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労働新聞 2007年6月15日号・5面 国民運動
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沖縄戦歴史わい曲との闘い
危険な狙いを見抜き闘いを全国へ
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来年度から使用される高校生の日本史教科書の検定で、沖縄戦の集団自決をめぐり「日本軍の強制」が削除されたことに抗議・撤回を求める闘いが広がっている。米軍再編や自衛隊強化を押し進めるわが国政府にとって、軍隊が住民を殺害した沖縄戦の真実は都合の悪いものであり、安倍政権はこれをおおい隠し歴史から消し去ろうとしている。この危険で許しがたい策動との闘いは今後の日本の進路を占う上でもきわめて重要で、闘いをいっそう全国へと広げる必要がある。
沖縄 県民集会・シンポ
「沖縄戦の歴史わい曲を許さない県民大会」が六月九日、那覇市で行われた。縄県高教組や沖縄平和運動センターなど県内六十三団体でつくる実行委員会が主催した。会場は三千五百人の熱気に包まれた。
代表呼びかけ人の一人である高嶋伸欣・琉球大教授は検定意見について「歴史の事実をわい曲した改悪」と指摘、「八二年の検定では、沖縄戦の住民虐殺の記述を県民の抗議で復活させた前例がある。今回もまだ撤回させることは可能で、この熱気を背景に文科省が無視できない状況をつくろう」と訴えた。
また沖縄戦の体験者からは「国は真実を知っているはずなのに。すごく腹立たしく、悔しい」「強制でなく家族が殺し合うか」「集団自決が、軍による強制や誘導などによって引き起こされたことは否定できない事実」「ゆがめられることは、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた県民にとって到底容認できない」と、怒りに震えながらの発言があった。
最後に、撤回を求める署名が三万筆を超えたことなどが発表された。
また集会に先立つ二日、シンポジウム「挑まれる沖縄戦?『集団自決』検定を問う」が那覇市で行われた。沖縄タイムス社が主催、幅広い年齢層の三百人が集まり、問題の関心の高さを示した。
第一部の基調講演では金城重明・沖縄キリスト教短期大学名誉教授が自身の体験も交えて話をした。
金城氏は「三月二十七日に渡嘉敷島の最北端に移動しろという日本軍の命令があった。当時島は一木一葉に至るまで日本軍の支配下にあった。朝鮮半島から来た軍夫は空腹から畑のイモを食べただけで死刑になり、学校の教頭先生は小さい子どもたちを抱えた身重の奥さんの様子を見に何度か部隊を離れただけで死刑にされた。軍から命令が出たという状況でなくても、軍と運命を共にする、最期を遂げるという強圧的な押し付けがあり、決して自発的に死のうという意識はなかった」と、当時の状況をとつとつと語り、会場は緊張感に包まれた。
第二部のパネルディスカッションでは、三人の大学教員が発言した。
高嶋伸欣・琉球大学教授は「文科省は二年前の検定でも今回と同じことができたにも関わらずやらなかった。その最大の違いは安倍政権の出現だ。『美しい国』を掲げる政権にとって、軍隊は住民を守らないという歴史的事実を強調する記述はできるだけ薄めたほうがよいと文科省が判断した。それを露骨にいうと『政治状況に教育が振り回されていいのか』という当然の批判が出るから、それをかわすためにもっともらしく大阪の裁判を持ち出したのでは」と指摘した。
また安仁屋政昭・沖縄国際大学名誉教授と屋嘉比収・沖縄大学准教授からは、歴史的事実の研究成果や戦争体験を引き継ぐことなどの提言が行われた。
東京 岩波裁判支援の会
沖縄戦の「集団自決」を命令していないと主張する元日本軍の隊長らが、「集団自決」は軍の命令であるとした著作を「名誉棄損」だとして、大江健三郎氏と岩波書店を相手に大阪地裁で裁判を起こしていることに対し、「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」結成集会が六日、東京で開かれた。歴史教科書執筆者や弁護士、大学教授、ジャーナリストら十六人が呼びかけ人となって行われ、百五十人が参加した。
記念講演した沖縄国際大学の石原昌家教授は、政府が教科書から軍の関与を削除した理由を「有事法制と密接に関係している」「軍隊は住民を守らず、逆に殺害することもあるのが沖縄戦を通じた認識。国内戦を想定して国民総動員を狙う場合は、こうした認識が一番の障害になる」と国の狙いを暴露した。また「政府は『集団自決』という言葉に靖国思想を意味する『殉国死』のニュアンスを込めようとしている」と指摘、「集団自決」を「強制集団死」など別の言葉に改めるべきだと主張した。
呼び掛け人の一人で、子どもと教科書全国ネット 事務局長の俵義文氏は「今回の教科書検定には文部科学省だけでなく官邸筋の介入を感じる」と強調、下村博文官房副長官が昨年夏に「自虐史観に基づいた歴史教科書は官邸のチェックで改めさせる」と発言していたことなどを紹介した。
中学生も声上げる
沖縄県の東村立東中学校3年の生徒が6月4日、検定意見の撤回を求める意見書を可決するよう東村議会に請願書を提出した。生徒は3年生全員の14人。生徒全員が担任教諭とともに村議会を訪れ、代表の玉城ありささんが「何も意見を出さなければ、賛成していると同じ。戦争を二度と起こさないため、東村からも教科書の内容を変えることに対し、意見を出してください」と請願書を読み上げて安和敏幸議長に手渡した。また「集団自決は『自分で決める』と書いてあるけど、子どもや赤ちゃんは本当に自分で決めたことではないと思う」「日本軍が犯したことを隠していたら、戦争体験者はつらいと思う」「親が子どもを殺すことがあったんだと勉強した。今あってはいけない」などの意見を伝えた。
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