労働新聞 2003年2月25日号 5面・大衆運動

東京
市場開放迫る米国に怒りの行動
WTO閣僚協議に向けJAなどが集会
銀座に響く農業守れの声

 東京で開かれていた世界貿易機関(WTO)非公式閣僚会合が、2月16日、閉幕した。米国などが要求していた農産物の関税一律引き下げ問題など懸案事項は先送りとなった。しかし、会議では農業交渉の加速化がうたわれ、川口外相もわが国の譲歩が必要と発言している。しかし、これ以上の農産物の自由化はわが国農業を滅ぼし、米国に食糧主権を売り渡すものである。このWTO会議に向けて東京でJAグループなどによる集会・デモが行われた。



 WTO国際市民集会が2月15日、東京で行われ、全国のJA各組織や漁協、平和フォーラムに参加する労働組合などから、約1万人が参加した。
 集会冒頭、あいさつに立った梶井功・同実行委員会代表(東京農工大名誉教授)は、「私たちは公平・公正な貿易ルールを求めてここに集まった」と開会あいさつを行った。
 続いて服部信司・食料・農林漁業・環境フォーラム幹事長をはじめ参加団体の代表からそれぞれ「議長案に断固反対し撤回を求めていく」「WTO体制を変えていこう」などと決意表明が行われた。
 また海外から参加した農林漁業団体の代表が次々に連帯アピールを行った。
 カナダ農業生産者連盟やEU農協連合会、フランス農業連合会などからは「自由化だけで豊かさはもたらされない」「農産物価格は各国の生産コストを反映して決められるべき」「今回の集会参加者は、フランス農民の全面的支持を得ている」などとと相次いで訴えた。
 またアジアからも韓国やフィリピン、インドネシア、スリランカから代表が参加。韓国農業組合中央会からは国会議員を含め約100人以上が参加した。韓国の代表は、「各国の民衆を抑圧するWTOに反対するため来日した。韓国の農民は先頭に立って闘う覚悟だ。ともに闘おう」と呼びかけた。
 インドネシアの代表も「97年のアジア危機で農産物の価格が軒並み下落して大きな打撃を受けた。行きすぎた自由化は農民を苦しめる」と訴えた。
 宮田勇・JA全中会長は「各国は自らが求める農業・食料政策を自ら選ぶ権利がある」と強調した。
 集会後、参加者は数十台ものトラクターを先頭にデモ行進を行い、「横暴な米国提案に屈するな」「日本の食糧と農業守れ」「日本農民を見殺しにするな」とシュプレヒコールを上げながら、銀座の町行く人々に呼びかけた。
  *       *
 わが国農業はこれまでも度重なる米国などの圧力によって破壊され続けてきた。
 85年のプラザ合意後の「国際化」に対応し、わが国政府・財界は米国の要求に屈服し、市場開放政策を打ち出した。
 86年出された「前川レポート」では牛肉、オレンジ、コメなどの市場開放を提言、これに沿う形で、88年に牛肉、オレンジなど12品目の自由化、93年にコメ部分開放という形で、一連の市場開放が行われてきた。
 わが国政府や自民党は、農業分野での市場開放問題が起きるたびに農民の味方面をして、支持を訴えながら、実際は屈服を続け農民を裏切り続けてきた。今回のWTO交渉を巡っても「米国などの思惑を打破しなくては」(中川昭一・自民党農水調査会長)などと叫んでいるが、これは全くのペテンである。わが国財界の中心である多国籍企業は「価格支持政策の廃止による国内助成の大幅な削減と、多くの品目において関税の削減・撤廃を」(日本経団連)などといっているのである。
 グローバル経済の下、国民経済や国内産業を犠牲にして、世界でボロ儲けを狙う、多国籍企業らの番頭=小泉政権に、米国の要求をはね返すことを期待することなどできない
 すでに商工業者の一部などは「自民党は信用できない」などと大衆行動に打って出ている。こうした闘いと結びつき、米国の要求をはねつけよう。


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