労働新聞 2007年10月15日号 通信・投稿

第1回電動車椅子サッカー
W杯、東京で開催される

重度障害者もスポーツを
楽しむぞ

東京 宮下 晃一

 記念すべき第一回の電動車椅子サッカー(パワーチェア・フットボール)ワールドカップが十月九日、東京で開会されました。日米欧の七カ国が総当り戦の予選と決勝トーナメントを戦います。
 電動車椅子サッカーとは、電動車椅子の選手たちがバスケットコートと同じ広さのコートで行うサッカーです。各チーム四人ずつ、合計八人の選手がコートで戦います。使うボールは通常のサッカーボールの一・五倍の大きさ。電動車椅子は、選手間の性能をそろえるため時速十キロメートル(人が小走りする速さ)に調整され、また足元に金属製のフットガードが付けられています。

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 かなり重度の障害者でも参加できるスポーツで、人によっては手が不自由でも足元やあごの下などに電動車椅子を操作するレバーなどを置いて操作、競技に参加できます。老若男女の差のきわめて少ない競技ですが、むしろ「レバーを十分に操作できるか」「首や胴体を十分に支えられるか」など、障害の程度は競技パフォーマンスに反映します。
 私は少し前まで関西のあるチームでボランティアをしていました。私のいたチームには重度の人が多く、今回日本代表にメンバー三人を送り込んだ奈良のチームなどと対戦すると好きなように点を入れられていました。しかし子どもの頃からなかなかスポーツなどに参加できなかった人にとっては貴重な場で、みんな練習や試合などを楽しみにしていました。
 逆に、練習試合の時などには、メンバーが足りないため私も電動車椅子に乗ってボールを追いかけたりしましたが、ポッと車椅子に乗った健常者が車椅子操作に習熟している障害者にかなうわけもなく、完全に「穴」として好きなようにやられていました。こうした「逆転現象」もこの競技の妙なのでしょうか?

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 さてW杯本番です。欧米の障害者もたくさん集まっていました。当たり前のことですが、欧米にも障害者がいるんだなあ、社会の中に障害者がいて当たり前、障害者も健常者も、合わせて一つの社会なのだなあ、などとしみじみと思ってしまいました。
 しかし、欧米から飛行機で遠く離れた日本に集まるのは大変だったと思います。移動中の当事者の健康や電動車椅子の輸送費など、いろんなことを心配してしまいます。中には呼吸器をつけたデンマークの選手がいましたが、本当にご苦労様です。
 このW杯開催にあたり、各国バラバラだったルールを統一し、それまで日本で使われていたものよりボールは小さく、車椅子の速度は速く設定されました。それだけにスポーツ性は高まったと言えます。初めて見る国際ルールでの試合はスピード感がアップしていました。
 開催試合は日本対ベルギー。〇二年のサッカーW杯日韓大会でも日本はベルギーと対戦しましたが、これは何かの縁でしょうかね。この時は二対二の引き分けでしたが、今回は三対〇で日本が開催国として初戦を飾ることができました。
 滑り出し上々と言ったところでしょうが、気に食わないところが一つだけ。この大会の名誉会長ということで、石原都知事が名前を連ねており、メッセージを寄せたりしていました。過去に重度障害者に対し「ああいう人ってのは人格あるのかね」などと発言していた人が、いったいどういうつもりで……などと思いましたが、読み上げられたメッセージの中で二〇一六年夏季五輪に立候補していることを強調するなど、下心が丸見えでした。また開催試合の直前に猪瀬副知事が突然駆けつけ、おそらくプログラムにない祝辞を述べる機会をつくってもらっていました。政治的ないやらしさを感じてしまう私は考えすぎ?
 なにはともあれ、参加者、スタッフみんなが良かったと思える大会となることを期待しています!


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