労働新聞 2007年9月15日号 通信・投稿

映画紹介
ドキュメンタリー映画
監督・班忠義
「ガイサンシーとその
姉妹たち」

中国での日本軍性暴力を暴く

 班忠義監督は十年前、中国人「慰安婦」の真実を知るために、中国・山西省孟県の村を訪れた。ここにはかつてガイサンシー(蓋山西=山西省一の美人という意味)と呼ばれた侯冬娥という女性が住んでいた。彼女は日本軍の性暴力の被害者だった。

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 班監督が村を訪れた時、侯さんはすでに亡くなっていた。しかし、村には候さんと境遇を同じくする十数人の「ガイサンシーの姉妹たち」がいた。
 彼女たちは家族にも話したことがない少女時代の体験を、カメラの前で赤裸々に語る。慰安所が置かれていた場所を訪問し、当時を克明に語るが、その記憶は驚くほど鮮明だ。村人たちの証言によって、侯さんの姿がよみがえってくくる。
 中国侵略の泥沼にはまっていた日本軍は一九四二年、この村にトーチカを築いて抗日軍と対峙(たいじ)していた。日本軍は美しい二十二歳の侯さんを監禁し、一個中隊の兵隊たちの「慰安婦」とした。候さんは意識不明になるまで輪姦されたという。
 班監督は彼女たちの証言を裏づけるために来日し、加害者である旧日本軍兵士を訪ねた。ある元兵士は「当時は罪の意識はまったくなかったが、許せないことをやった」と罪を告白した。一方で、事実を隠そうとする人びとも登場する。戦後の彼女たちの生活は悲惨をきわめた。村人からも差別されて貧困に苦しみ、今も婦人病やトラウマ、精神障害に悩まされている。そんな中で候さんは自ら命を絶った…。

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 班監督(四十九歳)の故郷は撫順市で、ここにはかつて三千人の村人が日本軍によって虐殺された平頂山がある。班監督は残留日本人女性から日本語を習い、日本に留学経験を持っている。日本人が平頂山事件を知らないことにショックを受けたという。
 「従軍慰安婦」問題はまだ中国でも「理解不足」だ。班監督は多くの日本人、中国人に伝えたいとの思いで映画をつくったが、その根底にあるのは日本軍の侵略に対する怒りであろう。
 六十余年間うずもれてきた彼女たちの傷がいかに深いものか、切々と伝わってくる作品だ。日本では「従軍慰安婦はいなかった」と大声で騒ぐ人びともいるが、この作品はそれが真っ赤なウソであることをズバリとつきつける。日本軍の戦争犯罪を明らかにしていくことが、彼女たちへの謝罪の道であると感じた。
 なお、侯さんは三八年に共産党に入党している。彼女は抗日戦争を戦う戦士でもあった。だから、苦しい時にも仲間を励まし、姉のように慕われた。侯さんは九二年、証言するために来日しようとしていたが、衰弱が激しくて来日できなかったことをとても残念がっていたという。候さんの共産党員としての一面も知りたいと思った。(U)

東京・ポレポレ東中野で十月二十七日から公開
同名書籍発売中・梨の木舎 二千八百円
自主上映はシグロまで
03-5343-3101


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