労働新聞 2007年9月25日号 通信・投稿

国の妨害押しのけ民間支援を

水害で苦しむ隣人に対し
冷たく恥知らずな日本政府

北朝鮮人道支援ネットワーク・
ジャパン 上野 さとし

 朝鮮との唯一の定期航路であった万景峰九二号は、日本政府の人種差別的な敵視扇動の中、マスコミに「スパイ船」あるいは「違法物資を運搬している」などと宣伝され、いまや同国への一方的な制裁措置の象徴となっている。
 制裁前には入港のたびに右翼勢力の抗議行動とともに動向が報道されたが、その裏で在日韓国・朝鮮人の家族が分断され、同時に中小規模ながらも続いていた人道支援が途絶えてしまった事実はほとんど伝えられていない。

民間の人道支援積み重ね
日朝の間の「人の道」に

 朝鮮では、一九九五年に発生した未曽有(みぞう)の大水害とそれによる深刻な食糧難に対する人道支援活動が国際機関等により行われていた。だが核問題などの外交的緊張もあり、支援事業への資金的援助は慢性的に不足し、女性や子ども、高齢者を中心に栄養失調はなかなか解決していない。
 日本政府も何度かは「人道的」食糧支援を行ったが、朝鮮との外交交渉で自らの要求が受け入れられないと中断するということを繰り返した。先の日朝交渉でも直前に支援をほのめかしておきながら、交渉終了後、即座に撤回している。米国でさえ支援をしている中、日本の冷淡な対応は国際的に突出している。
 だが、そのような状況下でも、民間による日本からの支援は続けられていた。
 一つは在日韓国・朝鮮人による親族への個人的な支援だ。規模は決して大きくはないが、国際機関の支援活動では手が回らない地域・階層の人びとの必要をきめ細かく満たしていたことを、多くの当事者から聞いている。自らも歳をとって体力も厳しい一世や二世が食糧や日用品、電化製品を何十キロも万景峰号に持ち込んでいた。
 もう一つが日本の人道支援団体によるものだ。私たち北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン(ハンクネット)も、小さいながら二〇〇〇年以来八・四トンの粉ミルクを朝鮮の乳児に支援してきた。粉ミルクは日本で調達し、万景峰号に乗って朝鮮東海岸のウォンサン港に入る。そして半数は近辺のウォンサン市育児院に、残りを陸路でピョンヤン市育児院に届けるというかたちがここ数年定着していた。万景峰号は一般の貨客船なので、輸送には本来は料金がかかるが、人道支援物資という性質を考慮して頂き、無償となっていた。「スパイ〜」などの「疑惑」はお話にならない。同船は日本海(朝鮮では「東海」)に人の道を通してきたのだ。
 ところが日本政府は、この唯一残された道を制裁と称して遮断した。それのみならず、朝鮮との航行を一切禁じ、機械や医薬品など広範な品目を輸出禁止としたため、在日の家族や人道支援団体による支援・交流は行き詰まってしまった。資金に余裕があれば第三国経由で送ることも考えられるが、たいていはどうすることもできない。
 私たちも昨年六月以来、粉ミルクを送ることができずにいる。心待ちにしている子どもたちや育児院の職員の方々の顔を思い出し、申し訳なさでやりきれない。

これ以上黙っていられない
国は一刻も早い制裁解除を

 さらに先月上旬には九五年に匹敵する大水害が朝鮮を襲い、六百人の死者・行方不明者、六十万人の被災者を出した。同国南部に位置する穀倉地帯が集中的に被害を受け、百万トンの穀物が不足すると見込まれている。また地方では水道設備の老朽化と水害により、衛生的な生活用水が入手困難となっている。このため疾病のまん延が懸念されている。
 私たちもこれ以上事態を看過できず、従来の育児院の子どもたちへの支援を発展拡大する方向で水害緊急支援の方法を朝鮮側の受け入れ機関と模索するかたわら、緊急支援の呼びかけを開始した。
 同時に、日本政府への抗議声明を発表した。主に制裁措置延長の撤回と水害復旧人道支援の即時実施を要求した。また朝鮮総聯が水害緊急支援のために制裁措置の緩和を日本政府に求めたが、日本政府はそれを一考だにせず、そればかりかその要請書を内容証明郵便で送り返すという、とんでもない恥知らずな行為をしたが、その行為も批判し、要請書を受領するよう求めた。
 ほとんどの日本人が対朝鮮政策について行動も発言もせずに日本政府の人種憎悪政策を追認する中、私たちは過去の歴史と現在の異常な差別状況を直視し、一歩も引かず、言うべきことを言っていく。
 私たちは、支援を必要とする子どもたちがいることを、実際に知っている。自分たちの政府が支援を妨害するなら、それをはね退けて命を紡ぐことは、他でもない私たちの使命だ。

水害復興支援へのご協力お願いします
 集まったカンパは、すべて支援物資と輸送代に使われます。支援の結果報告は、各地での報告会(講師料・交通費無料)やニュースレターを通じて行います。1次締切は10月末をめどといたします。

◆カンパ振込先◆
郵便振替 00930-6-154275
百五銀行上野支店(普) 566120
名義 北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン

ハンクネット・ジャパン


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