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労働新聞 2007年12月5日号 通信・投稿
種子島に3年ぶりに帰省
地方の危機感を肌で感じる
町は空き家だらけ
10年後は故郷がなくなる?!
東京 森田 誠二郎
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朝一番の船に乗って、故郷の種子島(鹿児島県)に三年ぶりに帰省した。船を下りたのは、私を含めてたったの十人。昔は、船が着くと船を下りる人と出迎える人でにぎわっていたが、出迎える人たちもいない。「さびしくなったなあ」というのが第一印象。
ところが、きょうだいたちの話を聞いてさらにショックを受けた。故郷の現実はとんでもない、想像を超えるひどい状況になっていたのだ。
かつて七万八千人いた人口が今や二万八千人に減ってしまったという。来年にも人口が屋久島に追いこされそうだ。種子島は十年後には人がいなくなるかもしれない。故郷がなくなってしまうという危機感と、だれがこんな島にしたのかという怒りでいっぱいになった。
■「自民党も敵だ」
夜、きょうだいたちが集まってくれた。これまで政治の話をすることなんてなかったが、政治の話で夜遅くまで盛り上がった。
種子島はサトウキビやサツマイモのほか、タバコを親子二代、三代にわたって栽培している農家も多い。私の妹もタバコを栽培しているが、多くのタバコ栽培農家は農機具などの購入で借金を重ねた上に、生産調整とタバコの買い入れ価格が下がったことで、にっちもさっちもいかない状況に追い込まれているという。
「タバコ栽培も国の言う通りにやっていたら、このありさまだ。借金をかかえて島を出ることもできない人も多い。自殺者が出るかもしれない。タバコは昔すごくもうかった時代もあったが、いまはそういう時代ではない。希望がない」と言う。
兄は建築関係の仕事をしているが、こちらもたいへんだ。「競争入札では小さな事業者は閉め出され、鹿児島から大手が来て、小さな仕事も取っていく。もうからない仕事しかまわってこない。赤字になって廃業した人もいる。談合をなくせばよいというものでもない。これまで自民党を支持していたが、もう自民党はダメだ。選挙は自民党には入れない。自民党は敵だ」と怒っていた。
自民党は種子島をよくしてくれないとだれもが思うようになっており、自民党も力がなくなっていることを感じた。私が国の政策が悪いという話をしたら、兄は「俺たちの惨状を訴えてみたい。発言できる場があればぜひ発言したい」と言うほどで、その思いは切実だ。都会にいるとわからないが、地方ではひどい状況が進んでいることがわかった。
■止まらぬ人口流出
種子島は人口も激減している。三人生まれても、島を出て行ったり亡くなったりで十一人が減少しているそうだ。島でも子どもたちの姿をあまり見なかった。小中学校も廃校や統合されている。二つあった空港もいつのまにか一つになった。
大手のスーパーが進出して、町の雑貨屋も次々につぶれていった。町は空き家だらけになっていた。種子島で生活できなくなった人たちは、子どもたちを頼って島を出ていくしかない。このままでは島を出ていく人が加速度的に増えて、十年後にはだれもいなくなるのではないかと、皆が心配している。
今回は、世界遺産となった屋久島にも行ってみた。屋久島は種子島とは対照的に、押すな押すなの観光客。大手資本が開発し、観光客を団体ツアーで連れてくる。大手資本が屋久島を食い物にしている。この調子で開発が進めば、いずれ貴重な屋久島の自然も破壊されてしまうだろう。
今回の帰省で、地方が大変なんだということを肌で感じ、地方では大きな変化が起き始めていることを実感した。地方の人のほうが都会より強い危機感を持っている。多くの人が政治が悪いということに気づいていることは、大きな変化だと思った。
種子島は鉄砲伝来の地という歴史があり、ウミガメの産卵地など自然も豊かだ。最近はロケット基地としても有名になっている。 私は昔、「種子島を日本のハワイにしたい」という大きな夢を持っていたが、このままでは島の危機、生まれ故郷の危機だ。なんとかできないのか!
国の政治によって地方が疲弊(ひへい)しているのだ。だから、それを止めることができるのは政治しかないと感じながら、東京に戻ってきた。さあ、明日からまた、がんばるぞ。
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