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パート差別と闘う

「私たちも人間だ」と言いたい

椎名 奈津子(パート労働者)


 私は四年ほど前から印刷会社でパートとして働いています。私は正社員と同じ労働時間で残業も同じようにしています。働く形態としては、正社員と変わらないのです。でも、もらっている給料はまったく違います。
 私の職場は一割ほどがパートですが、パートの年収は正社員の三分の一にしかなりません。また、正社員でも男女で格差があります。女性正社員の年収は男性の正社員の三分の二。私の場合、時給八百二十円からスタートして今は九百四十円です。年収は二百二十万くらいにしかなりません。母子家庭なのでこれでは生活できず、以前は夜間のアルバイトを週に四日やっていました。
 私たちも同じように生活がかかっているのに「パートは安くて当然」という意識が一緒に働く正社員の中にもあるようです(もちろんそうでない人もいますが)。
 そんなことで、今の職についてから「パートだから」ということで理不尽なことがいくつかありました。職場の仲間と解決してきましたが、今回はその経験を紹介します。

残業手当30分カット

 正社員は定時が八時半―五時で実働七時間半を過ぎると残業手当がつきます。パートも五時以降は残業手当がついていました。ところが私が働き始めて一年ほどしたとき、「パートは実働八時間をこえないと残業手当がつかない」との社長からの通告で経理が、今度から五時半過ぎないと残業手当がつきませんと言ってきたのです。
 最初に残業の要請があったときも「五時過ぎたら残業です」と言われていたし、職場のみんなとそれはおかしいと話していたら、社長がやってきて「一年間払った三十分の分も返してもらうぞ」とまで言ってきました。その後、五時半まで残業手当がつかない期間がしばらくありましたが、労働組合に加入して、組合に取りあげてもらうように訴えました。組合の交渉もあってその後、正社員と同じように五時から残業手当がつくように戻り、ほっとしました。

契約書変更のミステリー

 私は一年契約になっています。契約については、いつも仕事中に「はい、契約書。持っていて」と投げ捨てるように渡されていたのが、社長室に呼ばれたことがありました。行ってみると、雑談の後、「じゃ、はい契約書。ここ変わってるけど今まで通り働いていていいから…」。労働時間を八時半―五時で契約していたのを、九時―五時にしておくというのです。そして「働くのは今までと同じように、八時半からで構わないから…」と。
 労働時間を九時から五時にすれば、正社員と三十分だけ時間が違ってきます。つまり契約書の上だけでも正社員と違う「短時間労働者」にしようという魂胆があるのだと思ったので、そのまま組合の分会長の所へ行って「とにかくおかしい!」と訴えました。そして団交に出て直接社長とやり合ったのです。
 「なんで八時半から働いているのに『八時半から』って書かないんですか? その理由を聞かせて下さい」。結局、社長は他の人にも説得されて「次の契約からはそういうことはしません」となり、撤回させることが出来ました。

給料計算ミスの無神経さ

 こんなこともありました。ある日、もらった給料が三日分足りません。経理がパートの給料計算をまちがえたのです。人によっては二万円ぐらい少ないことになり、私たちにとってこれは大きな額です。
 経理の人は「ごめんなさい、私がまちがえたの。次の給料日に三日分入れておくから。社会保険も計算し直さなくてはならないので面倒くさい」などと、三日分足りなくてもどうにかなると思っている様子。そしてパートの中でも私がいちばん生活が苦しいのを知っているようで「困るなら私が貸してあげるわよ」と言ってきましたが、「今日もらえるはずの給料なのになによ!」とみんな怒っていました。
 私が代表して「それでは困る」と言いにいくと、すぐに封筒に現金を入れて持ってきました。これにはみんな「やればできるんじゃない」と頭にきていました。

給料の実態見てください

 ほかにもあります。リストラの一環で、給与計算を業務委託することになりました。その関係で給料の締めが変わり、それまでの十五日締め二十五日払いだったのが、三十日締め翌月二十五日払いに移行しました。
 正社員は月給制なので残業手当の締めだけがかわり問題ないのですが、パートは時給制なので、移行時は給料が半月分ほどにしかならなくなってしまうのです。
 交渉の結果、結局、パートの時給については今までどおりの締めでやっていくことになりました。
 急に残業するなと言われたこともありました。その時は係長まで反対して撤回させました。このように一つひとつは細かいことですが、パートだからとないがしろにされていることだと思います。でも黙ってたら言われるままになってしまいます。「会社はパートのことなんか考えていない」というのはパートで働く人がみんな感じていることだと思います。「私たちも人間だ!」と言いたくなります。
 収入の少ない私たちは、昼食代も切り詰めます。私たちパート仲間の昼食は、食堂で無料で出される味噌汁と家で作ってきたお握りです。
 最後に、私の今月の給料明細を同封しますので、パート労働者の実態を見て下さい。

支給額
基本給 148,050
技能手当 3,000
勤続手当 4,000
超過勤務手当 8,618
控除額
健康保険 6,970
厚生年金 11,687
厚生年金基金 3,400
雇用保険 654
地方税 900
旅行積立金 2,000
組合費 2,500
支給額計 163,668
控除額計 28,111
差引支給額 135,557


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