシェアが高まっている。 |
図7 世界の外貨準備の通貨別構成(IMF加盟国)
国際通貨基金(IMF)加盟国が保有する外貨準備高では、引き続きドルが6割台と多いが、一国で世界の6分の1(約6000億ドル)を保有する日本を除くと、ドルの比率は5割程度にまで下がる。近年、ドルの減少傾向に反比例するように、ユーロの保有率が高まっている。 |
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図8 世界の企業買収の構成比(ドルで計算)
EU企業は、企業買収(M&A)額で見ると、世界の約6割のシェアを占める。世界の多国籍企業(金融除く)の上位100社中、EU企業は半分の50社。日本にも進出したルノー(仏)、ボーダフォン(英)などが拡大を続けている。 |
軍事でも対米対抗強まる(昨年の主なできごと)
3月20日 米英、イラクへの侵略戦争を開始。
4月29日 独、仏、ベルギー、ルクセンブルクがEU内に「欧州安保・防衛同盟」(ESDU)創設を提案する4カ国共同声明発表。欧州緊急対応部隊(6万人規模)創設、欧州戦略空輸司令部設置、共通の武器調達機関創設、欧州防衛大学校の創設なども唱う。中東のメディアは、「反戦指導者が強化された欧州軍を要求」と好意的に報じる。
5月9日 独、仏、ポーランド、EUの共通安全保障強化での連携合意。
5月10日 ブロディ欧州連合委員長、4カ国共同声明を支持。「世界は多極化が望ましい」と述べる。
5月19日 EU国防相理事会、安全保障議論のための「プロジェクトグループ」設置を決める。独、仏、イタリア、ベルギーは、ユーロ加盟条件の「3%条項」から、軍事費支出を除外することを求める。英国もこれを支持。
11月17日 EU国防相理事会、「EU防衛庁」の04年中創設で合意。
11月27日 独、仏、英が、欧州防衛の新たな枠組みづくりで合意。
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米国との対抗強める欧州
日本の進路も岐路に
相沢 幸悦・埼玉大学教授 に聞く
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欧州統合の進展と共通通貨ユーロの影響などについて、「ユーロ対ドル」の著者で知られる、相沢幸悦・埼玉大学教授に聞いた。
米国はイラク戦争で、国際的に孤立しながら、なぜあんなむちゃくちゃなことをしたのか。
背景には、EUが通貨統合を実現し、国際的地位を高めていることがある。反面、ドルは暴落の可能性がある。
武力でドルの維持狙う米国
すでに71年、ニクソン・ショックでドルは金の裏付けがなくなった。当時は冷戦期だから、それでも西側はドルを拒否できなかった。冷戦崩壊後も、自国経済をIT(情報技術)バブルで活性化させ、世界がドルを使う条件にした。
だが、99年に単一通貨ユーロができたし、バブルも崩壊した。
金の裏付けのない基軸通貨が通用する前提は、経常収支と財政収支の均衡だが、それをはまったく解決せず、経常赤字も財政赤字も5000億ドルにもなるなど、矛盾はいっそう拡大している。
米国としては、基軸通貨としてのドルが今後も世界で使われることが繁栄の前提だ。
確かに、米国の軍事力は世界最強だ。しかし、経済構造はいびつで、消費財は輸入するしかないから経常赤字は減らない。世界市場で競争力があるのは、軍需産業、農業、金融だけだ。
しかも、金融と農業は軍需産業の応用で、米航空宇宙局(NASA)を辞めた連中がウォール街に入り、ハイテクを使って金融をやっている。農業も、遺伝子組み換えなど科学技術の粋を集めているものの、怪しげなものだ。
世界がドルを受け取らなければ、競争力のない米経済は維持できない。日本のように、減価し続けるドルを喜んで受け取る国はほかにないから、米国がドル体制を守るためには、世界を武力で抑え込んで、無理矢理ドルを使わせる以外にない。
その意味で、果たして米国は強いのかというと、そうではない。
米の欧州分断は成功しない
それに対して、欧州、とくにドイツは冷戦以降、日本のように米国を支えることをやめた。フランスは、それ以前から独自の姿勢を取っていたが、この両国が同盟し、ユーロをドルと並ぶ基軸通貨に押し上げ、米国と同等の経済圏にすることを目指した。
それは、米国の経常赤字が膨らみ、いずれ爆発する国際通貨危機を回避するためのものであると同時に、ヨーロッパに高いビジネス・チャンスをもらたすものだ。だから、当時のEU加盟国15カ国のうち、12カ国もが参加したのだと思う。
だから、米国に強力な軍事力があるからといって、震え上がって「ごめんなさい」とはならない。
米国は独仏を「古いヨーロッパ」とこき下ろしたり、トルコのEU加盟を後押しするような姿勢を示して、EUの分断を図った。日本のマスコミもこれに乗って、「イラク戦争は欧州の敗北だ」とか、スペインなどが有志同盟に加わったことを「欧州の分裂」と言った。
当時のスペインの態度は、独仏がEU統合を主導していることに対する不満のあらわれだ。ポーランドなど東欧も、すでにEUに参加することが決まっていたから、独仏と違う態度をとった。「今後も独仏の言いなりにならない」という、けん制だ。もし、加入が決まる前なら、あのような態度は取らないだろう。イラク戦争前後の時期はともかく、その後のスペインの選挙結果、あるいは、「だまされた」というポーランド大統領の態度の変化を見れば、米国の欧州分断策は成功していない。
欧州統合は、理念としては1920年代からあるし、51年の石炭鉄鋼共同体(ECSC)から始まり、ヨーロッパ共同体(EC、68年)、マーストリヒト条約(91年)と、長い歴史をもっている。今回、EUが25カ国に拡大したが、東欧諸国の加盟にしても、ベルリンの壁崩壊直後から準備されていたことで、少しのことでは壊れない。
単一国家ではないとはいえ、十分に米国と対抗できる経済圏だし、ユーロも発足時と比べると、外為市場で正当に評価されている。
軍事的にも、昨年4月、安保・防衛同盟の創設が提案された。大統領や外相職をもうける、統合憲法に向けた討議も始まっている。中長期的には、欧州は結束と統合に向かうと考えられる。
日本はアジアで役割果たせ
欧州の姿勢と比べ、日本は米国と一蓮托生(いちれんたくしょう)で、しかも日本が犠牲を払っている。世界の資金が米国から欧州に逃げている中、一生懸命、ドル買いをして米国を支えている。外貨準備は約80兆円あるが、昨年は為替差損で10兆円も損した。今年はもっと損するだろう。しかも、それは国民の生み出した富だ。
日本は米国とある程度手を切り、欧州とも連携して、アジアで共同体をつくる方向にいくべきだ。だが、今のままでは、アジアが日本を信用しない。ドイツはナチス・ドイツの犯罪をきちんと反省した。それはドイツ人が立派だからではなく、それなしには欧州で受け入れらなかったからだ。日本もこれに学んで戦争責任をきちんと処理し、アジアの経済水準をかさ上げする努力をしない限り、米経済崩壊の道連れになるしかない。
あいざわ・こうえつ
1950年、秋田県生まれ。慶応大学大学院経済学研究科修了。長崎大学経済学部教授を経て、埼玉大学教授。著書に「ユーロ対ドルーアメリカ単独行動主義とその破綻の構造」(駿河台出版社)など。
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