労働新聞 2007年7月15日号 通信・投稿

農村からの便り
わが家もワーキングプア

収入ないのに住民税4万円増
まさに踏んだり蹴ったり

農業 山田 幸男

台風で農業収入が激減
 皆さん、こんにちは。
 私は田舎町で農業と土方仕事、それに妻のパートで、一家三世代六人の生計を立てています。
 農業は二ヘクタールの土地で、コメと麦を中心にやっています。農業も自由化が進み、価格は上がりません。景気がよくないと売れにくいというのもあります。さらに去年は台風で収穫直前の稲がやられてしまい、例年二百万円ほどの農業所得が五十万円ほどにしかなりませんでした。
 うちの地区では、少し前にほ場整備が行われました。それで年三十八万円を二十五年間負担し続けないといけないのです、これがきつい。農業で得た収入が少なければ、生活費にまではとてもまわせません。それどころか、今年は農協の口座から生活費にまわしていたため残高不足で自動引き落としできず、負担金を滞納してしまいました。
 私は農業で借金はしていません。ハウスなどの施設をつくると、五百万円とか借金が必要になりますが、投資したところで収入を得られる見通しがないので、自分としてはそれだけの意欲・気力がわかないからです。

公共工事はムダ遣い?
 一方の土方仕事は毎月手取り十五万円なので年二百万円にもなりません。妻は国営公園の管理スタッフとして、五年契約のパートで働いています。毎日七時に家を出て夕方六時頃帰宅、これで手取りが月十万円ぐらいにしかなりません。「ワーキングプア」といわれるけれど、うちの賃金はまさにそんなものです。
 うちの地域では、バブル崩壊後の不景気を、公共工事という社会投資をして、底支えしてきた面があります。それが六年前の小泉政権の登場で「そういうところにはお金を使わない」となりました。「税金のムダ遣いをやめろ」と言うと、マスコミや「一般」の受けがよかった。「一般」とはどういう意味か! と思います。仕事をして生活の糧を得ている者にはたまらないなと思っていましたが、どんどんその通りになっています。
 まず仕事量が減り、さらには、公共工事の労働単価の見直しがありました。政策として建設業者自体を減らす、他の業種に転換させるなどのこともやられました。国は銀行に何兆円とテコ入れし、「不良債権処理」と称して、政策として建設業などをつぶしていきました。私が勤務していた地域大手の土建会社も四年前に、そうした中でつぶれてしまいました。なんとか別会社で働き口があり、仕事につくことができましたが。

自由化で村がなくなる
 土方仕事では、近くの林道工事によく行っていました。戦後植林した山間地域です。大きくなった木を切り出すためには、道がないとだめです。そのための林道工事でした。しかし、外国から安い木材が入ってくるようになり、木材価格が下がって、せっかく切り出しても採算があわず、林業が生業として成り立っていかなくなりました。山は荒れる。山に住む人もいなくなり、村もなくなる。まったく宝のもちぐされです。
 そもそも「輸入自由化」といって、外国から何でもかんでも安い品物が入ってくるのもおかしいと思います。農産物も工業製品も、「自由化」することで、伝統も技術も全部つぶれていってしまう。多国籍大企業からすれば、「バーター」ということなのかもしれないけれど、国として産業をきちんと守るべきです。国土を守るためにも、必要な公共事業というのが、地方ではまだまだあります。必要なものまで「小さな政府」といって削るのはおかしな話です。
 じゃあ、自民党がいかんといっても、民主党もどうでしょうか。選挙向けに「所得補償」とかいっているけど、自民党から「財源をどうするのか」と言われて、しゅんとしてしまっている。あまり頼りにならないですね。もともと民主党・小沢らは自民党よりも公共事業減らせとか、輸入自由化だとか、自民党より先に「改革」を言い出してきた連中です。何の期待ももてません。

腰痛めて休業なのに…
 実は去年から、腰を痛めています。機械に乗っての農作業ならできるのですが、さすがに土方仕事はきつく、四月から三カ月も仕事を休んでいます。整骨院や鍼灸院、温泉にも行っていますが、なかなか治らず、困っています。傷病手当を申請して、これまでの賃金の三分の二は支給してもらって、やっとのことで暮らせています。
 そんな折、春には住民税滞納で、役場から人が来ました。家まで来たからしょうがないので、なんとか払いはしました。そこへ今度は住民税増税で四万円ぐらい負担が増えました。所得がないのに、どうやって払えというのか! 踏んだり蹴(け)ったりです。
 生活は収入に応じて支出しないといけないのに、収入がないんだから、支出のしようがない。所得のある人からもっと取るべきです。所得が多いのは、社会の恩恵を受けているからです。だったら社会に還元すべきです。
 庶民がますます暮らしにくくなってきています。そんな状態をつくった政治を変えないといけないと、つくづく思います。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2007