|
労働新聞 2007年9月15日号 通信・投稿
障害児の母となって…
チラシ作りから行動開始
お母さんのグループを発足
週1回、にぎやかに遊ぶ
岡田 美咲 31歳
|
私には五歳と四歳の子供がいます。上の子は幼稚園に通っていますが、下の子が精神運動発達遅滞です。下の子は十カ月検診で、年齢の半分の発達だと言われました。そういえば首座りが一カ月遅く、十カ月になっても寝返りができませんでした。
でも、私はそれを受容するのに一週間ぐらいしかかかりませんでした。意外と落ち込まず、開き直ったということです。二人目の子どもで子育ての経験があったからかもしれません。私は大学で社会福祉学科を出ているし、運命を感じました。「だから、私のところにこの子が来た」と前向き思考です。
下の子は発達が遅いから、発達がよく見えるので、ゆっくりつきあっています。今の子は十カ月で歩く子もいますが、二歳でやっと歩くようになりました。トイレが怖く、トイレに座るのに半年かかりました。穴の上に座る意味がわからない。一つひとつ獲得するのに時間がかかるのです。
未就学障害児は行く場がない
発達に遅れのある子どもをもって、はじめてわかったことがあります。それは、障害をもつ未就学の子どもを受け入れてくれる所がどこにもないという現実です。唯一、受け入れてくれる可能性があるのは保育園です。集団生活や横のつながりをもつために、子どもを保育園に入れるために「就労」しているお母さんもいます。
でも、保育園に入園するのも簡単ではありません。入園案内には「障害児はおおむね三歳から」と制限をつけているとろこもあります。また、障害のある子には専属の先生をつけなければならないこともあり、入園拒否の理由とされることもあります。育児休暇を一年とった後職場復帰した人も、障害児を預けるところがありません。高い保育料を払って民間の施設に預けるしかないのです。
私の仕事はパートで、障害児のヘルパーです。私の場合も近所の保育園を第五希望まで出しましたが、障害を理由に入園させてもらえませんでした。そして、ちょっと離れたところにある民間の認可保育園を紹介されました。そこはダウン症の子どもを受け入れるなど、一クラス二十人から三十人のクラスに三〜四人の障害児を受け入れている保育園でした。
地域で仲間づくりを呼びかける
小学校に入れば障害児の全国的なネットワークがあります。でも、未就学児童については何のネットワークもないのです。私は地域で、同じような子どもをかかえたお母さんたちの仲間づくりをしたいと思うようになりました。
それでまず、私の思いを書いたチラシをつくり、健康センターなどに置いてもらいました。「いっしょにやっていきましょう。市をよくしていきましょう」というチラシでしたが、役所からは「これは自分の考えが出すぎているので、置けません」と言われたりしました。
この時期は、行政にかなりくってかかっていました。障害者自立支援法の説明会があったとき、「保育園の入所条件に障害児は三歳からとなっているが、三歳とはどういうことだ」と怒鳴ったこともあります。その後、役所の人とは知り合いになりました。
社会福祉協議会にも働きかけ、「お母さんたちのグループをつくりたいですが、ソーシャルアクションに携わる人はいませんか」と呼びかけていきました。その結果、社会福祉協議会の場所を使わせてもらうようになったり、おもちゃ図書館からおもちゃを借りることもできるようになりました。
残念ながらチラシの効果はありませんでしたが、昨年の春、友だちの口コミなどで「会」を発足させることができ、週一回集まりをもつようになりました。
「会」の集まりには、常時十組の親子が参加しています。会費や会則もありますが、細かなことにこだわらず、みんなで集まって楽しめればいいなということでスタートしました。
みんな、自分の子どもたちのためにやっていますが、楽しく「会」を運営することが地域に理解者を増やすことにつながっています。近所の大学生や年配の方々もボランティアとして参加してくれて、毎回にぎやかです。大人になつかない子もいますが、いろんな人から声をかけてもらうのが、子どもにとってもいい刺激になっています。子どもたちが道を歩いている時に、気軽に声をかけてもらえるような地域にしていきたい。それが子どもたちのためになると思っています。
私たちの「会」は、参加者がお互いを慰め合う集まりではありません。障害をもつ子が救われる世の中は、みんなが救われる世の中。人間だれもが大事にされる世の中にしたいと考えています。
障害者福祉を充実させたい
今は私が「会」の代表をやっていますが、いずれ子どもは保育園を卒園しますので、「会」を次につなげていきたいと考えています。そのためには行政とのリンクが必要です。社会福祉協議会や役所とリンクしていけば、新しいメンバーを紹介してもらえるし、「会」を恒常的に継続していくことができます。同じ仲間同士が話し合うピアカウンセリングは、保健師さんに相談することと違った意味があり、重要な活動です。
役所と対立してばかりいてもしようがないので、前向きに取り組んでいきたいですが、私たちが要求していくことは大事です。そのためにも実績をつくっていきたいと思います。「会」が発足して一年半ですが、幸い、役所の方々にも認知されはじめているのはうれしいことです。
障害児ヘルパーの仕事を通じて、母子家庭のお母さん、保護者が障害をもつ家庭など、支援が必要な人がたくさんいることを痛感します。障害をもつ子がふつうの子と同じように、保育園に入ったり、小学校に入ることが保障される必要があります。
昔に比べれば、障害者に対する社会環境も少しずつ改善されてきてはいます。しかし、これに甘んじないでさらに積み重ねていきたい。たくさんの先輩たちががんばってきたことを受け継いで、さらに充実させるために、私たちががんばらなくてはいけないと感じています。
Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2007 |
|