労働新聞 2007年10月25日号 通信・投稿

民営化された郵便局の現場から
非常勤が職場の3分の2
正規社員と待遇差は歴然

半年ごとの契約更新に改悪
いつクビになるか不安だ

郵便局非常勤労働者 前田 信雄

 私はある郵便局に非常勤で働いています。ご存じのように十月一日から民営化され、職場には将来への不安が大きくなっています。
 私は三十数年前、高卒後に郵便局に就職して集配の仕事をしていましたが、数年勤務して郵便局を辞めました。辞めた理由は当時の労働組合に不満があったからです。いわゆる「協会派」の人たちが労組を指導していましたが、反合理化という名目で「働かないことがいいことだ」という雰囲気が強く、私はしっくりしませんでした。そのくせ労組指導部は当局とゆ着し、他の職場の労働者と連帯行動しようとするとそれを抑えにかかるのです。
 「組合が働く者の権利を守るのは当然だが、職場に誇りを持ち、もっと仕事を覚えるのも労働者として当然のことだ」と思っていた私は、労組の役員もやりました。しかし、その気持ちは変わらず、まもなく退職しました。
 その後何度か会社を変わりましたがうまくいかず、結局最初に働いた郵便局に戻りました。ただし今度は非常勤です。

民営化でノルマ強化、待遇悪化へ
 履歴書に「経験有り」と書いたら、いきなり夜間勤務になりました。給料が安いこともあって午前中は別の会社にアルバイト勤務しています。一日の労働時間は十一時間です。昼食は、その会社から郵便局へ移動する電車の中で食べていますが、もちろんこれは勤務時間に入りません。
 郵便局の勤務時間は、昼の十二時から夜八時四十五分までですが、ほとんど九時過ぎまで働いています。仕事内容は郵便物の集配で、正規職員とまったく同じなのですが、待遇には大きな違いがあります。私の時給は千二百円ですが、正規職員の給料を時給に直すと二千円ぐらいだと思います。さらに一時金や退職金は正規の七分の一から十分の一ぐらいです。
 私たちの職場では今や非常勤が三分の二を占めています。私たちは長く勤めても役職に就くこともないし、昇給もほとんどありません。そのくせ時給制ですからゆっくり仕事をする人ほど給料が高くなります。考えると不思議なことです。
 私たちの労働者としての権利はだれも守ってくれません。労組のJPU(当時)は労働時間を決める三六協定を結ぶときに委任状をとりますが、非常勤との格差是正で何かをすることはおよそありません。
 民営化されて変わったことは、正規も非常勤も見かけはまったく同じになったことです。以前は名札の色が正規と非常勤では異なっていたのですが、それもなくなりました。「非常勤だとわかるとお客さんに不安を与える」というのがその理由のようです。でも見かけは同じになっても、待遇はいよいよ非常勤に厳しくなりそうです。
 今年に入って当局から何度か研修会で説明がされましたが、民営化になると半年に一回の契約更新が厳格になるそうです。「今まではよほどのことがないとクビにならなかったが、これからは当局が自由に契約更新を拒否することができる」ということでした。
 これまでも郵便配達はノルマがきつく、制限速度など守っていては仕事になりません。配達中の事故でケガをする人もいますが、そんな場合はいつ契約更新を拒否されるかもしれません。民営化でいっそうノルマがきつくなり、いつクビになるかとハラハラしながら働くことになります。
 職場では「同じ仕事をしながら非常勤はなんでこんなに待遇が悪いんだ」と不満がいっぱいですが、もって行き場がなく、不安な気持ちを募らせながら仕事をする毎日です。


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