この政治のもと政治転換の闘いをどう進めるのか
―― まず、わが国の政治、政局を語る場合、昨年十一月のいわゆる「加藤政局」とはどんなことを意味したのでしょうか。
秋山副議長 自民党の加藤紘一元幹事長は、現状のような自民党政治が続く限り、日本は良くならないということでやったのかもしれません。おそらく、戦後長く単独支配してきた自民党政治が、特に九〇年代以後、国民の信頼を完全になくし、崩壊しつつある深刻な危機感が背景にあるんでしょう。しかし、土壇場の腰砕けで、全くの茶番劇でしたね。
それにしても自民党はもはや末期的ですね。こんな政党が国政を牛耳っている限り、わが国の経済も外交・安全保障も、お寒い限りです。企業家たちでさえ、日本の地盤沈下を嘆く始末です。ましてや国民はどうか。暮らしと政治に対して、不安といら立ちがつのり、今にも爆発しそうです。
自民党は昨年夏の総選挙での敗退に続いて、昨年秋、保守王国といわれた長野や栃木の県知事選でも負けました。国民は自民党主導の政治が変わることを強く求めているということが次第にはっきりしてきています。
その背景には、何といっても国民生活が苦しいというのが一番大きいのではないでしょうか。バブル崩壊後わが国歴代政権は、「景気対策」の名のもとに、大企業・銀行を救うために、百二十兆円という実に膨大な国家財政を投入したわけですから。
ところが各政権は、労働者、中小自営業者、農民など大多数の国民にはいったい何をやったのでしょうか。首切り、倒産、転廃業、農業つぶしですよ。それに増税や社会保障の切り下げです。生活が苦しい国民が怒るのは当然でしょう。
こういう政治・社会状況では、支配層も相当困っていると思います。従来の自民党政治がだらだらと続けば、日本は経済的にも衰退し、国民離反による政治支配の危機も一段と進み、また国際社会での存在感も低下の一途をたどると懸念しています。
米国も途方に暮れているようです。例えば、先のアーミテージらの提言でも、今の政権指導部が改革に取り組むことは考えられないと指摘しておりますし、また野党についても、信頼に足る政策提案ができず、結果として自民党が政権にしがみつくという状況になっている、と嘆いています。
―― 秋山副議長は、では支配層が政治支配の危機をどのように切り抜けようとしていると見ていますか。
秋山副議長 支配層は、今も二大政党制をつくって政治の安定を図りたいのだと思います。しかし、これは九〇年代に入って続けてきたのですが、なかなかうまくいかないですね。
とりあえず、九三年以降わが国支配層は、中間政党や社民主義勢力を巻き込んで、自民党主導の「連立政権」でやってきたのです。つまり、「策略型政治」で政治支配の危機を切り抜けてきましたが、これはもはや限界にきていますね。
これからは、わが国政治は政党・政治再編が否が応でも進まざるを得ないと思います。すぐに二大政党制ができるほど単純ではありませんが、中曽根がいっているように、しばらくは安全保障・外交や憲法、また経済構造改革など国家的問題をめぐって、いくつかの政治集団が離合集散を繰り返しながら、政治・政党再編が進んでいくのではないでしょうか。
経済同友会の小林陽太郎代表幹事は、いわゆる「加藤政局」が茶番劇で終わった後、政策論争がもっと進んで、政策を軸とする政党・政治再編が進むことを期待したいとコメントしていました。
政党・政治再編の見通しは、予断は許しませんが、六月の参議院選挙までは、なかなか難しいでしょう。参議院選挙の結果次第で、政策を軸とする政党再編が急速に進むかもしれません。
―― これに対応する野党側について評価をひとこと。
秋山副議長 自民党はこの間、公明党とかいろんな中間政党を抱き込んで、政治支配を維持してきたんですね。もともと中間政党はそうやって、敵が危機に陥っているにもかかわらず、これを倒して政権を取るのではなく、支配層に妥協して、おこぼれにあずかって生き延びようとする政党なんです。だから、公明党にしろ、ほかの政党にしろ、自民党の危機を助けたのですよ。
民主党だって、今は野党になっていますが、例外じゃないと思います。民主党はあくまでも二大政党制の一翼を担うということで、自分たちを位置づけてやっていると思うんです。じゃあ、民主党についていって政治が良くなるのだろうか。民主党が誰のための政党なのか。例えば、安保外交政策、あるいは経済政策をみてもあまり加藤たちと変わらない。加藤の造反に共鳴して、加藤の力を借りて政権にありつこうとしたけれども、それは民主党の本質的な弱さなんですが、同時に加藤とあまり政策は変わらないということもあったんだと思うんです。最近は、アジアに対しても、軍事的にも日米が共同して対処すると、本質的な問題では全く支配層と変わらないんです。
同時に、八百万組合員を抱えている連合、この労組ナショナルセンターが、民主党基軸ということで応援しています。これは非常におかしいですよ。今年の参議院選挙にしても民主党基軸で闘い、自公保を過半数割れに追い込み、その次の衆院選で議席過半数を得て政権交代をめざすという。しかしうまくいくでしょうか。都市の一部の豊かな社会層はいざ知らず、窮状に陥っている大多数の国民はついていかないと思いますよ。
万が一、民主党が国政選挙で勝ったとしても、民主党が労働者の政党でないことははっきりしているんですから、政治は良くならないと思います。ですから、連合が民主党を応援しているということは、大きな問題なんです。労働者は、こんな連合指導部についていけば必ず痛い目に会いますよ。
