労働新聞 2008年1月1日号・12面〜13面 国民運動

08年 国民の闘い
いっそう発展を

(敬称略・順不同、見出しは編集部)

 日米両政府が急ぐ在日米軍再編・強化はわが国を衰退する米国にいっそう従属させ、アジアと敵対させるものだ。日米軍事一体化、日本の軍事大国化とどう闘うか、フォーラム平和・人権・環境の福山真劫事務局長と、沖縄平和運動センターの山城博治事務局長に聞いた。

今年は正念場の年に 岩国の闘い、意義大きい
福山 真劫 フォーラム平和・人権・環境事務局長

 昨年の参議院選挙で与野党が逆転、テロ特措法延長で行き詰った安倍が辞任した。安倍は憲法改悪などで露骨に軍事大国化をめざしたが、その流れは頓挫し、自衛艦はインド洋からが引き上げることとなった。
 その後を受けた福田政権は、安倍のように大々的にはやらないが、それでも実質的な憲法空洞化を狙って策動を進めている。米軍の再編・強化はその一つの柱だ。神奈川のキャンプ座間への米陸軍司令部の移駐や横須賀基地への原子力空母の配備、また沖縄の名護市・辺野古沖の新基地建設や山口の岩国基地への空母艦載機移転などが具体化されようとしている。
 昨年は、それら各地での攻撃に対し、平和フォーラムの地域組織はそれぞれに全力で取り組み、そして負け続けるだけではなく、少しずつ反転攻勢に出た。そういう印象を持てた年だったと思う。
 特に、沖縄や神奈川だけでなく山口の岩国でも、十二月一日の一万一千人の大集会で政府の岩国市への「兵糧攻め」に断固とした抗議の意を示した。この取り組みの成功は、全国の闘いを発展させる観点からも大きな前進だった。集会で岩国市長は「『国が決めたことだから(艦載機は)来るものは来るのだから、もらった方がいい』などと言って、市民をあきらめさせるような政治をしてはいけない」と言ったが、こういう筋を通した発言ができるのも市民の支えがあってのことだろう。
 こうした各地の闘いを支え、いっそう発展させるためにも、平和フォーラムは今年も固い決意でがんばりたい。今年は八月には横須賀への原子力空母の配備がもくろまれているし、沖縄の新基地建設なども押し進めようとするだろう。また原子力・原発関係の課題でも、青森の六ヶ所村の再処理工場の本格操業が三月末に、福井のもんじゅの本格稼動も十月に予定されている。決戦の年と位置づけて闘う決意だ。


自衛隊の「わが物顔」許すな 沖縄にはゆずれないものがある
山城 博治 沖縄平和運動センター事務局長

 「沖縄県民の負担軽減」などをうたい文句に行われている在日米軍の再編だが、昨年はそれが沖縄の基地機能強化でしかないことがますますハッキリとした一年だった。
 嘉手納基地では早朝・深夜の飛行訓練で騒音被害がひどくなっている。パラシュート降下訓練も再三の住民の抗議にもかかわらず強行されているし、ステルス戦闘機F ラプターが飛来した。最新鋭の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)も配備された。辺野古や高江での新基地建設も実力行使され、最西端の与那国島の民間港にまで米軍艦船を入れての軍事調査も強行された。
 このように県民の負担・被害が増しているにもかかわらず、米軍の態度はいっそうごう慢になるばかりだ。私たちの抗議に対し、米軍司令官は「軍事基地である以上、朝だろうが夜だろうが戦闘機が飛び立つのは当然。それをいちいち抗議するのは沖縄だけだ」「軍艦が先島まで来ているのは防衛・安全のため。むしろ歓迎するべきだ」などと開き直っている。
 米軍基地の機能強化が進むにつれ、その凶暴な本性がいっそうあらわになっている。そういう意味でも、私たちの危機感やあせりは強まっている。

