労働新聞 2007年8月5日号 通信・投稿

医療報酬減が病院に打撃
労働者と利用者にしわ寄せ

きょうも3時間残業だぁ

医療労働者 野口 亮一

病院は収入増やすのに必死
 暑い日が続きますが、きょうも三時間の残業で検査したデータを処理して、ようやく一日の終わりです。以前、「労働新聞」で「国民医療切り捨て進める安倍政権」と医療政策を批判していました。その中で「医療制度改革関連法は高齢者の医療費自己負担増と病院つぶしの診療報酬減」だと指摘していましたが、現場で働く私もまったくその通りだと感じています。
 いま、どの病院も「診療報酬制度」にがんじからめにされていて、年々これが引き下げられています。一見すると患者の治療費が安くなるので良いではないかと、多くの国民がだまされています。しかし、私の働く公立の病院でも(民間ならなおのことかと思います)このままでは病院の収入が減るので、収入を増やそうと理事者たちが必死になるのです。病院の赤字が自治体財政圧迫の「主犯」とされかれないマスコミの報道もこれを加速しています。
 医療費の負担増は低所得者にとっては厳しいものがあります。私の職場は交通の便の良い病院ですが、医療費の値上がりが響いたのか、以前より患者が減っているように感じます。収入を増やすためにはたくさんの患者が病院に来てくれれば良いのですが、スーパーのように安売りのチラシというわけにいきません。
 病院が収入を増やすためにやれることは、患者の検査を増やすことぐらいです。緊急でもないものも、とにかく検査することになり、検査の業務で手一杯となります。そのため「よく検査をしてくれるいい病院」と勘違いされるなど、笑ってすまされない現実もあります。
 しわ寄せを受けるのはそこに働く労働者で、毎日が残業となっているのです。私たちはデータ処理を時間外でやらなければなりません。検査が増えれば薬剤部門の仕事も増えます。薬剤のことは専門家ではありませんが、病院が利益を上げるために薬を出すことはないのかと心配になることもあります。
 もう一つ難しいことがあります。それは、重い病気を抱えて病院に来た患者さんに「検査するのは二カ月、三カ月先です」と言えない、人の命相手の仕事という宿命がつきまとっていることです。

緊急医療で看護師の負担増大
 最近は別の問題も出てきています。この病院で本格的な救急医療体制がつくられました。担当医が来て看護師の増員が計画されました。看護師の増員は「計画」だけですから、よその病棟の看護師を引き抜くのです。当局は、看護師が引き抜かれた病棟を最初は「空きベッド」にすると言っていたのが、いつの間にか患者が入院して「空きベッド」はなくなり、病棟の看護師への負担が増えてしまいました。
 現場では仕事が忙しくなり、人間関係がギスギスしています。最近では「中堅職員」が辞めていく傾向が見られます。検査業務や「空きベッド」問題など、働く人びとの善意を逆手の取るような当局のやり方、現場の声に耳を貸さないトップダウン方式がそれをもたらしています。労働組合の役割が問われていることを強く感じます。


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