労働新聞 2007年12月15日号・5面 国民運動

岩国市への兵糧攻め
全国の地方議員が反撃

国の理不尽な仕打ち、許さない

 米軍再編・強化の一環として米軍空母艦載機が岩国基地に移転することに反対している山口県岩国市に対し、政府・防衛省は約束違反の補助金カットなど卑劣な仕打ちで屈服を迫っている。これに対し十二月十二日、全国四十七都道府県三百六十一人の地方議員有志が連名で補助金を全額交付するよう防衛省などに求めた。岩国市への国の攻撃を「岩国の問題」とせず、岩国市民と連帯して国に異議を申し立てたこの行動は、米軍再編に対する闘いを全国的なものへと発展させる上で重要な取り組みとなった。


 「岩国市に対して直ちに今年度分の市庁舎建設補助金を全額交付すること」を求める緊急要望書は、自主・平和・民主のための広範な国民連合が事務局を務める「〇七全国地方議員交流会実行委員会」(事務局長は原田章弘・神奈川県横須賀市議)が全国に呼びかけ、二週間あまりで三百六十一人の賛同を得た。
 十二月十二日に国会内で行われた政府への要請行動には、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知から十四名の地方議員が参加した。国側からは伊藤盛夫・防衛省地方協力局次長や幸田雅治・総務省自治行政局行政課長などが参加した。
 代表して国に要望した原田氏は「岩国市への補助金は九六年の沖縄に関する特別行動委員会(SACO)合意に基づいたもの。国がこの根拠を一方的に『米軍再編特別措置法』に基づくものに変更するのはおかしい。こんなことがまかり通れば地方はやっていけない。国はこの地方の声を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と訴えた。
 同席した岩国市と地元とする平岡秀夫衆議院議員も「国と地方の信頼関係を失わせる行為だ。十二月一日に岩国で行われた一万人集会でも民意は明らかで、国への不信感は根強い。国はあまり市民をナメない方がよい」と態度変更を迫った。また川内博史衆議院議員も「国の言うことに従わないから補助金を打ち切るなど、こんな行為に法的な根拠はあるのか」と国を厳しく問いただした。
 他の参加した地方議員からも「約束違反ではないか」「途中でハシゴを外すなんて、裏切りではないか」と厳しい質問が出されたが、防衛省の担当者などは「補助金の額に関しては毎年協議して決めることになっている」「SACOの内容が変わったので、再編特措法による騒音に内容が変わった」などと、およそ説明になっていない説明で追及を逃れようと、文字通りの官僚答弁を繰り返した。参加者の納得のいく説明のないまま時間の関係で要請行動は打ち切られた。
 今回の要請行動は、米軍再編に関係し国から圧力をかけられる地方の闘いを全国で支える需要な取り組みとなった。

資料 岩国市の新市庁舎建設補助金の交付を求める緊急要望書(要旨)
 岩国市は、新市庁舎建設に対する今年度の国庫補助金が交付されないため、財政的窮地に陥っている。岩国市は〇一年の芸予地震で耐震性が下がった現在の市庁舎に代わる新市庁舎の建設を計画し、総事業費約九十億円に対して総額約四十九億円の国庫補助金を三カ年にわたり交付する約束の下に建設工事に着手した。
 ところが、〇五、〇六年度は予定通り計十四億円の建設補助金が交付されたにもかかわらず、国は完成予定にあたる今年度の補助金三十五億円の交付を見送った。岩国市長は予算編成のため、やむを得ず合併特例債を充当する予算を提案したが可決に至らず、申請期限を控えて再議を検討していたところ、国は「再議はできない」との見解を示し、その道も断たれることとなった。
 なぜこのような事態がおきているのか。それは、九六年のSACO合意による沖縄県普天間基地の空中給油機移転を岩国市が受け入れた事に基づいて補助金が交付決定されたにもかかわらず、国がその根拠を一方的に「米軍再編特別措置法」に基づくものに変更したことが原因だ。
 岩国市長は昨年三月、米軍再編計画の一環である厚木基地の空母艦載機受け入れの是非を問う住民投票の意思に従って「受け入れは容認できない」と表明し、昨年四月の市長選挙では広範な市民の支持を得て再選されている。
 私たち地方議員は、米軍再編を進める国が、異議を唱える地方自治体に対して、このような恣意(しい)的なやり方で財政締め付けを行い、存立を脅かす行為は極めて不適切であると考え、よって、国の真意を問い、以下の点について強く要請する。

一、岩国市に対して、直ちに今年度分の市庁舎建設補助金を全額交付すること。
一、「予算の再議はできない」とした見解の根拠を明らかにすること。


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