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 またセンターとして懸念しているのは、米軍の動きだけではない。自衛隊が沖縄での活動を公然化させ、米軍基地を自らのものとして使う動きも増している。沖縄に駐留する陸上自衛隊の第一混成団がキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブで日米共同訓練に踏み切り、自衛隊の戦車や装甲車を出動させ実弾射撃訓練を行おうとしている。
 復帰後三十五年、沖縄での自衛隊のおおっぴらな活動は県民の闘いで阻止してきたが、政府がいよいよ「三十五年も過ぎたし、大丈夫だろう」と踏んでいるふしがある。
 政府の考えはまったく甘い。昨年沖縄は教科書問題で大いに揺れ、問題は解決したとはいえないが、こうした沖縄で自衛隊が大手を振れば、先の戦争で日本軍が沖縄にどんな仕打ちをしたか、その記憶を呼び起こさせる。辺野古に海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を派遣し闘う住民をどう喝したことも同じだ。
 沖縄県民には、いろいろな立場や生活があり「反基地・反自衛隊」と言えない人もいるが、ギリギリのところでゆずれないものがある。沖縄県民の目で見れば、自衛隊も日本軍も同じで、米軍の属軍化しているだけさらにひどいともいえる。そして沖縄県民をまるごと玉砕させるような無謀な戦争をもいとわなかったのが日本軍であり、こうした歴史の真実をねじ曲げて伝えることは許さないとした断固とした県民の意思を示したのが昨年の県民大会であり、それを確認し内外に示した大会の意義は大きかった。

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 この教科書問題は、米軍再編・強化、自衛隊との一体化と機を一にしたものだ。私たちは「あらためて日本軍が沖縄にやってくるぞ」と警鐘を鳴らし、再び日本軍の軍靴で沖縄を踏み荒らすなという闘いをつくっていかねばならない。
 米国・米軍や日本政府が総力をあげてかかってきている感じがしてならないが、来年いよいよ大きく動き出すであろう辺野古、高江を中心に、全国の仲間と連帯しながら私たちの取り組みを強化したい。


 昨年は日本の農業と食料の今後について、国民に鋭く問われる一年となった。日本とオーストラリア政府の間で経済連携協定(EPA)交渉が始まり、農産物の市場開放策動が強まった。また新農政による農業者の選別も始まり、失政による米価の暴落が農家の経営に打撃を与えた。本年は日本の農業・食料生産を守る全国民的な闘いを発展させる必要がある。坂元芳郎・全国農協青年組織協議会会長に昨年の取り組みの成果などについて聞いた。

アピール通して自覚高めた 内向きな運動変えていきたい
坂元 芳郎 JA全青協会長

 昨年は、日豪EPA交渉に対する取り組みを強めた。日豪EPAが締結されれば農産物自由化の流れは大きく動き出すだろう。豪州の後ろには米国やカナダなどの農業大国が控えている。ここで食い止めないとという危機感は強かった。
 現在、日本の食料自給率は四〇%を切って三九%にまでなっている。食料安全保障をどうすのか、国内の農業生産をどうするのか、今まで以上にそれが問われている情勢だと思う。私は農業・農村は日本の文化・伝統・産業の根幹だと強く信じているし、日本の環境や国土保全のためにも必要不可欠だ。
 それを消費者・国民に問うとともに、アピール活動を通して自分たち自身も役割と責任に対する自覚を高めることができたと思う。
 今までは、米価闘争もそうだが、われわれの運動は内向きだった。政府の方を向いての取り組みだった。しかしこれからは、消費者・国民の方を向いた取り組みを強めたい。いろいろ言っても、今まではあまり交流がなかった。「食育月間」などもつくられているが、昨年がんばったからといってすぐに目に見える成果はでないかもしれない。しかし地道に活動を続け、顔の見える交流をつくっていきたい。