―― 最近の共産党は、ずいぶんと変わりましたねえ。
秋山副議長 そうですけど、それは今に始まったことではありませんよ、言っておきますが四年前の大会で大きく変質したのですから。わが国支配層がますます危機に陥っている時に飛び出してきて、支配層を救おうというわけなんです。
つまり、二十一回大会で共産党は柔軟現実路線に転換しました。米国の東アジア戦略を認めて、安保破棄を闘わないと。国内的にもルールなき資本主義の是正ということで、独占資本の支配を容認したんです。
そして、最近の二十二回大会ではさらに腐敗堕落し、連立政権にありつくためには「なんでもあり」で、実にみじめな姿をさらしています。
共産党は民主党に対しても、連立政権に加わりたいのですから、遠慮して全く批判しません。また、民主党を背後で支える連合の労働運動も批判しない。
ですから、共産党に頼っても政治は変わらないと思います。彼らが、大多数の労働者、国民各層が望んでいるような、国民生活の擁護や日本とアジアの平和、アジアの共生を実現するような目が覚めるような政治をやれるわけがありません。共産党にいっさい幻想を持つなと言いたいですね。
―― 社会民主主義勢力については、どういうお考えで。
秋山副議長 私たちは、村山連立政権の時の安保・自衛隊政策の転換を再度もとに戻すことが、社民党が国民の信頼を再び取り戻すうえで必要であると、従来から訴えてきました。
わが党は一昨年以来、戦後政治の総括作業を進め、その結果をパンフレット「わが国保守党の政治支配と策略」にまとめ、昨年三月に出版しました。ついでですが、このパンフはなかなか評判を呼びましたね。
このパンフをもって、全国の社民主義勢力とその影響下の労組活動家の皆さんを訪ねて、熱心に政治的な議論を行いました。全国の現場、あるいは地方の活動家の多くの皆さんが、たいへんな危機感を持ち、社民党を何とか再生させたい、またできれば社民主義勢力が大きく団結して闘うようにしたいと願っていること、そのためにも、安保・自衛隊政策を再度転換することが必要だと考えていることを知り、わが意を得たりで、勇気づけられました。
社民主義勢力の皆さんは、労働運動で影響力を急速になくしたとはいえ、まだ地方や現場では、自治労、日教組、私鉄中小など闘っているところがあります。敵の攻撃が強まりつつある時、労働運動が闘えるようになるか否かはとても大事なことで、社民主義勢力の皆さんのこの方面での役割は大きいのです。だから、社民勢力がばらばらにならないで、大きく団結して、闘う労働運動を再建するために汗を流していただきたいと考えています。
―― 最後の話になりますが、労働党は当面、どのように政治を変える闘いを進めるか、お話ください。
秋山副議長 自民党の政治支配は危機にひんしており、遅かれ早かれ、従来の自民党主導の政治は変わらざるを得ないと確信していますが、しかし、共産党が言うような「国会で多数の議席を得て政治を変える」のはしょせん不可能だと思います。
最も頼りになる強力な力は、労働運動です。労働者階級が断固たるストライキで立ち上がり、国民各層の先頭で闘えば、今の自公保連立政権はひとたまりもありませんよ。労働者階級は、それだけの実力を持っています。
支配層もそれを知っています。ですから、労働運動を無力化するために戦後あれこれ策をろうしてきたし、またこの瞬間もしているのです。
最近の金融グローバル化が進む中で、企業を取り巻く環境は大きく変わりました。高度成長期のような、安定的な労使関係は崩れつつあります。労働運動は闘わざるを得ないでしょう。すでに、民間基幹産業のマツダ労連や日鋼室蘭の闘いに表れているようにその兆しが出てきております。
例えば鷲尾連合会長なども、このままいけば、闘う勢力が台頭する可能性があり、自分たちの指導権を失うことを懸念していますね。
もしそれがいやならば、連合指導部は全面的な「参加路線」を捨てて、もっと実力行動で闘うべきでしょうね。また、民主党についていくのはやめるべきでしょう。
私たちは、労働運動の前進のためにもっと汗を流さなければと考えています。昨年始めから、労働運動の再建が進むことを願って、わが党は戦後労働運動をいろいろ検討してきましたが、このたびパンフレット「戦後日本の労使関係―労働運動の歴史的総括と再生のために」を出版しました。今年はこれを中央、地方の労働運動の指導的幹部に広め、いろいろ議論しながら、労働運動再建のために共同で仕事を進めていきたいと思っています。
いずれ、労働運動をはじめ国民運動が闘うようになると思います。それを促していくのが政党の大きな仕事だと思うんですね。国民運動が発展する客観的条件が増大しています。
当面は安保条約破棄を中心として、国民的な世論と運動の飛躍的な発展のために全力を尽くします。
社民主義の皆さんと連携しながら、広範な統一戦線を築き、国民運動の壮大な発展を大いに促していきたいと思います。
そして、政治のシフトを多国籍大企業・巨大企業から国民大多数のサイドに移すために、政治の根本的転換の実現のためにがんばっていきたい。
二〇〇一年の闘いの展望はあります。国民の皆さんと、いろんな政治勢力の皆さんと共に闘っていきたいと思います。
―― 今世紀、そして本年も革命的楽観主義で、大きな前進をめざして皆さんと共にがんばりましょう。では、秋山副議長には新年のお忙しいところ、長時間ありがとうございました。
|