衆院選挙の真っ最中である。各党は「改革」政治をうたい、自民党政治と大差がないことは、外交面と同様である。各党は選挙公約として、票目当てに「甘い水」をふりまき、あるいは逆に民主党のように大増税の「苦い薬」を提唱することで、存在感を示そうとしている。彼らは、国民生活、国民経済が直面している「真の課題」を決して正面から争点としようとしていない。これらの課題は、戦後の保守・自民党政治によって形成されたもので、これを明らかにし、かつ打破しなければならない。前号に続き、民主党、共産党、公明党の選挙政策の、とくに税制・規制緩和問題などを取り上げ、批判する。
民主党 「15の挑戦と110の提案」
自民が言えない増税打ち出す
民主党は、財政赤字の解消に向けて、「スリムで効率的な政府」をつくるとして「課税最低限を引き下げ、児童手当の拡充や住宅ローン利子の所得控除などに充てます」と増税を公約した。
民主党のいう「課税最低限引き下げ」とは、所得税の人的控除の縮小によるもので、具体的には「年少扶養控除と特定扶養控除の廃止」である。これによって、低所得者への増税が可能となる。自民党も選挙をはばかって言えない広範な増税を、公然と打ち出したのである。
鳩山代表は、この増税分は「児童手当の拡充などで相殺される」などとしている。しかし、五月初旬に発表された同党の「税制改革案」では、社会保険料控除など所得税控除を全廃するとしており、宮沢蔵相から「民主党に入党したいくらい」と絶賛されているほどだ。これが、民主党の本音である。
さらに、一月に発表した「『新しい政府』を実現するために」では「最高税率の引き下げを含むよりフラットな直接税の実現」も公約しており、、低所得者層への増税と高額所得者への減税を叫んでいる。
また、「法人事業税の外形標準税化を進めます」など、大多数が赤字である中小企業への増税ももくろんでいる。
規制緩和については、本政策においては巧妙に避けているが、「経済活動に対する規制は…可能な限り撤廃し、市場の機能を高めて民間の活力と企業家のやる気を引き出す経済構造の改革を早急に推進していきます」(政権政策委員会提言・九九年八月)などと、大規模な規制緩和を主張している。
結局のところ、この党の狙いは、現在課税されていない低所得者や中小業者に大増税を行うことであり、「小さな政府」を実現し、また、各種の規制を緩和して中小業者の経営を危機に追い込むことである。
民主党は徹頭徹尾財界に奉仕する党であり、労働者が期待できる党でないことは明らかである。
共産党 「総選挙に当たっての政策と訴え」
支配層の財政再建に協力
「消費税3%」をこっそり隠す
共産党は今回、「消費税の三%への引き下げ」を「三%に引き下げる道を開く」と手直しした。「消費税引き下げ」と「所得税の恒久減税」は、九八年参院選当時「もっとも有効で緊急にとるべき景気対策」としていたものである。
今回これを降ろした理由について、不破委員長は、自民党政府が「国と地方の借金を百一兆円も増やした」ので、「経済の立て直しを消費税の減税から始めるわけにはゆかない」などと、支配層の財政再建路線にみごとな協力ぶりをみせている。つまり、国の台所が火の車だから、「消費税引き下げ」とは言わずに協力するというわけだ。
しかし、共産党も認めているが、九八年当時も財政は「破たん」していたのである。この二年間で、消費税引き下げや恒久減税をいえなくなるどんな変化があったというのか。「変化」したのは、財政状況ではなく、共産党の方である。
彼らの言う「消費税増税に反対」は、消費税引き下げを要求しないことの隠れミノに過ぎない。逆進性の強い消費税を廃止することこそ、国民の要求である。
共産党の掲げる政策の変化はまさに、支配層から「安心して任せられる」政党への「脱皮」である。
公明党 「第42回衆院選重点政策」
民主と共に増税の露払い
「消費税の福祉目的税化」を掲げ、民主党の「課税最低限引き下げ」にも、「税率や扶養控除など所得税の中身を変えれば、結果として下がる」(坂口政審会長)と、条件付きで賛成している。連立を組む自民党でさえ、国民の怒りを恐れて「反対」している増税案に対し、積極的に「露払い」役を買って出た。
この党が鳴り物入りで「成果」と宣伝する「児童手当改革」でさえ、約三百万人の世帯への給付は増えたものの、実際には、他の千数百万の世帯には扶養控除縮小で増税となっているのである。
財政再建については、「景気回復が確実になった段階で直ちに取り組む」などと、具体策を掲げることを回避。「電子政府の実現で行政サービスを向上」などとしているが、結局は、自民党の進める増税と住民サービス・社会保障切り捨て策に追随するしかない。
規制緩和問題についても、「大胆な経済的規制の緩和・撤廃、集中的な投資の拡大など、戦略的な構造改革を実行する」としており、自民党と変わらない。盛んに主張する「インターネット接続料の引き下げ」も、米国の要求の「二番煎(せん)じ」である。
公明党のいう「大衆の利益」「暮らしの安心」とは、サギでしかない。
「六月総選挙についての声明」(労働党中央委員会)より
今回の総選挙で野党が主張し、闘うべきは、(一〜二は前号掲載)
三、市場万能主義と弱肉強食に反対し、社会的・経済的規制、および弱者に対する保護の政府によるある程度の容認が必要である。
(略)
四、国民生活を豊かにし、思い切った内需拡大で、貿易不均衡と対外矛盾の解決を図る。
(略)
五、国家の累積債務の解決と財政再建は、この間に、国家財政をむしりとって肥え太った銀行や巨大企業に負担させて解決すべきである。
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