労働新聞 2008年4月5日号 通信・投稿

有休も取れない職場環境
仕事増え大きな事故多発

派遣会社は現場の声を聞け

工場派遣労働者 有坂 一


派遣労働者が6割
 私は今、大手派遣会社の派遣社員として近隣の工場で仕事に就いています。その工場は社員四割、派遣六割で、派遣が多く、派遣元会社二社で仕事が回っています。
 仕事の内容は、電気の配線設備の組立で、工場、ビル、その他あらゆる建物に取り付けられる必要不可欠なものです。また、ライン作業ではなく受注生産の形をとっていますので、年間を通して仕事がありますが、月によっては量に偏りがあります。
 工場全体が環境面や安全面に力を入れており、また表彰盾などもあり、創業以来事故防止について前向きに取り組んでいるようです。安全は日々の反復のからつくられるとの考えの下、毎日の朝礼で復唱し、個人個人に意識づけをしています。
 私は、昨年四月にここに来ました。仕事は簡単な組立作業と手数がかかる組立の二グループに分かれます。手数がかかる作業は主に先輩社員の分担になりますので、新人は最初は簡単な物の組立から習います。だいたい半年ぐらいで先輩社員の仕事に移行し、全体の仕事を回していくようになっていきます。
 また、一、二カ月が経過すると、パレットに載せた完成品を運ぶため専用の運搬機の運転方法を教わり、仕事の流れがだんだんと分かっていきますが、同時に、仕事の慣れからミスや事故が起こる可能性が高い時期でもあります。

形ばかりの安全教育
 工場創業以後、事故は発生しつつも、小規模(軽い切傷程度)にとどまり、こんにちまで経過して来ました。しかし、昨年、今年と大きな事故が多々起こり、被害者、加害者をつくってしまいました。屋外では、運搬機(フォーク)と通行者による事故。屋内においては、組立物落下、運搬機操作の誤りによる事故(骨折)です。
 工場側では以前、安全教育(危険予知、各部署での作業全般においての危険予知、安全のための周知徹底教育、機械の操作方法、危険回避など)を定期的に全体教育を行っていましたが、仕事の受注量の増加にともなっておろそかになっていました。その反省をもって、去年安全教育が行われました。
 私は初めての経験ですので訳が分からず、専門用語もあり、内容自体が仕事を把握できている人や上級者でなければ理解できないと感じました。安全教育のやり方はプリントを配って、指された人が読み進めてそれに対して補足していく形式化した時間浪費の会合でした。
 結論は、事故を起こすと工場内外に不利益が出てしまい、最悪の場合は操業停止になってしまう。まさにその岐路に立たされているので安全を最優先に認識し、作業に臨むようにとの話でした。
 数週間後、派遣対象に安全教育が行われました。担当者が講師となり安全教育(安全の意義、危険予知の重要性、作業前の安全確保と進め方など)が行われました。話の内容は、例をあげ分かりやすく、理解できました。安全教育についてはそこで終わり、残り時間で会社の現状説明からはじまり、他の派遣先会社の人員縮小、会社(営業所)の売上減少の話に移り、話の締めに会社の信頼回復と売上貢献に努め事故は起こさぬようとの要望で、解散になりました。
 ある先輩は「会社としての立場も分かるが、時給を含めた自分たちのことも考えてほしい。担当者は上面が良いだけで結果(売上)を気にし過ぎている」と言っていました。これは事故を生み出している原因を語っていると思いました。

時給アップを要求したが…
 事故による欠員のため去年、今年と新人が入って来ましたが仕事と性格の不一致で一、二カ月で辞めていき、新人が入っては辞める日々が続いていました。教えても、すぐに辞めていく現状に業を煮やした先輩が担当者に「採用する人選をしっかりと見きわめてほしい。この状態では教えても仕事をこなせる人に育たないし、こちらが疲れてしまう。あいまいな人選はやめてほしい」と話したとの話を聞きました。
 「売上を上げるために、ただ人を入れればいいものではない。仕事を教えるこちらの立場も考えてほしい。担当者は仕事のことを簡単に考え過ぎだ。種類や量やそれぞれの大体の内容が分かっていないからいつまでたっても先へ進まない。これじゃ意味がない」と言っていました。
 有休はルール上は取得できますが、事故のこともあり最近は取るのが難しくなってきています。派遣元会社は「緊急以外は休まないように」と、まるで工場側の代弁者のように言います。先輩を通し、「時給の見直しをしてほしい。仕事量は種類、工程ともに高度化、手数が増えてきて、現場からの仕事に対するいっそうの高い段階が求められており、時給、有休は仕事をする上での大切な要素だ」と話をしたところ、「それは考えておく」との形だけの返事だけでした。
 事故を起こしたのは事実ですが、原因は会社側の採用の仕方と体制にあるのではないかと、私は思います。担当者が認識している仕事の現状と実際の仕事に差が生じているのです。仕事の適正より人員の補完のための採用になっていて、売上の数字を上げる結果を追いかけているように思えます。
 確かに売上の数字を上げて、貢献していることを会社に認めてもらう気持ちは分からないではありませんが、現場の人あっての会社もしくは担当であることを分かってほしい。そして、現場の人たちが働きやすい環境(時給、有休)を考えて、現場の意見の大切さを知ってほしいと、事故を通して強く感じました。
 質がともなわず、事故を連続で起こしているため、新参の派遣会社と比べて低く見られている雰囲気を感じます。現場は変わらず仕事に取り組んでいますが、特に時給、有休を上げていかないと同様の不都合がまた発生してしまうのではないか、これが格差だと強く感じています。


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