労働新聞 2007年7月5日号・1面

日豪EPA
農家選別もくろむ財界
国民各層連携で闘おう

農業・地域つぶし許すな

 いま日本とオーストラリアの両政府間で、自由貿易協定(FTA)を中心とする経済連携協定(EPA)締結に向けた交渉が行われている。世界有数の農業大国である豪州との間でコメ、小麦、乳製品、牛肉、砂糖など、わが国の重要農畜産物への関税が撤廃されれば日本農業は広く深刻な打撃を受ける。農業だけでなく関連産業、さらには地域社会全体に深刻な影響が出ることは避けられない。
 すでにわが国の食料自給率は、歴代保守政権による売国農政の結果、先進国中最低の四〇%しかない。農業による所得低下や後継者不足、耕作放棄などが深刻化している。
 日豪EPAによる重要農産物への関税撤廃は、国内食料生産と地域社会を守るため、ひいては国の独立のため、絶対に許してはならない。

財界は「黒船」望む
 しかしわが国財界は、資源・エネルギーの安定確保と米国も含めた日米豪同盟強化の観点から豪州とのEPA締結を切望している。さらにこの日豪EPAを「黒船」として「攻めの農業」などと称した農業改革に利用、農家の選別・大部分の農民切り捨てようとしている。
 そのための世論づくりとして、米韓でFTA締結が合意されると「乗り遅れるな」と大キャンペーンをは張り、「障害は農業」などとして農民を悪役に仕立て上げる報道を垂れ流している。また中国向けコメ輸出が再開されると「一キロ千五百円のコメでも売れる」とことさらに持ち上げ、「海外との競争に勝て」と農民に「企業努力」なるものを押し付けている。
 こうしたマスコミのキャンペーンの狙いを見抜かなければならない。

民主党も基本は「推進」
 自公与党は、今は参院選前で鳴りをひそめているものの、そもそも財界に奉仕するのが彼らの役割である以上、選挙後に締結に向けた動きを加速させることは間違いない。
 また野党第一党である民主党も、日豪EPA交渉に「早急な締結の必要性は薄い」(篠原・ネクスト農水相)としている一方、EPAに対する基本姿勢は、「積極的に推進」(政権政策基本方針、〇六年十二月)などとも言っている。この党では、政府・与党と闘うことはできない。
 いま求められているのは、地域をあげた闘いである。農民を先頭とした闘いに労働組合も合流し、国民運動の組織者として闘うことが求められている。


沖縄 1万人県民集会で内外にアピール
嵩原 義信・JA沖縄県中央会農政総務部農政担当次長


 沖縄では六月十六日、この課題では全国最大規模となる一万人の県民大会が行われた。JAグループ沖縄などの生産者に加え県など行政、経済界、連合沖縄など労働組合も参加、県民各層が連携して政府に「食と農と暮らしを守れ」と迫った。この取り組みの意義などについて、嵩原義信・JA沖縄県中央会農政総務部農政担当次長に聞いた。

 一万人の県民大会を成功させることができた。この規模の集会は二十年ぶりで、これだけの人数が集まったのは参加者の七割を占めた農業者の強い危機感のあらわれだろう。
 日豪EPAで関税が撤廃されれば、離島県である県の基幹作物であるサトウキビをはじめ、肉用牛、酪農、パイナップル生産は壊滅的な打撃を受ける。農業が主要産業となっている地域では人口流出などにより地域社会や経済の崩壊も危ぐされ、県域全体に大きな影響が出るだろう。
 しかし、これだけ重要な課題であるにもかかわらず、沖縄県では他県に比べて取り組みが遅れた感があった。沖縄がきわめて重要な問題ととらえていることを国に対して強く意思表示するためには、この人数の集会が必要だった。
 また、農業団体に限らず、行政や経済団体、労組、消費者など、広く各界が集まることを心がけた。
 大会が地元紙などで大きく取り上げられ、この課題に関心を持っていなかった県民にも重要性が伝わってきていることが、「読者の声」などを見ても感じられる。いっそう大きな県民世論をつくる布石となったのではないか。
 大会による県内外へのアピール効果はあったと思う。他県さらには全国へのエールとなったのであればうれしい限りだ。


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