 神奈川・大阪・兵庫県のトラック協会が07年11月23日、各県でパレードを行った。これは、首都高速道路会社・阪神高速道路会社が今秋の導入をめざしている「距離別料金制度」による事実上の値上げに反対したもので、3府県で約150台のトラックが街頭でアピールした。トラック業界は零細企業がほとんどで、現在も営業の危機にある。これに新料金制度が重なれば、「泣きっ面に蜂」だ。トラック協会は08年も闘いを強める方針だが、これは運輸業界で働く労働者にとっても重大な問題だ。神奈川県トラック協会に、要求などを聞いた。

高速料金の値上げ反対 これ以上の経営圧迫許せない
神志那 学 神奈川県トラック協会総務部長

 パレードを行ったきっかけは、先に大阪や兵庫の協会がパレードを行うことを聞いたからだ。それなら同じ日にやれば効果が上がるのでは、ということで実施した。
 当日は五十三台のトラックが参加し、横浜市内のみなとみらい地区を中心に、人通りの多い山下公園周辺などを回った。また、首都高速の出資者である神奈川県、横浜市、川崎市の各首長にも、要望書を提出した。国会に対しても行った。
 今回の首都高速道路会社による新料金案は、現在一律七百円(東京線)・六百円(神奈川線)などの料金制度を改変して四百円〜千二百円に、大型車では千四百円が八百円〜二千四百円と、利用距離に応じて変わるようにするというものだ。
 確かに、短い距離を走るのならば安くなる計算で、首都高速も「『ちょい乗り』が増えるのではないか」と言う。だが、短い距離なら高速道路を使わないのがふつうだし、輸送形態からしてそれは少ない。神奈川の場合、東京や埼玉への輸送が多いこともあり、この制度が導入されれば、台数ベースで七〜八割が値上げになってしまう。ここ数年、業界はきわめて厳しい経営を余儀なくされているのに、とても容認できない案だ。
 実施されれば、経費節約のためトラックが高速道路から一般道に流れるのは必至で、これは周辺住民にも悪影響を与えてしまう。
 われわれの経営上の問題は、この問題に始まったことではない。
 当協会には約二千四百の事業者が加盟しているが、九九%が二十台以下の小零細事業者で、経営体力がそもそも弱い。
 一九九〇年の規制緩和で、運賃が自由化され、ブロック単位であったトラック輸送が全国一律になった。これで、業者が担当する輸送距離は格段に伸び、運賃も上がらなくなった。また、新規参入も規制緩和され、当時の約四万社が現在約六万二千社と約一・五倍に増え、過当競争で運送料を上げることができない。運賃を適性にしてほしいと、国や経済団体などに申し入れているところだ。
 その上、原油高で軽油の値段が上がり続け、コスト高になっている。これに対しては、数年前に「危機突破大会」を開き、このときもパレードを行った。このときは、約七%の事業者が倒産するという試算があった。幸い、それほどではなかったが、それでも、運賃に転嫁できた事業者は四割程度しかない。
 道路特定財源である軽油取引税、自動車重量税などが暫定税率で増税になっているという問題もある(一リットル当たり七円八〇銭)。この増税分も料金に転嫁できておらず、トラック協会としてはかねてから、税率を元に戻すことを求めてきた。
 環境規制、安全規制の強化による、排ガス装置やスピードリミッターの取りつけなどの負担増もある。助成金もあるが、なかなか追いつかない。
 こういった具合で、これに新料金制度が加われば、大変なことになる。いわば「袋だたき」状態で、間違いなく倒産が増える。自助努力は、もう限界だ。
 しかも、道路公団は「サービス向上」や「効率化」という名目で民営化されたのではなかったのか。民営化して間もないこの新料金制度は、民営化の趣旨にさえそぐわないと思う。
 与党は高速道路の夜間の通行料金値下げなどを検討しているようだ。それはそれでよいのだが、新料金制度が容認できるわけではない。道路特定財源の余った財源は一般財源化されているが、どうせなら、この余った分を投入して高速道路料金を引き下げてほしい。
 新料金制度の導入は今秋の予定なので、これからも運動を続けていく。トラック輸送は、国民の生活を支える存在なので、ぜひ多くの方に関心を持ってほしい。


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